こーゆーことだよ!
作者:rina
杏「ねぇねぇー!!
なんで好きでもない子に
第2ボタン
あげちゃうんだってばー!」
伶「・・・別に・・・
くれって言われたから?」
杏「ふーん・・・っ
伶音はくれって言われたら
あげちゃうヒトだったんだねっ!」
伶「な・・・っ違うってば!
あげる子いないし
丁度いいの!」
3月18日。
誰もがこの日を
卒業式だと予想するだろう。
その、1日前。
つまり、3月17日。
僕は、長年片想いしている
彼女と、言い合いをしていた。
でも、目の前にいる彼女は、
僕の想いに
気づいてはいない。
理由?
バカだからだよ。
←それ以外に
なにがあるって話でしょ。
なのに、今は僕の
第2ボタンのことで
話し合っている。
・・・実は、僕が
杏奈じゃない子に
ボタンをあげて、
杏奈の反応を
確かめたかっただけ。
いや、別に僕たちは
付き合ってないけど。
少しでも嫌なら、
ちょっとだけ
期待してもいいかなって、
そんな想いが募ってるんだ。
杏「・・・別に、あたしは
興味ないけどっ」
伶「(ガーン)
・・・じゃ、
いいじゃん。
僕が誰にあげようが」
杏「・・・・・・」
伶「杏奈も、
誰か好きな奴に
貰いに行けば?」
でも、僕の願いは
虚しく散るだけだった。
・・・興味ないって・・・
そんな単刀直入に
言わなくてもいーだろっ!
あー、
ハンパないダメージ
くらったわー。
←そんなことを思ってて、
でも杏奈は僕なんか
好きじゃないってことが分かって、
悔しくて、つい
杏奈にあたってしまった。
杏「・・・うん、じゃあ、
伶音の言うとおりにする」
伶「・・・は?」
杏「あたし、
明日好きな子に
ボタン貰いに行くねっ」
伶「・・・っそ、っか・・・
貰えると、いーね・・・」
僕は意地を張ってて、
すぐにそんな子いないよっ!
って言ってくれると
思ってたから、
物すごく不安になった。
杏奈、
好きな奴いたんだ・・・
杏、奈の好きな奴って
一体誰?
伶「・・・てゆーか
なんで教えてくんないの」
杏「え?」
伶「・・・好きな奴いたんなら、
教えてくれもいーじゃん。
・・・ずっと、
小さい頃から友達?
つーか親友だったんだし」
杏「・・・うん、ごめんね・・・
っでも、伶音には言えないのっ」
彼女が少し
涙目になるのが分かる。
でも、この時の僕は
そんなのおかまいなしで、
自分の感情をぶつけてただけだった。
伶「ふーん?
まぁ、実るといいね。
僕には関係ないけど」
杏「・・・・・そだねっ
でもあたし、
明日貰いに行くから
覚悟しててねっ?」
杏奈が言ってた
覚悟の意味が
分からなかったけど、
この日はケンカ別れを
したように帰った。
この後、僕は家にいても
そのことで
頭がいっぱいだったんだ。
***
「卒業したくないよー!!!」
「俺、高校
行きたくねーしっ(笑)」
「あたし働くからなー・・・」
僕らは、卒業式を終えた後、
写真を撮るかなんかで
皆で校庭に集まっていた。
皆が皆との別れを
惜しんでるけど、
今はそれ所じゃない。
あいつ何処にいんの?
卒業式ん時から
杏奈の姿が見えない。
何処行ったんだよまじで~
←そんなことを思ってると、
僕の目の前に
1人の女のコが現れた。
莉「あの・・・
ボタン、くれるって
言ってたよね・・・?///」
伶「えぇ?
・・・あぁ、そうだったね」
莉「ここじゃ恥ずかしんで、
体育館で
貰ってもいーかな・・・?」
伶「ん? うん、
別にいーよいーよ。
さ、早く行こ」
僕の目の前に
現れたその子は、
同じクラスのモテ女子、
黒坂莉那な訳で。
そーいえばそんなこと
言ったっけな、
って思って、
早く杏奈のことを
見つけたくて、
そくささと物事を
進めていった。
莉「じゃ、
貰ってもいーい?」
伶「・・・うん、いーよ」
体育館の中について、
黒坂さんがクルッ、と
僕の方を向く。
ホントは杏奈に
あげたかったな、
って思うとなんか嫌で、
ギュッと握り締めていた
第2ボタンを
簡単には黒坂さんの手の平に
置くことが出来なかった。
莉「・・・どーしたの?」
伶「え?
