かこかわな転校生は俺の推し
作者:かりね
・*。・ 学校 ・。*・
タイヨウ「俺はオタクだ、
最近人気が出てきた
地下アイドルグループ
smileyのカイラがかっこよすぎる!
あんなDKに慣れたら
モテるんだろうなー」
先生(レン)「今日は
転校生を紹介する。
カイラさんだ、
仲良くしてやれよー」
タ(え、カイラってもしかして)
前を見ると間違いなく
カイラだった。しかし、
タ「え? スカート?」
驚いて思わず
声に出してしまった言葉は
彼・・・いや彼女の耳に
届いてしまったらしく、
驚いたような顔をした。
先生「席は1番前です。
タイヨウの隣だ」
タ(は? なんだよ、
先生しこんでんのか?
心臓が持たねぇ)
女子だったとはいえ
推しにかわりはなく
俺の隣に座ったイチ推しに
目を奪われる。
その視線に気づいたのか
彼女はこっちを見た。
カ「ちょっと
話があるんだけど」
ぼーっとしていた俺は
休み時間になったことに気づかず
急に推しに話かけられ
思わず椅子から落ちてしまった。
タ「イタタ・・・」
カ「大丈夫?
えと、タイヨウくん」
タ(名前呼ばれた!
認知されてたんだ!)
俺は嬉しくて
飛び上がるように
立ち上がった。
タ「だ、大丈夫です!
カイラさん。
えと、話ってなんですか?」
カタコトで話す俺を見て
推しはキラキラと笑う。
タ(まぶしー)
カ「さっき、スカート?
って言ったでしょ。
実は自分はジェンダーレスで、
アイドルしてるときは
男性みたいにかっこよくありたくて、
あのグループはジェンダーレスの
メンバーで出来てるんだ、
知らなかった?」
タ「最近推し始めたばかりで
知りませんでした、
推し仲間もいませんし、
クラスのみんなには
ガチオタクだって
思われたくなくて・・・」
カ「まぁ、地下アイドルって
あまり知られる機会少ないしね。
その中でも知ってくれてありがとう」
プリンススマイルで
笑いかけてくる。
タ(う、無自覚なのかこの笑顔。
女子の姿なのにかっこいい、
いや、この格好だから
可愛くもあるのか?)
カ「あと、敬語じゃなくていいよ。
さっきガチオタクだって
思われたくないって言ってたけど
別にいいんじゃない?
結構いるよ」
タ「女子なら推しのために
可愛い格好したりするし
男子ウケもいいけど、
男子のガチオタクって
キモいって思われやすいから」
カ「そんなことないよ、
いつも応援してくれるタイヨウくん
かっこいいよ!」
タ「そ、そんなこと言われたら
照れるなー」
2人で笑い合っていたら
カイラが先生に呼ばれた。
去り際に
「一緒に帰ろうよ!」
と、言われた。
タ(え、急に?
いいよ~って
言っちゃったけど
俺、今日死なない?)
・*。・ 帰り ・。*・
カ「最初は不安だったけど
タイヨウくんがいてくれてよかった。
アイドルしてることも
言ってないみたいだし
ありがたいよ~。
これからもシークレットね」
ドキッ
ニコッと笑う推しに
心を打たれた。
タ「かわいい」
カ「どうかした?」
俺はいつの間にか
見つめていたらしく
カイラも不思議そうに
俺を見つめる。
タ「な、なんでもないよ~、
そういえばジェンダーレスって
言ってたけど
スカートとか嫌いじゃないの?
俺の友達にもいたけど
キライだって言って
スカート履いてなかったし」
カ「あー、自分もホントは
スカート履きたくはないんだけど
親に言ってなくて。
先生には言ったんだけど、
女子なんだから女子らしく
有りなさいって言われて。
いつも、男子の制服
いいなーって思うんだー」
タ「じゃあ、俺のきてみる?」
カ「え、いいの?
やった!」
思わず言っちゃったけど
これって家に来るってことだよな、
ヤバイヤバイ!
タ「推しを、というか
アイドルを家に上げていいの?」
カ「いいよ、今はオフだし
自分のこと知ってる人
いないと思うし」
タ「そ、うなのかな・・・」
さっきから知られてない、
有名じゃないというカイラに
もやもやしつつ、家に案内した。
・*。・ 家 ・。*・
タ「カイラ、さん着れた?」
カ「入るよー」
扉を開けると
少し大きめの制服を着た
推しのカイラが立っていた。
タ「やば、
かっこよすぎ!」
カ「どう?
変じゃない」
タ「全く変じゃないです、
かっこいいです!」
カ「よかったー」
うれしそうにするカイラをみて
安堵する俺だが、
女子の姿でおおきめの制服を着る姿は
彼服を着ているように見えて
俺はカイラに惚れてしまった。
その日俺は、カイラを
家まで送り届けた。
家に帰ったあとで
カイラが着た制服を明日
自分が着なければならないことに
気づき、大慌てしたことは
言うまでもない。
・*。・ 次の日 ・。*・
タ「おはよ、う・・・」
教室に入ると
ざわざわとしていて
不穏な感じがした
タ「どうしたん?」
クラスメイト(たすく)「いや、
カイラさんが席についた瞬間
泣きながら飛び出しちゃって・・・」
タ「え!?」
俺は教室を飛び出し
カイラを探した。
タ「カイラ!」
カ「タイヨウくん・・・私・・・」
タ「どうした?
