一途人たち
作者:Mmm
俺、竹内りゅうと。
ずっと好きな人がいる。
・*。・ 3月、卒業式 ・。*・
「堀口先輩、
ずっと好きでした!
つきあってください」
愛おしき彼女の名は、
大月ミク。
「・・・ごめん、ミクちゃん」
(ミクちゃああああんっ)
うつむいて泣くミクちゃんに、
校舎の陰から心の中で叫ぶ。
(俺がついているから、泣くなっ!)
(ずっと好きです!)
もちろん、
本当には言えない。
なんせ、俺はミクちゃんから
ただでさえ
キモがられているのだから・・・
・*。・ 新学年、7月 ・。*・
(どうしたものか・・・)
俺のもっぱらの悩みは
ずばり、ミクちゃんから
笑顔が消えたことだった。
「ミク、まだ堀口先輩のこと好きなの?」
「いぶき・・・
だって、どうしても
忘れられなくて」
「でも、もう堀口先輩、
とっくに卒業して高校生だよ?」
(うらやましき、
堀口先輩め・・・)
俺は、いつも通り
参考書を読んでいるふりをして
ミクちゃんとその友達、
相沢いぶきの会話を盗み聞きする。
(・・・仕方ない、
悔しいが、どうにか手を打とう)
・*。・ 休み時間 ・。*・
「ちょいちょい、相沢いぶき」
こっそりと相沢いぶきに手招きすると、
彼女はものすごく警戒してやってきた。
「なにか?」
「安心してくれ、俺の話題は
ミクちゃんがらみだけだから」
「いや、それが
信用ならないんだけど」
(・・・・・・・)
(ま、まぁいい)
俺は気を取り直して口を開く。
「単刀直入に言おう。
堀口先輩の現在地を特定した!」
俺のドヤ顔に
相沢は少し引いたようだった。
「ごほん、つまりだ、
ミクちゃんが堀口先輩に
会いたいんじゃないかと思ってな、
バイト先を調べた」
「・・・どゆこと?」
「どうやら、夏休みに入ったら
短期バイトしようとしているらしい」
「へー、って、
なんであんたがそんなこと
知ってんのよ?」
「細かいことはいい、
とにかくミクちゃんに
よろしく頼んだぞ!」
俺は、相沢に堀口先輩の
バイト先のカフェと、
シフト時間についてのメモを渡した。
・*。・ 放課後 ・。*・
「・・・とか、竹内が言っててさー」
「このカフェに行けば
先輩とまた会える・・・!」
「・・・行くの?
だって、・・・
ミク、フラれたんでしょ?
卒業してからは
連絡も取ってないって言ってたし・・・」
「でも、私、もう1回会って、
気もちに決着つけたいから」
(俺が応援してるからなっ!)
物陰でひとり俺は
熱く拳を握る。
・*。・ 数週間後、夏休み突入 ・。*・
「ミクちゃん、来るかな・・・」
俺は、堀口先輩のバイト先の
カフェあたりをうろついて、
ミクちゃんが来るのを待っていた。
(失恋相手と会うんだ・・・
きっと不安になっているミクちゃんを
励まさなくてどうする!)
「・・・って、暑いな・・・」
俺は、冷たいものをゲットしに
コンビニへ入った。
・*。・ 数分後 ・。*・
「アイス、ゲット~」
その時ミクちゃんが
カフェの方に歩いているのをみて、
カフェへと向かう。
・*。・ カフェの中 ・。*・
店内は、ちらほらと学生もいた。
「! 先輩」
ミクちゃんは、すぐに
堀口先輩を見つけた。
でも、近寄る前に、
「堀口が働いてるって聞いて
来ちゃった~」
明らかに高校生の、
垢抜けた女子が堀口に話しかけた。
「おっ、ゆの!
えっ、なんで!?」
「なーに、
彼女来たら困る?」
「そんなはずないだろ!
まじ会えてうれしい」
「・・・あ・・・彼女・・・」
「ミクちゃん!」
くしゃりと、ショックで
ミクちゃんの顔が歪んだ。
カフェの窓から事のしだいを
のぞいてた俺は、
カフェから飛び出した彼女を
あわてて追いかける。
「ミクちゃ~ん!
俺の励ましを聞いてくれ~!」
あわてて走って、走って、
・・・こけた。
それも、
「あっ」
こけた俺の手から離れて
宙を飛んだアイスは・・・
あろうことか、ちょうど
振り返ったミクちゃんの服に
べっとりとついた・・・
「最っ低!!!」
ミクちゃんはそう吐き捨て、
泣きながら走り去っていった。
俺は、あまりに現実を
信じられなくて、、・・・
・・・・・・・思考を放棄し
立ち尽くした・・・・・・・・・
・*。・ 翌日、部活登校 ・。*・
「・・・竹内くん、話って何?」
「・・・ミクちゃん、
昨日は、本当にごめん」
俺は、封筒を差し出す。
「俺の有り金すべてが入っている。
クリーニング代と・・・
あと、いろいろ迷惑料」
(全部、全部、
俺の独りよがりだった)
(ミクちゃんの笑顔を
取り戻せると思って
堀口先輩のバイト先を探して、)
堀口先輩の彼女が浮かぶ。
(もっと、傷つけて)
(ミクちゃんを励まそうとして、)
(アイスかけちゃって、泣かして・・・)
「・・・ごめん、
ほんとうに、何もかも」
(こんな俺の、全てが嫌いだ)
こみ上げて来た涙を隠すために
俺はそう言うなりその場を離れた。
・*。・ 昇降口 ・。*・
「ひっく、ひっく、」
「もー、泣いてるんだから。
どうせ、ミクがらみでしょ」
「! 相沢」
相沢いぶきが急に現れ、
俺はあわてて涙を拭いて隠した。
「ミクは、竹内くんのこと迷惑だって
前から言ってたけどね、」
「・・・自分でも、そう思うよ」
「でもさ、」
相沢は一瞬、少し
ためらったそぶりを見せた。
「あんたのその一生懸命で
一途なところ」
「私は好きなんだけどな」
(・・・!?????!?!?)
頭がついていかず、
馬鹿みたいにあんぐりと
口を開けてしまった。
「あははは、
顔赤くなってんの」
心音がうるさい。
(そんな・・・うそだろ!?)
相沢がいつになくかわいく見え、
俺は動揺する。
彼女ははにかみ、言った。
「ずっと好きです」
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。































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