ジミーさんも恋してる

CAST加藤 咲希加藤 咲希

作者:リヴ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.06.02

どうも、
加藤サキです。
あだ名はジミー。





「地味」
「つまんない」
「見てるだけで腹が立つ」





なーんて悪口には、
もうすっかり
慣れっこです。





皆さんお察しのとおり、
私はクラスの嫌われ者です。





もとから社交的なほうでは
なかったし、
二次元大好きだからか
「オタク」と馬鹿にされ、





クラスでは完全に
浮いた存在。





アニメが好きで
なにが悪いの? って思う。





だって、そっちだって
韓国のアイドルなんかに
キャーキャー騒いでるじゃん。





好きなものが、アイドルか
アニメキャラかの違いなのに、
どうしてこうも待遇が違うわけ?
意味わかんない。





・・・そんな心の悩みを
聞いてくれる友達もいない。





あーあ、ほんと学校って
つまんない。





アム「おはよーっす」





女子A「あ、深尾だ」





女子B「気取っちゃって、
まじウザイんだけど」





ひそひそと女子が
言い合う陰口なんて
全く気にならない様子で、
深尾さんはきれいな
足さばきで席に着く。





すれ違うとき、ふわっと
いい香りがした。





深尾アムさんは私と同じ、
クラスの嫌われ者だ。





ただ、私と決定的に違うのは、
深尾さんは超絶美人で
男子から
モッテモテだってこと。





そのせいで女子から
嫌われている。





すばらしい美貌の
持ち主だけど、
協調性が全くなく、
周りの人々を馬鹿にしている
感じがする。





そのクールビューティーさがいいと、
ますます男子からモテて、
ますます女子から嫌われている。





孤高の美女という感じだ。





つまり、私とは住む世界が
違う人ってこと。





ユウガ「みんな、おはよっ」





女子たち「あ、ユウガくん!
おはよー」





はい、ここでご登場です。
この学校の王子と名高い
佳山ユウガくん。





優しくて、明るくて、
勉強もできて、
おまけにイケメン。





男女ともに人気がある、
クラスの中心にいる人物。





こちらも私とは正反対。





ユウガ「加藤さん、
おはよ! 髪切った?」





王子は私にも
必ず挨拶してくれる。





嬉しいけど、
女子からの視線が
痛いんですよねー。





サキ「あ、はい」





ユウガ「へえ、似合うじゃん」





サキ「へっ! あ、あの、
どど、どうも」





にこっと笑う
佳山くん。





うっわー、
まぶしすぎるーっ。





ユウガ「深尾さん、
おはよう」





アム「ああ」





興味なさそうに
深尾さんが答えて、
長い髪をすっと
かき上げる。





同性の私から見ても、
すごく素敵な仕草だ。





こりゃあ、男子は
たまらんだろう。





深尾さん、佳山くんへの態度、
ちょっとそっけなくないですか?





