nicola

キーワード検索

強がりで、きれいな君へ。~愛を初めて知った日~

CAST安藤 冶真安藤 冶真

作者:らぁ~

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.07.04

「♪~~~」







僕が初めて君と出会った日。





君は涙を流して歌ってた。











* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





俺の名前は安藤イルマ。





最近すべてのことが
無意味に思えて、
気分が悪い。





学校にも行きたくないけど、
しょうがなく学校に向かう。





イルマ「行ってきます」





誰もいない家にただ、
俺の声が響き渡る。







俺の家族は、小さい頃に
交通事故でみんな死んだ。





親戚は誰ひとりとして
俺を引き取ってくれなかった。





だから俺は、ずっとひとりで
生きてきた。





愛も、人を思う気持ちも知らずに――――――













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





そんな時、君に出会った。





学校に行く途中の、
人通りのない橋。





そこで君は歌ってた。





透明感のある声。
でも芯のある声だった。





俺は立ち止まらずには
いられなかった。





近づいてみると、
君はきれいな瞳から
涙を流していた。





イルマ「・・・あの!
本当にきれいな歌声ですね」





思わず
声をかけてしまった。





いま思うと
新手のナンパのようだが、
まあいいだろう。





?「あ、ありがとうございます。
えっと・・・」





イルマ「安藤イルマ。
高2です。そっちは?」





そのま「私は松尾そのま、
高校1年です」





イルマ「おお~1つ下か。
いつもここで歌ってるの?」





「・・・って、やべ遅刻!!
えーと、んじゃあ今日の5時に
またここで!!
なんかいろいろ話したいんで、、」





俺は逃げるように走った。





本当は、遅刻なんてしてなかった。





だけど、自分の行動に
ただただびっくりして、
1回心を落ち着かせたかった。









学校についても
そわそわしている。





授業も全く耳に入ってこない。





なんで声をかけたんだろうとか、
歌うまかったなとか、
あの子にどう思われただろうとか、、、





1番気になるのは
「なぜ泣いていたのか」。





     ・





     ・





     ・





     ・





     ・





気づけば、もうみんな
帰る支度をしていた。











* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





午後5時10分。





彼女の姿を待っていると、
彼女は現れた。





さらさらの髪。
真っ白で細い手足。
整った顔、澄んだ瞳。





本当に息が止まるくらい、
美しかった。





そのま「遅れてしまって
すいません」





透き通る声で俺に言った。





イルマ「ああ。えっと、、」





そのま「私、いつもここに来て
歌ってるんです。
ここに来ると
嫌なことも忘れられて、
気持ちがいいんです」





イルマ「あさ歌ってたのは
なんて曲?」





そのま「『星屑ビーナス』です。
昔の曲だけど、歌詞が前向きでほんと素敵」





「♪~~」





彼女は小さな声で、
あの曲を口ずさんでいた。





また涙を流して。





あまりにも
きれいな涙だから、
何も言えなかった。





ただ、
「毎日、そのまの歌ききにくよ。
朝、ここで」
とだけつぶやいた。





そのま「イルマくん、ありがとう。
上手に歌えるようにしなきゃ」





そのまはそうはにかむと、
時計を見て
悲しそうな顔をした。





すると、何も言わずに
走って行ってしまった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





次の日から、俺は毎日
そのまに会いに行った。





学校も昼から行くようにして、
午前はずっとそのまといた。







2週間くらい経つと、
そのまも心を
開いてくれるようになった。





そのまといるときだけ、
生きている意味がある気がした。







ある日、





そのま「ねぇ、イルマ?
もし、私がもうすぐ
死ぬって言ったらどうする?」





イルマ「え、、、なんで。。」





そのまが悲しそうな顔で
そう言ったから
俺は何も答えられなかった。





そのま「なーんてね!
死なないけどね!」





「でも、もし死ぬなら
好きな人の隣で死にたい」





イルマ「なんで?」





そのま「私ね、養子なの。
私の家族は私を捨てた。
それで施設に入って、
今の家族に引き取られた。
私、好きっていう感情とか
愛とかわかんない。
でも、だからこそ、この人だ! って
思う人みつけて
その人のそばで死んだら
幸せだろうなーーって」





彼女は切なそうな声で、
震える声で言った。





ずっと弱い部分を見せなかった、
そのまの弱さを知った。





そのまは俺と一緒だった。





両親がいないのも、
愛を知らないのも。





そんなそのまを
俺は黙って見てるしかなかった。





そのま「あっ、なんかごめんね。
・・・じゃあまた明日ね、ばいばい」





その時言った君の“バイバイ”は
どことなく悲しげで。





君も泣きそうな顔をしていた。













・*。・ 次の日 ・。*・





昨日は学校も休んだ。





ずっとそのまのことを
考えていて、





俺はひとつの答えに
たどり着いた。





「そのまが好き」だということ。





好きが分からないなりに
考えたんだ。





一昨日、クラスメートたちが
していた話を思い出した。





「好きな人って、
他愛ない話してるだけで
ああー生きててよかったって
思うよな~~」







そのまといる時間は
本当に楽しい。





いつも世界は
ワントーンの灰色で、
どれもつまらない。





でも、そのまを初めて見た時から
周りの景色、色は変わった。





そのまが笑っているとき、





はしゃいでいるとき、





歌っているとき、





くだらない話をしているとき、







そのまといるときは
世界が明るかった。







これがみんながいう
「恋」なのかはわからない。





でも、この気持ちを
今日、そのまに伝えようと思う。





今日は気分がいい。





スキップをしながら
橋に向かった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





「あれ?、、、、、」





だけど、彼女はそこにいなかった。





彼女がいない代わりに、
1枚の手紙が置いてあった。







―――――――――――――――――
イルマへ
まだ中身は見ないでください。
ニコラ大学附属病院へ来てください。
―――――――――――――――――





ニコラ大学附属病院??
なんでまた??





