王子が初めて恋した日

CAST大倉 空人大倉 空人

作者:焼きそばのソース

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.02.16

アンナ「大倉タカト君、
好きです。
付き合ってください!」





学校1の王子様は
毎日のように告白される。





俺は微笑んで、
その子の頭の上に
手を乗せる。





タカト「好きになってくれて
ありがとう。
だけどごめんね、俺、
今部活に集中したいんだ」





アンナ「うん・・・
タカト君が部活第1なのは
わかってた。
でも、好きって
伝えたかったんだ・・・
聞いてくれてありがとう」





タカト「勇気を出して、
伝えてくれてありがとね」





アンナ「うん!」





女は足早に去っていく。





俺はニヤッと笑う。





俺の振り方、神だな。





特別に、俺の振り方の
ポイントを紹介しよう!





その1
告白してくれたことに感謝する





その2
「俺、部活に燃えてる」と、
王子タイプだけど
熱血スポーツマンで
ギャップあるよアピールをする





その3
まだ好きでいてもらえるよう、
「これからもよろしく」と言う





大体の女は
これでまた好きになる。





俺は、学年問わず
先輩後輩からも告られる。





こんな沢山の人から
告られているのに、
俺は女を好きになったことがない。





まぁ、追う恋より
追われる恋派だからな。





女を落とすことが
特技みたいなもんだし。





キーンコーンカーンコーン





タカト「よし、部活に行くか」













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆*





・体育館・





バスケットシューズに
履き替えて、
ゴールを出すなど
準備を始めた。





小3から始めたバスケは、
高2になった今も続けてる。





今1番好きなのは、
やっぱバスケなんだよね。





女と付き合うよりかは、
バスケをしてる方がいい。





バスケ部はモテるし、
バスケやってて
良かったって思う。





カケル「おっ、タカト。
いつも早いなー」





3年のカケル先輩が
やって来た。





タカト「いえ、準備をするのが
後輩の仕事ですから。
カケル先輩は
シュート打って下さい」





しれっと先輩にも
いい子アピ。





味方につけれる物は
とりあえず味方にしとくこと。





これ、ポイントだから、ね。





カケル「やっぱタカトは
いいやつだよなぁ。
タカトモテるだろ?」





タカト「いえ、全然っすよ。
ぶっちゃけ先輩の方が
モテますよ!」





これは嘘、
俺の方がモテる。





雨宮カケル、
告られ回数0回。





調査済みだから。





カケル先輩は
わかりやすく喜ぶ。





カケル「いやぁ、
そんなことないよー!」





先輩、喜んでいる暇があるなら、
少しは自分磨きした方が
いいですよ。





俺はにっこり
微笑みながら、
心の中でそう思う。























*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:*・゜°・☆





俺は3ポイントシュートを打つ。





シュパッ





リングには当たらずに、
ネットだけ音がした。





マナ「うわぁ、すごぉい!」





サキ「さすがタカト君!」





あちこちから
キャーキャー
叫び声がする。





普段は優しい
王子キャラだけど、
部活になったら
真剣になるギャップ、





女子には
たまんないんだろうなー。





ギャラリーは
ざっと見て30人。





そんなかの
3分の2は女子。





ん? カケル先輩、
さっきからどこ
ちらちら見てだろ。





俺はカケル先輩の
目線の先を見た。





あー、ギャラリーにいる
女達か。





そんなアピールしても
無駄だよ。





ここにいるみーんな
俺のファンだからね。





そう思いながら
笑っていると、





「カケル、パス!」





カケル先輩への
ロングパスきた。





しかし、カケル先輩は
まだ女子を見ていた。





カケル先輩は
ロングパスに気づかず
走って通り過ぎる。





ギャラリーの方に
ボールが!





ここは、チャンス?