でも、美人がやると
様になるから憎たらしい。





女子A「深尾のやつ、
ユウガくんにあんな態度って
ありえなくない?」





女子B「ほんと、
何様だっつーの!」





女子C「まじ目障りなんだけど」





ううっ、
女子ってこわっ。





一方、男子は、





男子A「深尾っていつ見ても
美人だなー」





男子B「国宝級美女って
感じだよな」





男子C「あのツンデレな感じが
いいよな」





なんて言ってます。





クラスの誰も
私なんて知らんぷりするから、
盗み聞きしても気づかれません。





ある意味才能ですよね、これ。





ジミーの私なんて
誰も見てくれない。





せめて、同じ嫌われ者でも、
深尾さんみたいだったら
よかったのに。





そうしたら・・・
佳山くんとつりあうって
思ってもらえたのかな。













*。・ 放課後 ・。*





今日は日直の仕事で居残り。





めんどくさいけれど、
悪いことばかりじゃない。





ユウガ「ゴメン! 遅れた」





サキ「あ、いえ」





そう!
佳山くんと一緒なんです!
ほんとにラッキー。





ユウガ「ぱぱっと
やっちゃいますかー」





サキ「あ、そ、そうですね」





ぱぱっとなんて
しなくてもいいのに。





なんてわがままを
心の中でつぶやく。





ユウガ「加藤さんって、
趣味とかあるの?
読書とか?」





私はかなり
本を読むほうだと思う。





SF小説しか
読みませんけどね。





サキ「まあ、
かなり読むほう、かな」





ユウガ「へえ、ジャンルは?」





サキ「ふ、ファンタジー、かな?」





SF小説ってけっこう
おもしろいんだけど、
そう言ったらオタクだって
思われちゃいそうだから、
本当のことを言うのはやめた。





ユウガ「俺そっち系
読まないからなー。
今度おすすめ教えて!」





サキ「あ、はい」





ああ、この時間、
幸せだーっ。





もうこのために
生きてきたようなものだ!





ん、ちょっと待って・・・・・・





サキ「あーーーーーーーーーーっ」





ユウガ「おわっ。
どしたの!?」





サキ「あっ、その、
何もないですーっ」





思わず叫んでしまって、
私は顔を赤くした。





好きなアニメを
録画し忘れたなんて、
言えない。





ユウガ「大丈夫?」





サキ「はははははいっ。
だだだ、
大丈夫ですっ」





ユウガ「ぶはっ。
加藤さんって
おもしろいんだね。
おとなしい人かと思ってた」





佳山くんが
おかしそうに笑う。





今、なんとおっしゃいました?
このジミーのことを
おもしろいと?





ええっ。
確かにそう言ったよね?





もう、アニメの録画
忘れとかどうでもいい!





この時間と換えたいもの
なんてない!





だけど、幸福な時間は
あっという間に
過ぎていってしまう。





ユウガ「おーしっ、終わった!
じゃ、俺部活あるから、
かぎ返してきてもらっていい?」





サキ「はい、もちろん」





ユウガ「じゃ、おつかれさま」





駆けだそうとする
佳山くんの背中を見て、
ちょっぴりせつない
気持ちになる。





サキ「あのっ」





思わず呼び止めてしまう。





不思議そうな顔をして、
佳山くんがふり返る。





その瞬間、ぼっと顔に
血がのぼった。





ユウガ「どうかした?」





サキ「あああの!
ぶ、部活、頑張ってください」





目を丸くして、
やがて佳山くんが
優しく微笑む。





その素敵な笑顔に、
思わずうっとりしてしまう。





って、私は変態かー!!!





ユウガ「ありがと。
頑張る」





サキ「はい・・・」





佳山くんが
いなくなったあとも、
私はぼーっと
教室で突っ立っていた。





もう何も考えられない。





こんなに幸せで
いいんですか?





その時だった。





「へーえ、ジミーさんは
佳山が好きなんだぁ」





バカにしたような、
美しいアルトの声。





びくっと体がすくむ。





その美声の持ち主は、
モデル歩きで優雅に
姿を現した。





サキ「ふふふふふふふ深尾さん!?」





にっこりと微笑むと、
深尾さんは私の目の前で
立ち止まった。





アム「驚いた。
ジミーさんも
恋なんてするんだ」





あからさまに
軽蔑した態度に
思わずむっとする。





サキ「ほっといてください。
まず、いつから
見てたんですか!?」





アム「んー、2人が
イチャイチャしてた
ところからかな?」





サキ「それって最初からって
ことですかー!?」





アム「なんだ、
イチャイチャしてた
自覚はあるのね」





にんまりと微笑む
深尾さんを見て、
何も言い返せなくなる。





サキ「そそそそんなことは、
ないですけど・・・」





ごにょごにょと
つぶやく私を見もせず、
深尾さんはおおげさに
ため息をついた。





アム「なんで叶いもしない
恋をするの?
つらいだけでしょう」





サキ「好きになるのは自由です!」





アム「うわあ、
乙女ちっくなセリフ~」





サキ「馬鹿にしてます?」





アム「ええ、心の底からね」





ううっ、この人
心腐ってんじゃないの!?
エラソーに話しちゃって、
ムカつく!!