・・・うーうん、
なんでもない。
じゃ、これ・・・」
杏「なーにしてんのっ?
伶音っ♪」
その時
僕が決意を決めた時、
体育館の上の室の方から
聞きなれた声がした。
・・・それは、
僕が探していた
杏奈だった。
莉「杏奈ちゃん・・・っ
どうしたの?」
杏「・・・莉那ごめんね?
邪魔しちゃって。
でもね、伶音は違うコに
あげなくちゃいけないんだよっ?」
莉「え・・・そーなの?」
杏「うん。
・・・だから、ごめんねっ?」
莉「そっか・・・
杏奈ちゃんが言うなら
仕方ないか・・・
あたしこそごめん!
帰るね!」
杏奈が現れたと思ったら、
黒坂さんは
僕に小さく会釈して、
どっかに行ってしまった。
伶「・・・なにすんだよ」
杏「えー? ・・・なに、
そんなに莉那に
ボタンあげたかったのー?」
伶「・・・そう・・・じゃ、
ないけど・・・」
僕は、唇をギュッと噛んで
下を向いてしまった。
“・・・杏奈は、
他の奴から貰ったのかよ?”
そう思ってたからだ。
伶「・・・杏奈は、
貰わないの?
好きな奴から」
意を決意して、
上を向く。
・・・でも
杏奈の顔は、
逆光で光っていて
よく見えなかったんだ。
杏「・・・ばか。
ホントばか」
伶「はぁ?」
杏「・・・伶音は分かってない。
・・・なんも分かってないよ・・・」
逆光でよく見えなかった
杏奈の哀しそうな顔が、
一瞬僕の頭をよぎる。
伶「あん「あたしねっ」
そんな杏奈のことを
不思議に思って、
僕が言葉を発そうとしたら、
杏奈が
僕の言葉を遮った。
杏「むっかしから
好きな子がいんの。
でもね、その子はホント
何も分かってなくてねっ?」
いきなり杏奈が
自分の好きな奴を話し出した。
なんなんだよ、
もう・・・
杏奈は僕に
惨めな思いを
させたいわけ?
杏「つまり鈍感なんだぁ、
そのコ」
・・・いや、杏奈も
十分鈍感だけどね。
杏奈の好きな奴が、
途端に羨ましくなった僕は、
ずっと握り締めていた
第2ボタンを、
ポケットの中に
入れようとした。
・・・でも、さ。
杏「そのコね、
昨日あたしに
『好きな奴に貰いに行けば?』
なんてゆーの」
伶「え・・・?」
杏「おっかしいでしょ?」
笑いながら
そう言う彼女に、
僕は違和感を覚えた。
杏奈が言う言葉に、
僕は少し覚えが
あった気がしたんだ。
それって・・・
杏奈が
そんなこと言うなら、
僕、徹底的に
勘違いしちゃうよ?
いーの?
杏奈の言葉を聞いて、
また昨日みたいに
期待してる僕がいたんだ。
伶「それって・・・」
杏「・・・えへっ♪
やっと気づいてくれたぁ?」
でも、それでも。
杏奈がニコぉっと笑って
僕の方を見るのが
分かったから。
杏「あたし伶音がっ
「・・・これ、やるよ」
その瞬間、
何かを言おうとしてた
杏奈の言葉を、
今度は僕が遮る。
そして、ずっと
握り締めていた第2ボタンを、
そっと杏奈に投げたんだ。
杏「え・・・?」
伶「・・・・・こーゆことだよ?」
僕がそう言うと、
杏奈は一瞬不思議そうな
顔をしていたが、
すぐに笑顔になった。
期待・・・
いや、違う。
今度は、僕自身が
自惚れてもいーよね・・・?
*end*
丸田 怜音
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