俺は全力でダッシュして、
ボールを捕まえる。





・・・結構きつかった。





それでも笑顔で
後ろを振り向き、一言。





タカト「大丈夫?
怪我はない?」





はい、ヒーロー登場。





ノノ「うきゃあああぁっ!」





サキ「タカト君、
本当に王子!」





マノカ「助けてくれて、
ありがとー!」





余裕の笑みで
女子の心を掴む。





タカト「無事で良かった」





リナ「・・・そんな作りの笑顔で
よく今まで
女子を落とせたよね」





・・・誰っ!?





俺は声のした方を向く。





そこにいたのは、
肩まである黒髪ストレート、
透き通った白い肌、
大きくてつり上がった瞳。





まるで人形みたいだ・・・





俺は思わず
じっと見つめてた。





このタイプの女、
初めて。





クールで
ツンとしていて、
冷ややかだ。





それに加えて、
他の女とは違って、
俺にアピールしてこない。





むしろ逆。





俺を嫌っているようだった。





リナ「王子キャラでいられるのも、
今のうちなんじゃない?」





そう言って、
体育館を出て行く。





ムカッ!





おっと!
怒るんじゃねーよ俺。





今までのキャラが
崩れてしまう。





・・・だけど、
あいつだけは
本当の俺を見破ってる。





俺は少々イラついてるけど、
それ以上に
怒っている奴らがいる。





それは・・・、





サキ「タカト君に
なんて態度とってんの!」





マナ「サイテー!」





ノノ「タカト君が
王子キャラじゃないわけない!!」





マノカ「あの子、1年生だよね。
美人だけど態度悪いって
噂で聞いてる」





マナ「1年?
タカト君のこと知らないから、
あんなこと言えるんだよ!」





その場にいた女子達は、
口々にあの女子の悪口を言う。





うっわ・・・あの子、
俺に文句言ったことで、
ここにいる女子全員の怒り
買っちゃった。





「タカトー?
大丈夫かー?」





あ、先輩が呼んでる。





俺は笑顔で答える。





タカト「大丈夫です!」





その日の部活は
これで終わった。













*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





俺はバスケットシューズを置きに
教室に戻った。





ノノ「・・・今から行くの?」





サキ「だって、あの女、
許せないんだもん!」





トラブってる?





俺は陰に隠れて
聞き耳を立てた。





マノカ「そうだよ!
あの黒坂リナってやつ、
今から締めに行こうよ!
タカト君にあんな酷いこと
言ったんだから!」





あの女、
黒坂リナっていうんだ。





マナ「靴箱で待ち伏せして、
捕まえよーよ!」





ノノ「おっけ!」





マノカ「存分に
痛めつけてやろーよ!」





足音が聞こえる。





うわ、こっちくる!





俺はその教室から離れる。





足音が遠くなっていく。





俺は誰もいくなった廊下を
見つめる。





あの女、大丈夫か・・・?





・・・まぁ、自業自得だし!
俺なんかにあんなこと
言ったからな!





色々言われたり、
されたりしても
当然のことだ!





それに、あの女かばったところで、
さっきいたあの4人が
俺のファンじゃなくなるかもなんだから
助けに行ってもただの無駄足。





俺は助けに行かん!





『存分に痛めつけてやろーよ!』





さっきの言葉が
頭によぎる。





面倒なことになった・・・





俺は舌打ちして
あの女達の後を追うように
走り出した。























・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・靴箱・





人気がない靴箱で声が響く。





サキ「黒坂リナ、
ちょっときてくんない?」





リナ「・・・なんですか?」





マノカ「あんたは1年、
私らは2年!
命令だっつってんの!
従えよ!」





リナ「・・・分かりました
・・・どこに行くんですか?」





ノノ「わかればいいんだよ」





マナ「こっちに来い!」













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・人気のない教室・





リナ「・・・
何の用ですか?」





サキ「あんた、
自覚なしかよ」





ノノ「タカト君に
言った言葉だよ!」





リナ「・・・タカト?
あぁ・・・
作り笑顔の人ですか?
先輩達、
騙されてますよ」





マノカ「はぁっ!?
あんた、
なめてんのっ!?」





マノカが手の平で
リナを叩こうとする。





タカト「なにしてるの?」





さっきまで
オオカミのような目をしてた
4人の目が
子犬のような目に変わる。





俺も表と裏あるけど、
女子の表と裏は
人が変わったようだ。





女子って・・・
こえーっ!