サキ「深尾さんには
わかりませんよ。
美人で、モテモテで。
私とは正反対ですもん」





ひがみっぽく言うと、
深尾さんは挑戦的な目つきで
私を見つめた。





大きな瞳がきらきらと
輝いている。





・・・悔しいぐらい、
美人だ。





アム「あのねぇ」





かつかつ長い脚を動かし、
私との距離を縮めると、
おののく私のあごに
深尾さんは自分の手を添えた。





えーと、これって
いわゆるあごクイですよね!?





これって男子が女子に
するものじゃないんですか!?





アム「可愛いは作れるのよ」





そう言って、
不敵に笑う。





サキ「・・・・・・・・・・・・・・・は?」





まぬけな声でたずね返すと、
深尾さんはにっこりと
美しい微笑みを浮かべた。





アム「言ったとおりの意味よ。
よく見ると、あんたって
元は悪くないみたいだし?
二重だし、小顔だし。
ま、あたしには
かなわないけどね」





まったく褒められている
気がしませんけど。





アム「あたしがあんたを
変えてあげる」





自信満々に
そう宣言した。





サキ「はい?」





何言ってるんですか、
この人は。
頭ダイジョーブですか。





アム「だから、
覚悟することね」





深尾さんの美しい微笑みが、
これほど恐ろしく
見えたことはなかった。













*。・ 週末 ・。*





絶対にありえなかったことが
起きている。





ジミーの私が、
孤高の美女・深尾アムの家を
訪ねている。





アム「まずは、
女子力を上げること。
あんた、ろくに
スキンケアもしてないでしょ」





サキ「・・・そういうのって、
めんどくさいですし」





はあ、とおおげさに
ため息をつくと、
深尾さんは私の耳を
思いきり引っ張った。





サキ「痛い!
何するんですか!」





アム「おしおき。
そんなのだからモテないんでしょ!
今からおすすめの化粧水とか、
洗顔の仕方とか
全部レクチャーするから、
メモするなりして覚えなさい!」





サキ「ひゃーっ」





鬼ですか、この人は。





学校中の男子に
教えてやりたい。





深尾アムは美人のお面を
かぶった悪魔です!





