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僕のサンタクロース

CAST川上莉人川上莉人

作者:Feel your breeze

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.10.25

僕の名前は、リヒト。





ニコラ学園に通う、
ごくごく普通の中学生。





「よぉ! リヒト!」





声をかけてきたのは、
同じクラスのタイジだ。





「なんだよ・・・
またお前かよ(笑)」





「へっへっへ。
俺、最近、彼女できたんだよね!」





「マジ!?」





まさか、クラスでは
“友達以上恋人未満”と
女子に言われ続けていたコイツに
彼女ができたなんて・・・





「お前も早く、彼女作れって!
さもないと、また今年のクリスマスは
ぼっちだぞ(笑)」





「・・・ったく、
余計なお世話だよ(笑)」





これは、タイジにすら
言っていなかったことだが





この学校に転入する前、
僕には運命の相手がいた。





彼女の名前は、ヒマリ。





僕たちは家が隣同士だったこともあり、
ヒマリとは幼い時から
とても仲が良かった。





でも、あの日の出来事が
僕たちの運命を
大きく変えてしまった。













・*。・ 去年のクリスマス ・。*・





幼い頃から
ずっと一緒だったヒマリ。





ずっと友達だと
思っていたのに、





いつしか友情ではなく、
別の感情が芽生えていた。





その時、初めて思った。





僕はヒマリのことが
好きなんだと。





それをずっと伝えたいと
思っていた僕は





クリスマスイブに、ヒマリに
気もちを伝えようと決心した。





そうして迎えた
クリスマスイブの日。





初めて家族以外で過ごすことに
少しさびしさを感じていたが、
ヒマリと一緒に過ごせるかも
しれないという思いが、
そのさびしさを和らげてくれた。





「待ち合わせは・・・
新潮ガーデンに午後5時と」





僕はその瞬間を、
今か今かと待っていた。





しかし・・・





30分経っても、1時間経っても
ヒマリが来る気配はなかった。





「どうしたんだろう・・・?」





何度も連絡を取ってみようとしたが、
つながらない。





それでも、今か今かと
待ち続けていたが、
ついに時計の針は
21時を指していた。





これ以上、1人で外にいるのは
危険かもしれない。





泣く泣く
家に帰ることにした。





「せっかく・・・気もちを
伝えようと思ったのに・・・」













・*。・ 年が明けて ・。*・





ヒマリは、なんと
突然転校してしまった。





衝撃の出来事に
言葉が出ないほど絶句した。





そして、ほどなくして
僕も親の仕事の都合で
転校する羽目に・・・





あまりにも急すぎて、
気もちの整理が追いつかなかった。











・*。・ 今 ・。*・





あの日、突然僕の前から
姿を消してしまったヒマリ。





ぽっかりとあいたその穴を
埋められないまま、今に至る。





放課後、部活の練習から
帰宅する途中、
あるポスターが
僕の目の前に飛びこんだ。





「『願いが叶うクリスマスツリー』・・・?」





学校近くのニコラストリートには、
毎年クリスマスツリーが置かれ、





願いが叶うとされていることから、
恋人の聖地と呼ばれているらしい。





「なんか面白そうだな」





クリスマスはどうせ1人だろうし、





家族そろってクリスマスパーティーを
するのは、結構遅い時間なので
行ってみることにした。













・*。・ クリスマスイブ ・。*・





願いが叶うとされている、
ニコラストリートの
クリスマスツリーの前に行くと、
案の定カップルであふれかえっていた。





「あっ・・・タイジ」





偶然にも、
タイジの姿を発見した。





隣にいるのは、
学校一の美女と名高い、
ミユウさんだった。





「あいつ・・・」





うらやましさが度を越えて、
嫉妬という感情であふれている。





その時・・・
目の前の人と目が合った。





「えっ・・・?」





お互い、目の前の光景に
驚きすぎて、言葉を失った。





「ヒマリ・・・?」





「リヒト・・・?
なんでここにいるの?」





それはこちらのセリフである、
というのは一旦置いといて、





周りを見ると、ヒマリも
どうやら1人っぽいことがわかる。





それを確認して、僕はヒマリと
近くのベンチに腰かけた。





「久しぶりだね・・・」





「うん・・・」





衝撃の余波が収まらず、いつも
他愛もない話をしていたことが
うそのように、ずっと沈黙の時間が
流れていた。





「あのさ」





僕は勇気を振りしぼって
ヒマリに聞いてみた。





「なんであの日、
来てくれなかったの?」





下手すると、この関係が
終わってしまうかもしれない。





だけど、どうしても
聞きたいと思い、聞いてみた。





「リヒト・・・」





気がつくとヒマリは、
ポロポロと涙をこぼしていた。





あぁ・・・やっぱり
聞かない方がよかったと思った。





次の瞬間、





「わーん! リヒトー!」





ヒマリは、泣きながら
僕に抱きついてきた。





「えっ・・・?
ちょっと? ヒマリ?
一体どうしたんだよ?」





「ごめん・・・リヒト」





話を聞いて分かったことだが、
実は約束の前の日、
ヒマリのお母さんが
突然事故に遭ったらしい。





すぐに救急搬送され、
ヒマリも急遽お見舞いに
行かなければならず、





僕との約束どころでは
なかったとのこと。





「でも・・・よりによって
転校するなんて・・・」





「私も最初は嫌だったの。
でも、お父さんは仕事で忙しいし、
私1人で家事全般なんて
到底できなかったの。
だから、親せきの家で
同居させてもらおうってことに
なったんだ」





「そうだったんだ・・・」





ヒマリがこんなにも
苦しんでいたなんて・・・





そう思うと、あの日、自分のことで
精いっぱいだった自分を責めたかった。





「ねぇ・・・リヒト」





ヒマリは、まっすぐな視線で
僕を見た。





「何? ヒマリ?」





「私・・・
リヒトのことが好き」





「えっ・・・?」





予想外の発言に、
返す言葉が出なかった。





「私ね、ずっとリヒトのことが
好きだったんだ。
かっこよくて、やさしくて、
いつも私のそばにいてくれて・・・
でもずっと、リヒトに
この気もちが言えなくて・・・」





「なんで先に言うの?」





気がつくと、
僕はそう言っていた。





「えっ・・・?」





「僕の方が、何万倍も好き」





あの日言えなかった、
この言葉。





今ようやく、
ヒマリに伝えられた。





「去年のクリスマス。
本当は、ヒマリが好きって
言いたかったんだ。
でも、結局伝えられなくて、
もうヒマリのことを
あきらめようかなって思ったことも
あったし」





「リヒト・・・」





「ヒマリ、僕と
つきあってくれない?」





「うん!」





1年越しに訪れた、奇跡の瞬間。





どんなクリスマスプレゼントよりも
僕にとって最高の贈り物を
してくれた彼女は・・・





僕にとっての
永遠のサンタクロースだった。







~終わり~

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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