ノノ「タカト君?」





マノカ「ど、どうしたの?」





俺は1人1人を
見つめて微笑む。





タカト「俺のことで争わないで。
せっかく君達可愛いのに、
台無しだよ?」





俺の攻撃を受けた女子は
大体落ちる。
あのツンツン女子を除いて。





ノノ「タカトくぅん!」





マノカ「ほんと王子様!」





サキ「タカト君、
本当に心広すぎっ!」





マナ「もうとろけちゃう!」





リナ「先輩の言葉、
ほんと寒すぎ・・・」





あぁっ!?





その場に再び
険悪な空気が広がる。





ノノ「黙れよっ!」





黒坂リナは目を瞑る。





自ら怒りを買うなよ・・・





俺は2人の間に
割り込む。





タカト「そんなに怒らないでよ?
俺、怒りん坊な女の子嫌いだな」





俺は片目を閉じる。





俺からの
特別サービスだ!





ノノ「私、もう怒らないー!」





マノカ「私も!」





マナ「うん!」





サキ「だから嫌わないでー!」





俺は優しく微笑む。





タカト「じゃあ、
遅くなったら危ないから、
帰った方がいいよ」





4人は「はぁい」
と返事して
帰っていった。





嵐は去った。





俺は黒坂リナの方を向いて、
片膝をつき、
手を差し出す。





タカト「・・・立てる?」





リナ「・・・1人で立てる」





だよね。





タカト「・・・君、
なんであんなこと言ったの?
痛い目にあうだけなのに」





リナ「質問する前に、
その仮面
取ってくれませんか・・・」





仮面・・・





この女は
何を望んでるんだ?





タカト「このキャラをやめろと?」





自然と言葉が
いつもの俺になっていく。





リナ「そう」





黒坂リナは、
じっと俺を見つめる。





俺はなぜかその目を
向けられたら、
嘘がつけなくなる。





タカト「正直、
このキャラはだるいからな。
お前の前だったら
取ってやってもいいぜ?
この仮面」





リナ「じゃあ、
取ってください」





もうほぼほぼ
王子じゃないけど。





今、笑ってないし。





タカト「お前はなんで、
俺にあんなこと言ったんだよ。
痛い目にあうだけだぜ」





下を向いたままそう言う。





リナ「・・・」





なにも言わないから、
俺は黒坂リナの方を見た。





黒坂リナは目が合うと
微笑んだ。





リナ「絶対、
そっちの先輩の方が
いいですよ」





ドキン・・・





「そうか?」とか
「どうだろう?」とか、
言葉は頭では浮かんでる。





だけどなぜだろう。





思うように言葉が
声にできない。





喉の奥でぐっと詰まる。





それに、
胸の奥が痛い。





リナ「先輩?」





嫌な奴だと思った奴が、
予想と違うギャップがあると、
男は落ちるもんだ。





タカト「ごめん、俺、
用事あるから帰るわ。
じゃな」





俺はドアに
ぶつかりながら
教室を出る。





そして、靴箱まで
ダッシュする。





息を荒げながら、
靴箱で尻餅をつき、
髪をかきあげる。





タカト「・・・なんだよ、
この気持ち・・・」





今までに感じたことのない
心臓の痛さ。





ドッとくるものじゃなくて、
じんわり締め付ける。





目を瞑れは
あいつがいる。





『絶対、
そっちの先輩の方が
いいですよ』





思い出すだけで
鼓動が早くなる。





タカト「っ・・・!」





あの女のことを
なんでこんなに
意識してんだよ・・・













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・次の日・





俺から王子というキャラを
剥がしとった相手。





それは、1年生で
年上にも一切
自分の意見を変えない
クールでツンとした女だ。





俺はこんな女
タイプじゃない。





てか、まず女を
好きになったことない。





なのに・・・
あの女が
頭から離れない。





オオゾラ「タカトー、
昼飯いこーぜ!」





こいつは高校で知り合って
仲良くなった懸樋オオゾラ。





結構モテる。





タカト「うん」





あの女には、王子キャラ
やめた方がいいと言われたけど、
今更変える意思もない。





それも俺のプライドが
許さない。





マノカ「あ・・・
タカト君オオゾラ君!」





ん?