泣きそうになりながら、
私は必死に
鬼講師の深尾さんの
授業を受けた。













*。・ 次の週 ・。*





サキ「お、遅れてすみません!」





アム「遅い!
気遣いできないやつは
モテなくて当然!」





ううっ、
あいかわらず厳しい。





今日は2人で
ショッピングです。





私の私服があまりにも
ダサいということで、
2人でショッピングモールへ
行くことへ。





ちなみに、そこで
新しいペンケースや
ポーチも買う予定。





生まれて初めて
友達と出かけるといった私に、
お母さんは大喜びで
今まで触ったこともないくらいの
大金をお小遣いにくれた。





・・・親に心配されるレベルの
女子力の低さだったのか。





アム「これなんていいんじゃない?
あんたってガーリー路線が
似合うと思う」





センスのいい深尾さんが
てきぱきと洋服を
選んでくれるなか、
私はぼうぜんと
突っ立っていた。





普段の私なら
絶対に近寄らない、
きらきらしたお店。





深尾さんは常連顔で
服を選んでいく。





ほんとに住む世界が
違う人だ。





深尾さんに
さんざん振り回され、
くたくたになって
家に帰った。





ベッドに飛び込んでから、
今日買った服のことを
思い出す。





試着してみたけど、
確かに似合っていた気がする。





ベッドから降りて、
服を取り出し、
体に当ててみる。





サキ「私、けっこう
可愛いかも?」





なんて、自意識過剰なことを
つぶやいた。













*。・ 翌日 ・。*





いつも通り本を読んでいると、
話しかけてきた女子がいた。





湊コハルさんと
池クルミさん。





好奇心できらきら輝いた瞳が
私に向けられている。





クルミ「ねえ、
このペンケース可愛いねっ。
どこで買ったのー?」





コハル「中身見せてもらっても
いいかな?」





サキ「あ、はい。
どうぞ」





このコンビは
本当に仲良しで、
2人とも可愛い。





クルミ「このシャーペン、
前から欲しかったやつだー!」





コハル「すっごいセンスいい~。
てか、最近加藤さんって
可愛くなったよね?」





クルミ「わかる!
メガネやめたし、
肌もすっごくきれい!」





サキ「あ、ありがとう」





はずかしくて、
うつむきながら微笑む。





コハル「ああー、めっちゃくちゃ
可愛いんですけど!
連れて帰りたい!」





クルミ「も~、コハルったら。
オッサン出てきてるよ!」





コハル「えへへ。てかさ、
もうサキって呼んでいい?
あー、でも濱尾サキちゃんと
かぶっちゃうしね」





クルミ「じゃ、
かとぅでいい?」





サキ「はい! あの、
私もクルミちゃんと
コハルちゃんって
呼んでいいですか?」





コハル「もちろん!
てゆーか、
呼び捨てでいいよ」





クルミ「敬語もやめてね。
同い年なんだし!」





すごい。
可愛くなると、
こんなにも
人生変わるんだ。





深尾さんって
天才だ。





ユウガ「何話してんの~」





クルミ「あ、ユウガくん!」





わっ、ちょっと
急に現れられると
心の準備というものが・・・





コハル「最近かとぅ、
すっごく
可愛くなったでしょー」





ユウガ「かとぅ?
あ、加藤さんのことか」





クルミ「そーそー。
持ち物とかすっごく
センスよくて。
女子力上がったよね。
そう思わない?」





ユウガ「確かに、
雰囲気変わったよね」





そう言って、
私に向かって微笑む。





私は顔を
真っ赤にする。





佳山くんが私の変化に
気づいてくれていたなんて・・・
感激だなあ。





ふと視線を感じて、
そちらを見ると、
深尾さんと目が合った。





深尾さんは一瞬笑って、
ぱちんと華麗に
ウィンクした。





私も微笑み返す。





ありがとうの
意味を込めて。













*。・ 放課後 ・。*





めずらしく深尾さんが
放課後家へ来てほしいから、
一緒に帰ろうと誘ってくれた。





待ち合わせ場所の校門前で、
目の前を通った男子が
こんな話をしていた。





男子A「聞いた?
佳山が深尾に告ったって」





男子B「まじ? えー、
ショックだわー。
まあ、美男美女で
お似合いだけどな」





思わずスクバを
落としてしまう。





耳を疑った。





佳山くんが告白?
深尾さんに??





ぼうぜんとする私のもとへ、
深尾さんが現れる。





いつも通り、
どこから見ても
美少女だ。





アム「おまたせ。
ん? なんか
顔色悪くない?」





サキ「・・・佳山くんに
告白されたの?」





小声でたずねる。





深尾さんは大きな目を
さらに見開いて、
それからふっと微笑んだ。





アム「あら、
耳がはやいのね」





サキ「・・・どうして」





アム「どうしてって言われても・・・
向こうが告白してきたんだし?
ま、あたしのこのルックスに
惚れないほうが
難しいんじゃない?」





なんで?
ずっと味方だと思ってた。





なんやかんや優しい
深尾さんのこと、
初めてできた親友だって
思っていたのに・・・!





