初恋は勉強会の中で
作者:りぃ
私は、畠桜子。
中学1年生。
私には、好きな人がいる。
ニコラ学園の中で
1番のイケメンと呼ばれている、
川上莉人くん。
私はニコラ学園を初等部から
エスカレーター式で上がってて、
莉人くんも初等部から
エスカレーターで
中等部に上がってきた。
とはいえ、莉人くんは
同じ校舎だとは言え、3年生。
1年生の私とは
あまり接点がない。
私は、“あの時”のことを
思い出していた。
─────────────
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あの時私は、先生に頼まれて
職員室にたくさんの書類を
届けに行ってて。
前が見えなくて
転びそうになった時、
莉人くんが支えてくれて、
書類を職員室に届けてくれた。
たぶん、一目ぼれ
だったんじゃないかな。
「何ボーっとしてるの、桜子」
そう心配そうに言ったのは、
私と同じくエスカレーター式で
上がってきた、親友の白水ひより。
その後ろには、私たちと同じく
エスカレーター式で上がってきた、
親友の稲垣来泉。通称くーちゃん。
「うーんとね、
ちょっと思い出してた」
「も~。ちょっとって、何のこと?
まいいや。ていうかさ、
くーが日曜日、お泊り会しよって
言ってるんだけど、どうする?」
「くーちゃんがやりたいのなら、
やろっか」
「もう、他人事じゃないんだから。
ほんっと桜子って、お人好しよね」
「さく、ありがとう」
そういって、にっこり
ほほえんだくーちゃん。
くーちゃんは、私のことを
さくと呼んでるの。
ひよりのことは、
ひーだけどね。
「そういえば今日ね、
おいしそうなカフェ見つけたの。
放課後行かない?」
「うーん。でも課題が・・・」
学年一の首席、
ひよりがそういった。
相変わらず、ひよりは
まじめだなぁ。
「じゃあ課題終わらせて
カフェに行かない?」
「うん、そうだね。
というか、そろそろ小テストじゃん。
赤点取ったら補習でしょ?
だいじょうぶ?」
「くーちゃんは、だいじょうぶだよね。
頭いいし。
ひよりも主席だからなぁ・・・
問題は、私か」
いつもテストのランキングで
中間あたりをうろついている私。
英語は必然的にダメだし、
1番得意な国語と数学も
中の上あたりだからな・・・
まぁ他の教科は、ぜんぶ中の下。
だから、いい方なのかもしれない。
「というか、私、やばいんだよ~!
今回のテストで赤点取ったら
塾はいらせるって、お母さんが言ってたの」
「ドンマイドンマイ。
あ、じゃあ、初恋の人、
川上先輩に勉強教えてもらえば?」
「それ、いいと思う」
え~・・・
勉強を教えてもらうのは
ありがたいけど、
ちょっと
緊張するというか・・・
「川上先輩に言っておくよ。
ってか、くー、今日
委員会の集まりあるって
言ってなかった?」
「あ、そうだった。
ありがと、ひー。
ごめん、さく、ひー。
今日カフェいけなくなっちゃった」
「だいじょうぶだよ、
またいつか行こ」
『白水ひよりさん、
至急、職員室まで来てください』
「ごめん、桜子。
私も行かないと。
気をつけて帰ってね!」
ひよりと、くーちゃんを見送ったあと
公園にいって
ブランコをこぎ始めた。
ギー、ギーという
ブランコの音が聞こえる。
あ、あれ・・・?
あそこにいる人って
たぶん、莉人くん・・・?
通学バッグを持ちながら、
公園に入ってきた莉人くん。
私に気づいたようで、
近づいてきた。
え、なんでなんで!
赤の他人だよ?
ただ私が莉人くんのこと
知ってるってだけで!
「白水から聞いたよ。
桜子、勉強教えて
もらいたいんでしょ?
いいよ。どこでやる?」
いやいやいや~!!
いきなり話、
進めないでくださいよ~!!!
「ん、どうした?」
どうしたもこうしたも
ないってば~!!
「まぁとりあえず、
毎週の月曜日、勉強会ってことで
よろしくね。
場所は、俺の部屋で」
そして、勉強会は始まった・・・
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
休みをはさんだ、週明け。
放課後になって、ひよりと
くーちゃんと別れたあと、
莉人くんから教えられた住所をもとに
莉人くんの家に向かう。
玄関のドアを開けて、
いざ中へ。
ひゃ~!!
初恋の人の家、
オシャレすぎる~!!!
しばらく驚愕していると、
莉人くんが出てきた。
「あ、桜子。来たんだ。
じゃ、始めよ」
1番奥の莉人くんの部屋に行って、
遠慮しながらも座らせてもらった。
だけどこの体制・・・
正直恥ずかしい・・・
肩がぴったりくっついていて、
顔が赤くなる。
莉人くんの横顔を見ていると、
少しボーっとしてきた。
「・・・好き」
・・・え?
わ、私、今なんて言った?
目の前の莉人くんは
すごく驚いていて、
少し顔が赤い。
「桜子、それ本当?」
莉人くんの言葉に、
うんとうなずく。
「俺と一緒じゃん・・・
ねぇ、桜子。
俺、桜子のこと好きだよ」
ほ、本当・・・!?
そういってしまいそうな
ほど驚いた。
「桜子のやさしいトコとか・・・
穏やかなトコに惹かれていったんだ。
桜子。俺とつきあってください!」
「う、ウソ・・・」
「うそじゃないよ。
・・・ってことで、
これからよろしく」
目の前でほほ笑んだ王子様・・・
じゃなくて、莉人くん。
「うん・・・!」
私は莉人くんに笑顔を向けた。
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。































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