そこにいたのは
昨日の4人だ。





タカト「どうしたの?」





サキ「お昼一緒に
したいなって思って・・・」





タカト「もちろん、いいよ!
なっ、オオゾラ?」





オオゾラも
嬉しげに頷く。





オオゾラ「おう!」





オオゾラは
今彼女募集中だから、
俺がそのきっかけを
作ってやろうと思った。













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・中庭のベンチ・





ノノ「タカト君とオオゾラ君と
お昼できるなんて、
夢みたいだよ!」





マナ「んね!」





タカト「そんな夢、
いつでも叶うよ。
明日も一緒に食べよーよ」





4人の目が
ハートになる。





オオゾラ「俺らも
一緒にお昼出来て
嬉しいな」





4人がもう
倒れそうだった。





・・・オオゾラも
なかなかやるな。





オオゾラの方を見て、
ふっと笑うと、
オオゾラも得意げに笑う。





マナ「あ・・・」





安村マナが
誰かを見つけると、
他の3人と目を合わせる。





タカト「何かあった?」





俺は安村マナの
目線の先を見た。





え・・・





そこにいたのは、
黒坂リナと
カケル先輩だった。





は?
1年と3年だぜ?





なんで?





あいつ、
彼氏いたのか?





しかもそれが、
カケル先輩?





俺は笑顔が
作れなくなる。





笑えない・・・





いつものように
笑えない・・・





そう思った時、
黒坂リナと目が合った。





黒坂リナは
かすかに笑った。





そして、2人は
通り過ぎて行った。





あいつ今、
何か伝えようとした・・・?





オオゾラ「あの男の方、
タカトの先輩だよね?」





まず、あれ
俺に向かって笑った?





それか、
笑って見えた?





どれだよ・・・





わかんねぇ・・・





オオゾラ「・・・タカト?」





オオゾラが
不思議な目で俺を見る。





タカト「あ・・・ごめん」





女子の4人を見ると、
気まずそうにしていた。





あの女を見て、
だんまりしていたのは、
昨日のこと
気にしてるからか?





俺は気持ちを落ち着かせ、
にっこり笑う。





タカト「昨日のことは
気にしなくていいよ。
あの子も
気にしてないみたいだし」





すると、4人の顔から
緊張がほぐれる。





マノカ「・・・私達、
感情的になりすぎたみたい・・・
ごめんね」





意外と
反省してるみたいだな。





相手の顔色をうかがって
気遣うのもポイント!





俺、完璧対応!





・・・色々と、
あいつのことで
頭がいっぱいだ・・・













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・その日の放課後・





理科の教師「大倉ー、
これ運んでおいてもらえるか?」





今日は早く帰りてぇのに・・・





俺はいかにも
作った笑顔で対応する。





タカト「分かりました」





できるだけ、先生も
味方につけておくこと・・・





サキ「タカト君!
手伝おうか?」





俺は余裕の表情で言う。





タカト「大丈夫だよ!
気を使ってくれて、
ありがとうね」





俺、王子タイプだけど
意外と力もあるんだよアピールだな!