サキ「私のこと、
バカにしてたんでしょ?
どんなに頑張っても、
私はブスでダサいジミーだって
あざ笑っていたんでしょう!
最低!」





アム「悲劇のヒロイン気取りも
いいところね。
告白してきたのは佳山。
あたしは悪くないわ」





ずいっと一歩
踏み出されて、
私は反射的に後ずさる。





アム「じゃあ、早く
告白しちゃえばよかったのに。
誰かに取られてしまう前に、
告白すればよかったのに。
そうやっていつも
誰かのせいにして、逃げて続けて。
結局あんたは弱い人間だったってこと。
いつまでたってもジミーのまま」





頭をなぐられたようだった。





深尾さんの言うことは
何1つ間違っていなかった。





私は逃げて、
真正面から挑むことを
恐れ続けた小心者だ。





アム「もう、あんたになんて
興味ないわ。
おもしろいおもちゃだったけど、
もうあきちゃった。
あたしたちの関係も
これでおしまい。
じゃ、さようなら。
ジミーさん」





深尾さんは
美しい立ち姿のまま、
その場を去っていった。





私はぎゅっと
手を握りしめた。





そして決意して、
その場を駆けだした。





サキ「佳山くん!」





おどろいた顔をして、
佳山くんがふり返る。





ユウガ「加藤、さん?
どうかした?」





肩で息をしながら、
私は佳山くんを見つめた。





佳山くんの気持ちが
私に向けられないままでもいい。





気持ちを伝えないまま
終わるなんて、
そんなみっともないこと
したくない。





サキ「ちょっと、
言いたいことが、あって」





息を整えながら、
私は言った。





心臓は
バクバクしていたし、
こわいし、





傷つきたくない
気持ちもあった。





でも、傷ついたって
死ぬわけじゃない、





フラれたから人生が
終わるわけじゃないって
思っている自分もいた。





サキ「あのね、私、
佳山くんが好き」





一気にそう言った。





佳山くんが
目を見開く。





佳山くんが
何か答える前に、
私は急いで
言葉をつないだ。





サキ「佳山くんが
深尾さんを好きって知ってる。
だから、こんなこと言われたら、
迷惑だってわかってる。
でも、言わせて。
言いたかっただけだから。
2人の邪魔をするつもりなんてないから。
ただ、好きだっただけだから」





ユウガ「サキちゃん・・・」





はじめて、私の下の名前
呼んでくれた。





おそらく、これが
最初で最後だ。





私は微笑んだ。





微笑んでから、こうやって
目を見て笑いかけるのは
はじめてなことに気がついた。





佳山くんの前で、
私はいつもおどおどして、
挙動不審な女の子だった。





そんな女の子よりも、
深尾さんのほうが
百倍魅力的だったにちがいない。





サキ「ずっと好きでした。
初恋でした。
素敵な初恋を、
ありがとうございました」





深く頭を下げる。





そっと顔を上げると、
なぜか顔を赤くした
佳山くんの顔。





ユウガ「えーっと、
誤解してるみたいだから、
一応言っておくけど・・・
俺の好きな人、
深尾じゃないよ?」





サキ「え? ええっ?」





どどど、どういう意味?





だって、
告白したんだよね?





まさか
ニセ告ってやつですか?





いやいや、
佳山くんに限って
そんなことはしないはず。





サキ「こ、告白、
したんじゃないんですか?」





ユウガ「告白!?
してないしてない。
それ、ガセネタだから」





サキ「そそそそ、
そうだったんですか!?」





ってことは、深尾さんは
ウソついてたってこと?





なんで、
そんなことを?
私をからかうため?





ユウガ「あとさ、加藤さん
もうちょっと自分に
自信持ったほうがいいと思う。
加藤さんって
自分で想ってるよりずっと、
その・・・可愛い、しさ」





照れたように言う
佳山くん。





つられて私まで
恥ずかしくなった。





サキ「かっ、可愛い!?」





ユウガ「驚きすぎだって。
あのさ、
俺の好きな人の話、
してもいい?」





サキ「だ、誰なんですか?」





深尾さんじゃないとすると・・・
クルミ?