変な胸騒ぎがした。







病院はそこまで
遠くはない。





俺は走った。





全速力で、彼女が置いた手紙を
握りながら。



     ・

     ・

     ・





ニコラ病院についた。





急いで、受付に問い合わせ
『309』の病室へ向かう。





『309』





病室の重たい扉を開けると、
そこにはそのまがいた。





酸素マスクがつけられていて、
体中に点滴がされていた。





俺の知っている
そのまではない状態で
眠っていた。





ただ呆然とその場に
立ち尽くしていると、





「そのまの彼氏さん?」





と、お母さんらしき人が
声をかけてきた。





イルマ「彼氏?」





そのま母「そのま、最近
仲のいい男の子がいるって言ってて。
毎朝、嬉しそうにしてたわ」





本当に?





そのまも俺と
同じ気持ちなのか??





イルマ「えっと、
そのまはなんでここに、、?」





そのま母「・・・そのまは・・・・・・
骨肉腫という病気なの。
もう発見した時には状態が悪くて、、、
余命は1カ月半ってところだったわ。
でも、そのまは好きなことしたいと
入院はしなかった。
昨日から入院するという約束でね。
そしたら、急に病状が悪化して。
今夜持つかどうかもわからないって
言われたわ」





そのまのお母さんは
泣いていた。





そこで、初めてそのまは
もうすぐ死ぬんだと分かった。





何もかも分かった気がした。





そのまと初めて会った時、
涙を流していたのも、





笑っている顔が
時々切なそうだったのも、





昨日、あんなことを
聞いてきたのも、、





なんで
気づかなかったんだろう。





彼女の変化に
気づいてやれなかった。







そんな自分が憎くて、
情けなくて。





そのまのことを想うと、
涙が出てきた。







そのま母「あの子、強がりだから
きっとなんでも
ひとりで抱え込んじゃうの。
私にだって弱音を吐かなかった。
せめて、最後にそばにいてあげて・・・・・・」







はっきりわかった。





お母さんにも見せない
弱さを俺に見せた。





それは、そのまも俺を
想っていてくれたからなのか。





イルマ「そのま、、、
なんでほんとのこと
言ってくんなかったんだよ」





そう言った瞬間、
そのまは目を覚ました。





そのま「・・・・・・」





そのまは口を
パクパクさせた。





ごめんね、と
いっているようだった。







イルマ「そのま。好きだよ。
そのまのおかげで、
俺は変われた。
人を想う気持ちも知ったよ」





そのまは笑顔を見せながら
こくこくとうなずいていた。





ぽた―――――。





俺の目から涙があふれ出した。





イルマ「なんで、、
なんでみんな
いっちゃうんだよおお・・・」





すると、そのまは
白くて細い手で俺の手を握った。





震えていた。冷たかった。





そしてそのまは
また口をパクパクさせた。





“う”と“い”の文字。





す・き。
俺には確かにそう聞こえた。





そのまの声で
好き、と言っているのが
聞こえた。





そしてそのまは
にこっとほほえみながら
静かに目を閉じた。





     ・

     ・

     ・







ピーーーーーーー





午前9時59分。
彼女は息を引き取った。







俺は泣いた。





嗚咽をしながらずっと泣いた。





病室は俺の嗚咽だけが
響いていた。





そのまからもらった手紙。





きれいな白い封筒に
きれいな字で
「安藤イルマさんへ」
と書いてあった。





中にはたくさんのことが
書いてあった。





初めて会った日のこと、
俺のこと、
そのまの病気のこと、





なんで私なの? って弱音も。





そのまが初めて
泣いたときのこと、





本当にいろんなことが
書いてあった。





そして、最後に、





「イルマと出会えてよかった。
本当に幸せだった。
ありがとう。だいすき」
と、書いてあった。





     ・

     ・

     ・







君との出会いは、突然で
あっという間だったね。





君のおかげで俺は変われた。





人に関心が持てるようになった。





世界が明るくなった。







君に出会えてよかったよ。





好き、って言葉
直接聞きたかったな。





なんでいなくなっちゃったの?





俺の大事な人は、みんな俺の前から
いなくなっちゃうなぁ。





俺が初めて大切だと思った人。





ねぇそのま?





もう2度と君とは
会えないかもしれない。





でも、君のおかげで
変われた俺をずっと見ててね。





そしてね、ずっと君のこと愛してるよ。





強がりで、でも弱さがあって、





歌がうまくて、
本当に本当にきれいな君へ。







いつかまた、君の歌声きかせてね。







*END*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

Like

この物語に投票する

安藤 冶真が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!