サキ「うん」





教室の出口にいた俺に
濱尾サキは笑って手を振った。





それに俺も応えるように笑う。













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・廊下・





理科室って
意外と遠いんだよな・・・





全く・・・
男に任せるとは言え、
クラス分の顕微鏡が入った箱を
2つも持たせるとは・・・





階段なんか、
前も見えねぇ。





リナ「先輩。
1つ貸してください」





タカト「・・・おう
・・・助かる」





こいつの前だと、自然と
王子キャラじゃなくなる。





リナ「これ、
どこまで運ぶんですか?」





タカト「理科室」





リナ「そうですか・・・」





沈黙





タカト「・・・
昼食の時、
見たんだけど、
付き合ってんの?」





黒坂リナの顔が
こわばる。





まるで、何かを
隠してるような。





リナ「少し前に
付き合おうって言われて
付き合ってるんです」





・・・そうか。





俺には関係ねぇけど・・・な。





リナ「あの・・・
前に先輩にたくさん酷いこと
言ったんですけど、
謝るの忘れていて・・・
あの時はすいませんでした」





そして、その大きな目を
細めて笑う。





タカト「いや、別に
気にしてねーけど」





リナ「私、誤解してました。
先輩、もっとゲスい人だと
思ってましたけど、
いい人だって気づきました」





ゲスいって・・・





俺、そんな印象
持たれてたんだ。





自然と口元が綻ぶ。





タカト「俺も、勘違いしてた。
初めてお前に会った時、
嫌な奴だって思ってたけど、
案外笑う奴なんだったって思った」





すると黒坂リナは
ふふっと笑う。





リナ「やっぱり人は
第一印象で決めたら
だめですね」





ドキン・・・





タカト「あのさ・・・」





カケル「リナ・・・とタカト?」





カケル先輩・・・?





カケル先輩が現れたとたん、
黒坂リナの表情が曇る。





カケル「一緒に帰ろ」





リナ「・・・分かりました、
あ、でもこれを理科室まで
運ばないと・・・」





気を使うことも大事・・・





そう思っているのに、
言葉が出てこない・・・





まるでこいつを
カケル先輩のところに
行かせたくないみたいな・・・





・・・んな訳ねぇし!





俺、学校の王子だぜ?