落ち着いてからでいいから
話してみて」
カイラはゆっくり
あの後あったことを
はなしてくれた。
カ「実は昨日、
タイヨウくんの家に行ってる間に
事務所から電話があったらしくて
いつもは私が急いで出るし、
親にはこの番号は大切な人からだから
出ないでって言ってたんだけど
お母さんが出ちゃったみたいで
アイドルしてることがバレて
やめなさいって言われて、
とにかく今度話し合うことになったんだけど
落ち着かなくて、
とりあえず学校には行こうと思って
来たんだけど
机の中を見たらこれが・・・」
カイラの手には
『私は全部知ってます』
と書かれた手紙と
俺がカイラを家まで送ったときの
写真があった。
タ(撮られてたのか・・・)
カ「ごめんなさい、
私のせいで巻き込んでしまって」
タ「いや、俺が誘ったからだよ、
ごめん。
親とはゆっくり話していこう、
俺も手伝うよ!」
カ「ありがとう、
タイヨウくん」
タ(問題はこの手紙だよなー、
ん?
この文字の書き方・・・)
タ「俺、この手紙書いた人
わかるかも」
俺たちは放課後
この手紙の犯人を呼び出した。
タ「この手紙を書いたの
先生ですよね?」
先生「どうしてそう思うのかな?」
タ「この『っ』の書き方は
先生ですよね?」
先生はいつも
『っ』を下ではなく
上に書いていた。
先生「確かに私はそう書きますが、
他にもいるでしょう?」
タ「もう1つあります、
先生、そのスマホケースに
ついているキーホルダーは
なんですか?」
先生「これは・・・」
先生のスマホには
1週間前にあったSmileyの
ライブの限定キーホルダーが、
ついていた。
タ「先生は知ってたんですよね、
カイラがアイドルだって」
先生は、少し俯いたと思ったら
急に俺に掴みかかってきた。
先生「タイヨウ、お前が悪いんだよ。
カイラはアイドルだ! 推しだ!
空の上の存在、
なのにお前はカイラを家に連れ込んだ。
ファンとしてあるまじき行為だ!」
確かに先生の言うとおりだ、
でも。
タ「先生の言うことはわかります。
でも、俺はカイラが
アイドルとして立ってるとき以外は
クラスメイトとして、
願いを叶えたいと思ったんです!
先生は知ってたんでしょう?
ジェンダーレスだって、
本当はかっこよく有りたいって
なんで叶えてあげなかったんですか?」
先生「それは、
規則だからで・・・」
タ「規則だからって
スカートを履かせただけじゃなくて
かっこよく有りたいと思う気持ちまで
潰すなんて、それこそファン失格です!」
先生「子供で、にわかファンのお前に
何がわかる!
俺はカイラちゃんに
気づいてもらえなかったのに!」
カ「にわかファンだろうと
大切なファンです!
先生、ファンだと気づかず
すみませんでした!
でも、正直女子らしくって
言われたとき傷つきました。
悲しかったです。
それと、大切な人を傷つけようとする人は
ファンだろうと嫌いです!」
先生が俺を殴ろうとしたとき
カイラが間に入ってくれた。
先生「嫌い?」
先生も嫌われたことには
ショックだったようで
悲しげに去っていった。
カ「大丈夫だった?」
タ「うん、ありがとう!」
カ「お礼を言うのはこっちだよ!
本当にありがとう!
はっきり言ってくれて嬉しかった、
かっこよかった!」
タ「カイラがはっきり言ってた姿
かっこよかったよ!
カイラは俺のイチ推しだ!」
しばらくして、先生は
学校をやめることになった。
俺に殴りかかっているのを
他の先生が見ていたらしく
やめざるをえなくなったらしい。
俺らはというと、
カイラは親と話ができたらしく
アイドルを続けている。
さらに、
ジェンダーレスなことも
打ち明けられたようで
男子の制服で
登校できるようになった。
タ「おはよう、カイラ」
カ「おはよう、タイヨウ」
タ「本当によかったな、
願いが叶って」
カ「うん!
タイヨウのおかげ。
ホントありがとう」
タ「いやいや、
自分が頑張った成果だろ」
俺が頭をポンと叩くと
カイラは少し立ち止まって
ぼそっとなにか言った。
タ「ん? なんて?」
俺が聞くと
ぱっとわらって
なんでもないと走り出した。
タ「ちょ、待てよ!」
カ「タイヨウ!
実は気になる人できたかも!」
タ「は!?
ちょ、誰だよ!
ファンとしては気になる!」
カ「ファンとしてなの?」
タ「いや、そりゃ。
まぁ、クラスの中で
1番仲いい身としては
気になりますけど」
カ「じゃあ、教えなーい!」
タ「じゃあってなんだよ!
おい!」
カ「素直な人には教えます!」
タ「はぁ!
いつも素直だろ、
じゃあヒント!」
カ「ヒントねー、
転校してきて1番に
自分が見つけた人かな」
タ「なんだよそれー」
カ「いつか教えてあげる!」
俺はそれが
自分であることを願った。
数カ月後に
俺がカイラに告白して、
こっそり付き合い始めたのは
また別の話。
*end*
犬飼 太陽
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