優しいし、可愛いし。





コハルもありえるよね。
おもしろくて、
やっぱり可愛い。





ユウガ「好きです、
サキちゃん」





サキ「・・・・・・・・・へ?」





まぬけな声を出した私の頭を、
ぽんぽんと優しく
ユウガくんはたたいた。





ぼっと顔に血がのぼる。





サキ「・・・本気、なんですか?」





だって私、ジミーだよ?





それに比べて、佳山くんは
学校の王子様なんだよ?





ユウガ「ああ、もうっ。
こういうこと言うのって、
ほんとはじめてだし
恥ずかしい!
だから、もう言わないから、
よく聞いて」





私の手を取って、
ユウガくんは微笑む。





ユウガ「好きです。
付き合ってください」





私がなんと答えたか、
皆さんには
わかりますよね。





家まで送ると言ってくれた
ユウガくんの申し出を断って、
私は深尾さんを探した。





聞きたいことが
山ほどあった。





何度来たかわからない
深尾さんの家へたどり着く。





インターホンを押して、
深尾さんを呼ぶ。





出てきた深尾さんに、
思いきり頭を下げる。





サキ「なんだか、いろいろと
ごめんなさい!」





そう叫んだ私を、
深尾さんはあきれた顔で
見つめる。





アム「・・・うまくいったみたいね」





意味ありげに
微笑まれて、
私は顔を赤くした。





・・・完全に、
気づかれてる。





サキ「あの、誤解してました。
ひどいことも
たくさん言ったし・・・
本当にごめんなさい」





アム「ほんとにね。
まあ、わざと
誤解させたんだけどね」





深尾さんは
めんどくさそうに
ため息をついた。





サキ「どうして
嘘ついたんですか」





批判するようにたずねると、
深尾さんは肩をすくめた。





そしてじろりと
私をにらむ。





アム「あんたがいつまでたっても
告白どころか、
アプローチさえしないから。
前から佳山があんたのこと
好きなのまるわかりだったし、
このあたしが可愛くしたんだから、
さっさとくっつくだろうって
思ってたのに、
何をだらだらだらだら。
あんたらは小学生かっての!」





深尾さんらしい言葉に、
私は首をすくめた。





サキ「あの、その、
なんだか、ご心配かけて
ごめんなさい・・・」





アム「だから、あたしがわざわざ
一肌脱ぐ羽目になったのよ。
あたしのことが大好きな男子に
お願いして、
佳山があたしに告ったっていう
ウワサを流してもらったの」





サキ「なんだか、すごい・・・」





アム「あたしが可愛く、
『お願い、
どうしても必要なことなの』
ってお願いしたら、
それを断る男子なんて
いないでしょう?」





自信満々なところは
あいかわらずだ。





私は思わず
笑ってしまった。





サキ「ずっと気になっていたんですけど、
どうしてそんなに
私に協力してくれたんですか?」





深尾さんは
気まずそうな顔をして、
言いにくそうにつぶやいた。





アム「いとこなの。
佳山とあたし。
みんなには黙ってたけど」





サキ「えっ。
えええええええええっ」





アム「うるさい!
そんなにおどろかなくても
いいじゃない」





サキ「おどろきますよ!
えっ、信じられない」





アム「信じてもらわなくて
けっこうよ」





ツンと顔をそむける
深尾さん。





なんだか、その仕草が
とても可愛らしく見えた。





サキ「あの、アムって
呼んでもいいですか?」





少しの沈黙。





深尾さんはちらっと笑って、
そしていつもの生意気そうな
表情を浮かべた。





アム「・・・お好きにどうぞ」





アムは私の親友です。





わかりにくくて、
わがままなところも
あるけれど、





優しくて、温かい、
私の大好きな親友だ。





サキ「ありがとう、アム」





アム「どういたしまして、サキ」





アムは私たちの
恋のキューピット
だったっていうわけ。





恋のキューピットよりも、
恋のデビルのほうが
似合うけれどね。







*END*

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