タカト「ここまで
持ってくれてありがとう。
あとは俺1人でいいから、
カケル先輩と早く帰っていいよ。
遅くなるし」





よし、言えた。





リナ「・・・ありがとうございます」





・・・まただ、
あのかすかに笑う表情。





リナ「じゃあ私、行きますね」





俺は、衝動的に
手を掴む。





タカト「なにか、あったのか?」





黒坂リナのSOSが
聞こえたような気がした。





リナ「・・・いえ、
大丈夫ですよ?」





タカト「そうか・・・」





リナ「私とカケル先輩の仲は安泰で
カケル先輩のこと
すごく好きですから」





俺は力が抜けるように
黒坂リナから手を離す。





タカト「・・・じゃ・・・な」





リナ「・・・また明日です」





俺は2人が帰っていくのを
見ていられずに、
駆け込むように理科室にいくと、
顕微鏡の入った箱を床に落とした。





タカト「・・・
今頃気づいても、
遅いのに・・・」





本当に、黒坂リナは
カケル先輩のことが
好きなんだ。





『カケル先輩のこと
すごく好きですから』





タカト「今からどう頑張っても、
あいつには、
手は届かない・・・」





追う恋の気持ちが
どんなに辛いかが
やっと理解できた。





俺は、目から
大量の涙をこぼして、
泣いた。





タカト「っ・・・
俺はなにをしてたんだ・・・
王子なんて言われて、
かっこづけて、
余裕ぶって・・・」





今の俺、くそだせぇ・・・





俺が初めて恋した日の
空の色。





それは今の俺の気持ちを
表したような、
黒色の雲と雨だった。





どんなに後悔しても
遅かった。





あの時俺は
黒坂リナの手を
離すべきじゃなかったって。













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・次の日・





サキ「タカト君。
今いい?」





次の日の朝会が始まる前、
濱尾サキに呼び出された。





サキ「私、最近タカト君と
よく喋るようになって、
すごく好きって思ったの。
出来れば付き合ってほしいな」





俺はもう、
覚悟を決めた。





タカト「ごめん。
俺、どうしても
好きな人がいるんだ。
俺のことは諦めてほしい」





まだ好きでいて
ほしいなんて、
もう思わせない。





俺の目に映るのは、
黒坂リナだけだから。





サキ「・・・タカト・・・君、
好きな人いたんだ」





今にも泣きそうな
濱尾サキ。





タカト「あと、さ、
俺、王子キャラじゃないんだ。
本当は結構クソみたいな奴なんだ。
騙してたようでごめん」





濱尾サキは、
笑顔で深く頷く。





サキ「どんなタカト君でも、
優しくていい人だよ」





タカト「ありがとう」





それだけ言って
立ち去った。





あいつと両想いに
なりたいなんて、
望んでない。





だけど、
出来るところまで
頑張って、
好きだけは言いたい。





もう、王子キャラをよそおって、
女を落とそうなんて真似しない。





誰に対しても、
ありのままの俺でいたい。





黒坂リナのおかげで、
そう思えるようになれた。













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・放課後・





今日は理科の教師の
手伝いもないな。





だったら、黒坂リナと
出会うこともない。





今日はもう帰るか。





スクールバッグを持って、
階段を降りていたところだった。





リナ「・・・やっぱり、嫌です」





この声は・・・黒坂リナ?





カケル「何言ってんの?」





それにカケル先輩?





なんか、いつもの
カケル先輩じゃない気がする・・・





リナ「私、やっぱりカケル先輩と
付き合えないです。
好きな人がいるんです・・・」





え・・・?





カケル「そんなこと言われても、
一度付き合い始めたんだし、
俺、別れたくないし、
嫌とか言われても、
変わらないよ」





リナ「・・・あの時は、
カケル先輩が私を脅して、
無理やりいいよって
言わせたじゃないですか」





リナ「・・・私は、
好きな人にまで
嘘をついたんですよ・・・
カケル先輩が好きだって・・・」





カケル「うるせぇなぁ。
でも、もう遅いよ。
お前の好きな人は俺だ。
俺らは正真正銘のカレカノだよ。
お前は俺の言うことを
聞いてればいいんだよ」





黒坂リナが、
肩を震わせて
顔を手で覆う。





俺は拳を固め
派手に音を立てる。





タカト「好きな女を
泣かせてんじゃねよ」





カケル「・・・タカト、か。
何しに来たんだ?
これは俺ら2人の
問題なんだけど」





タカト「関係ならある。
そいつは俺の好きな奴だから」





カケル先輩は
ふっと笑う。





カケル「好きな奴ねぇ・・・
てか、タカト、お前そんな
荒れたキャラだったんだ。
あの清楚そうな王子キャラは
作ってたんだね。
まぁ、薄々気づいてたけど」





タカト「あぁ、俺はキャラ作って
女を落とそうとしてたクズだよ。
だけど、意見を聞かずに
好きな奴を泣かせてまで
自分に従わせようとしたお前の方が
よっぽどクズだっ!」





