“推し”の正体

CAST川上莉人

作者：ころりん

2025.11.16

俺は、中３の川上リヒト。

自分で言うのもなんだけど、
結構モテる。

今月、もうすでに
４人に告られた。

そして、今５人目の告白を
受けている。

ユノ「好きです。
つきあって下さい・・・！」

リヒト「ごめん。
俺、好きな人いるから」

好きな人、それは同じクラスの
稲垣来泉。

理由はわからないけど
ほぼ毎日授業を早退している。

好きな理由は、なんとなく
俺の推しに似てるから。

ただそれだけ。

そして、俺の推しは、
『NiCOLA』っていう
人気アイドルグループのリーダー、MIRU。

推して今年で４年目なんだ！

ライブも毎回行くようにしている。

今は、年に数回しか行われない、
推しと至近距離でお話ができる
ファンミの当落発表待ち！

去年も一昨年も申しこんだけど
倍率高すぎて
ぜーんぜん当たらない。

どうか今年こそは・・・！

・＊。・　当落発表当日　・。＊・

リヒト「やっば。
キンチョーする！」

リュウト「当たってますよーに」

リュウトは、俺のオタク友達。

同じグループの違うメンバーを
推してるんだって。

必要事項を入力して・・・
結果は・・・!!

〈当選しました〉

リヒト＆リュウト「「よっしゃーー!!」」

リヒト「ミルちゃんとお話できるよー泣」

リュウト「よかったなｗ
俺も楽しみだよ！」

イベントは、ちょうど３週間後。
楽しみすぎるー!!

それ以来、俺たちは
推しへのプレゼント選びや
うちわ作りなど忙しい日々を送った。

・＊。・　イベント当日　・。＊・

リュウト「よ！　リヒト。
お前、準備万端だなｗ」

リヒト「いいだろｗ
てか、リュウトも
人のこと言えねーぞｗ」

リュウト「そんなことより
早く行こーぜ！」

俺たちはそれぞれの
整列場所へ移動した。

リヒト（次だぁー！　緊張してきた）

スタッフ「次の方どうぞー」

ミルちゃん「こんにちはー！
今日は来てくれてありがとー！」

・＊。・　MIRU side　・。＊・

ミル「また来てね！
バイバーイ！」

次の人は誰かな～。

って、え?!
まさかあの人って
同じクラスの、リヒト・・・？

そう、私はリヒトのことが
気になってるの。

学校の私はすっぴんで、
めったに口を利かない静かな子。

だけど、今の私は人気アイドル。

私がこの活動してることは
誰も知らないはずだし、

普通に話せば
だいじょうぶかな・・・

リヒト「こんにちは！
かわいすぎるー！」

やば照れる//

ミル「あ、ありがと！
お名前なんて言うの？」

リヒト「リヒトって、いいます」

やっぱりーー!!
私、ちゃんと笑えてるよね?!

それから私たちは
いろんな話をした。

スタッフ「時間でーす」

ミル「来てくれてうれしかったよ！
絶対また会いに来てね・・・」

リヒト「これからもずっと
大好きです!!」

ミル「・・・ねぇ、待って。
リヒトくんって
同じクラスのリヒトくん、だよね？」

リヒト「え・・・？」

ミル「実は私、同じクラスの稲垣来泉。
もう時間だし、続きは明日学校で！
バイバーイ！」

リヒト「・・・??」

・＊。・　翌日　・。＊・

リヒト「クルミ、昨日のは
どーゆーことだ？」

クルミ「実は私、MIRUって名前で
アイドル活動もしてるの。
このこと知ったの、リヒトくんが最初だよ」

リヒト「でも・・・」

ミル「わかってる。
人が違いすぎるよね。
でもそうしなきゃ、バレちゃうからさ」

リヒト「そうだったんだ・・・」

口ではそう言っときながら、
まだ理解が追いついていない。

「リヒトくん、昨日来てくれて
うれしかったよ！
絶対また来てほしい！」

リヒト「それは、もちろん行くよ！
だって推しなんだもん」

クルミ「私、リヒトくんの
“推し”じゃなくなればいいのにな～
って、思ってる」

リヒト「そんなの無理だって!!」

クルミ「わかってるよｗ
でもさ、推しとつきあいたいなーって
思ったことなーい？」

リヒト「それはー・・・」

クルミ「私、ずっとリヒトくんのこと
好きでした。
私でよければつきあって下さい！」

リヒト「あ、えっとー・・・」

どうしよう、理解がまったく
追いつかない。

今、推しに告白された?!

クルミ「ごめん、
推しは推しだよね、笑」

リヒト「いや、そうじゃなくて。
俺も好きです。お願いします//」

クルミ「ほんとに!?　やったー！」

ギューーッ。

クルミ「これからも、
クルミとしてもミルとしても
大好きでいてね！」

リヒト「もちろん!!!」

こうして、俺は推しと
おつきあいをはじめました！

アイドルのお仕事で
なかなか会えない時もあるけど、
充実した日々を過ごしてまーす！

クルミ、ミル、
これからもずーっと大好きだよ！

＊ｅｎｄ＊