似ている彼女

CAST川上莉人

作者：璃由

2025.12.04

彼女「りひとくん!!」

りひと「いちか、だめ！」

彼女「りひとくん！
りひとくんが
いなくなっちゃダメ・・・！」

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

いちか「りひとセンパイ、好きです！
つきあってください！」

りひと「ごめん。
今、そういうの
興味ないんだよね」

いちか「だいじょうぶです、
ありがとうございます！」

りひと「名前は？」

いちか「田中いちかです」

りひと「そっか。いい名前だね」

いちか「え？」

りひと「いや・・・なんでもない」

おれ、川上りひとは１年前、
事故で彼女をなくした。

彼女の名前は・・・
山本いちかだった。

それから恋愛には
興味がない。

りひと「いぶき、おはよ」

親友の堀口いぶきに
あいさつをしてから席につく。

いぶき「りひと、そろそろ
山本いちかのこと忘れて
新しい恋、探さないと！」

りひと「いぶきは
稲垣とつきあってるんだっけ」

いぶき「そう！
くるみは、じまんの彼女だよ」

りひと「ふーん」

くるみ「呼んだっ？」

いぶき「うん！　呼んだ。
あ、そうだ！
りひとのために
いい人探してくれない？」

くるみ「川上くんか・・・
あ！　ぴったりな人、いるよ」

りひと「ちょっ、いいって！
断るよ」

断らないと、いちかのことを
忘れちゃいそうな気がする。

くるみ「川上くんに
会ってみたいって！」

りひと「イヤだ」

くるみ「なんで？」

りひと「とにかくイヤだから」

くるみ「そんなこと言ってないで、
会ってみれば？」

いぶき「そうだよ。会ったら
つきあわないといけないなんて
言ってないんだし」

りひと「じゃあ、会うだけだよ？」

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──────────────

ということで、おれは今、
松尾そのまとふたりになった。

松尾といちかは、
どこか雰囲気が似ていた。

りひと「つきあったこととか、あるの？」

そのま「彼氏はいたけど、
病気でなくなっちゃって」

りひと「おれも、彼女が事故でなくなった」

そのま「それから恋愛してなかったけど、
そろそろしないと
結婚できないからさ！」

そのまは、涙をこらえながら言った。

そのま「彼氏と、りひとくん、似てる。
またあのときの彼氏に
会えたみたいでうれしい！」

りひと「松尾と、おれの彼女だった子も似てる」

そのま「あの、さ」

りひと「ん？」

そのま「こんなこと言ったら、
困らせちゃうかもしれないけど。
わたし、りひとくんが好き」

いちかのことを思い出すと、
なぜか松尾をふる気には
ならなかった。

りひと「おれも松尾が好き」

いちか、彼女を作っちゃってごめん。
でも、幸せになるから、ゆるしてね。

＊ｅｎｄ＊