カケル先輩は
片目を細める。





カケル「・・・あれ?
そんなこと言ってもいいの?
俺、君がキャラ作ってたこと、
バラすよ?」





俺は、首を縦に
振りながら言う。





タカト「言ってもいいですよ。
俺はどんなに傷ついてもいいです。
好きにしてください。
だけど、黒坂リナを
傷つけるまねはやめてください」





カケル「ふっ、面倒くなってきたなぁ・・・
いいよ、こんな奴いらねえょっと!」





タカト「てめぇっ!!」





カケル先輩は
黒坂リナを掴むと、
強引に投げてきた。





俺は手を広げて
受け止めた。





タカト「大丈夫かっ!?」





黒坂リナは目から
涙をこぼしながら言う。





リナ「私のせいで、
ごめんなさい・・・っ・・・」





俺は、黒坂リナの
その白い肌につたう
涙を拭った。





タカト「黒坂リナは悪くない。
あの先輩にもう
手出しはさせないから、
泣くなよ、大丈夫だから」





黒坂リナをゆっくりと
壁に寄りかからせると、
再びカケル先輩に向き直った。





タカト「俺をバスケの
レギュラーから外してもいい。
なんならバスケ部から
追い出してもいいです。
だからもう、こいつには
関わらないでください」





カケル「・・・へぇ
・・・相当な覚悟はあるんだな」





タカト「もし次、
こいつになんかした場合は・・・」





俺は先輩を
鬼の形相で睨み、
それからにこっと笑った。





タカト「どんな方法を使ってでも、
カケル先輩を苦しめますから。
先輩も覚悟しておいてください」





満面の笑みでの
この言葉は、
結構怖いと思う。





カケル「お、おう・・・」





覚悟カケル先輩は
逃げるように去って行った。





1番好きなバスケも、
やめる覚悟だってある。





だって、バスケ以上に
好きなのができたから。





タカト「昨日とか、その前とか、
黒坂リナが助けを求めていたのに、
気づいてあげられなくて、
ごめんな」





リナ「・・・いえ、全然・・・」





タカト「・・・昨日も、
手を離して悪かった・・・
あの時の俺、
すんげぇバカだった」





リナ「・・・い、え・・・
全然・・・」





タカト「こんなことになるまで、
気づかなくてごめん・・・」





リナ「・・・ほんと・・・は、
すごく怖かったです・・・」





俺は、黒坂リナに
歩み寄ると、
ぎゅっと抱きしめた。





タカト「・・・俺、
さっき言ったけど、
黒・・・リナのこと知ってから、
ずっと好きだった」





リナ「私も、嘘ついて
すいませんでした。
カケル先輩が
すごく好きだなんて・・・
本当は、タカト先輩が
好きなのに・・・」





夢みたいだ・・・





リナの口から、
好きって
聞けるなんて・・・





タカト「お前に出会わなければ、
ずっと王子キャラして
馬鹿みたいにしてたかもな」





リナ「前にも言いましたけど、
やっぱり王子キャラじゃない
先輩の方がいいと思います」





タカト「うん、俺もそう思う」





タカト「・・・俺に、
人を好きになることを
教えてくれてありがとう」





その瞬間、リナが
びっくりした表情で
こっちを見る。





リナ「・・・私が初恋なんですかっ!?
なんか意外です・・・」





タカト「そ、そうか?」





リナ「私なんかより、
もっとギャル系の女の人が
タイプなんかと思ってました・・・」





ギャル・・・





タカト「ギャルは・・・怖い」





リナは大笑いする。





リナ「タカト先輩の
意外な一面が見れて
良かったです」





タカト「あのさ、
今気づいたんだけど、
俺のこと、タカト先輩って
呼んでくれてたんだ」





するとリナは
膨れた顔でこっちを見る。





リナ「タカト先輩も、
今さっきリナって
呼んでくれましたよね?
私、ずっとフルネーム呼びで、
ちょっと嫌でした!」





プンプンと膨れている
リナも面白い。





タカト「ごめんって・・・
あ、帰りにコンビニで
何か奢るから・・・」





するとリナは
大はしゃぎする。





リナ「じゃあ、プレミアム
高級リッチスペシャル
生クリーム仕立ての
抹茶ロールケーキで!」





高そうだな・・・





まぁいいや・・・、





タカト「分かった、
買ってあげるよ」





リナ「やった!」





涙を流しているリナも、
膨れているリナも好きだけど、





やっぱり
笑顔でいてくれるのが、
1番嬉しいから。





リナ「じゃあ、
コンビニまで
ダッシュしましょう!」





と言って、
リナは走り出す。





タカト「えっ・・・
ちょ、待てっ!」





俺は慌てて
リナの後を追った。





俺の初めて
恋が叶った日の空の色





それは、今の俺の気持ちを
表したような
雨上がりの空色で





7色の虹が架かっていた。







・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆END

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