ボーイズルール
作者:Feel your breeze
俺の名前は、堀口壱吹。
新潮高校に通っている。
「イブキー!」
今声をかけてきたのは、
親友の竹内琉斗である。
「ヘイ! リュウト!
相変わらず、
元気だけはいいよな」
「そうそう!
俺は元気はええけど
アホやから・・・って、
やかましいわ(笑)」
今日もいつも通り、
リュウトのノリツッコミが
冴えまくっていた。
「なぁイブキ、
お前好きな人いる?」
「えーっ?
リュウトはすぐに
バラすからなぁ」
「頼むって!
教えてくれよ~」
「・・・ったく、
絶対ばらすなよ!」
俺は誰にも聞こえないように
念入りに確認して、
リュウトに耳打ちした。
「はぁ? マジ!?」
「おい!
絶対ばらすなよ!」
リュウトを信じて、
そっと教えた俺の好きな人は・・・
隣の席の、稲垣来泉だった。
・*。・ 放課後 ・。*・
俺はこう見えて、
クラスの学級委員長をしている。
今日は放課後に委員会があり、
気がつくと
下校の門限時刻が迫っていた。
「よし、帰ろっと」
身支度をすませ、教室を出た瞬間、
目の前の光景に緊張が走った。
「そのまー! 帰るよー!」
なんと目の前に、
俺の好きな人、
クルミの姿があった。
「クルミー! 今行くー!」
親友の松尾そのまが、
クルミのもとに駆け寄った。
この2人はクラス中、
いや学校中で1番仲が良いと
されているコンビで、
圧倒的かわいさと人気ぶりから
「そのくる後援会」という
ファンクラブができるほどである。
ちなみに俺とリュウトも
そのファンクラブの
一員みたいなもので、
俺はクルミのことが好き、
リュウトはそのまのことが
好きである。
まぁ俺はファンというよりも、
普通に1人の女性として
好きなんだけど。
「ねぇー、クルミー」
「何ー? そのまー」
「クルミってさー
好きな人いるの?」
偶然、そんな話を耳にして、
心臓の鼓動が
早くなっていくのが分かった。
「えーっ? 誰だろう?
うーん・・・」
祈るような気もちで
その話を聞いていた。
「リュウトくんとか?」
「あー、確かに」
その瞬間、俺の淡い希望は
音を立てて崩れていった。
まさか・・・
俺の好きな人の好きな人が、
俺の親友だったとは・・・
・*。・ 翌日 ・。*・
「よぉ! イブキ!」
いつものように、リュウトが
俺のもとに駆けよってきた。
「リュウト・・・お前・・・」
「どうしたんだよ、イブキ!
何かあった?」
「お前・・・俺をハメたな?」
「えっ・・・?」
「お前、実はクルミが
お前のことを好きだって
知ってたんだろ?
だからこんな姑息な真似を
しやがって・・・」
「いや・・・誤解だって!
てか俺、クルミちゃんに
好きな人がいたなんて
初耳なんだけど・・・」
「とぼけるな!
俺をおとしめて何がうれしい?
見損なったわ・・・もう絶交する!」
「おい! イブキ!」
・*。・ その日の放課後 ・。*・
あの日は、ショックで
1日中授業が入ってこなかった。
好きな人のまさかの
カミングアウト、
親友だと思っていた
リュウトの裏切り・・・
人間不信にまでおちいり、
とても授業が入ってこなかったので
早退することに。
「なんでこうなるんだよ・・・」
本当は絶交だなんて
大げさなことにはしたくなかった。
でも、衝撃の余波が大きすぎて、
勢いで言ってしまった。
勢い任せに言った自分を
ちょっぴり責めたいと思った。
・*。・ クルミside ・。*・
隣の席のイブキ君が、
突然早退してしまった。
一体どうしちゃったんだろう?
「クルミ」
そのまが声をかけてきた。
「そのま~、イブキ君が・・・」
「やっぱり・・・
そうだったんだ。
クルミがイブキ君のことを
好きだって」
「でも・・・そのまも
イブキ君が好きなんでしょ?」
「いや、私はリュウト君が
好きだけど」
「えっ・・・? そうなの?」
「多分だけど、クルミは
私がイブキ君のことが好きだと
思ってたんじゃない?
だからあせって、リュウト君が
好きだって言ったんでしょ?」
「えっ・・・?
じゃあ、そのまは最初から・・・」
「うん、私はずっと
リュウト君が好き」
隣には、リュウト君が
来ていた。
「クルミちゃん・・・ゴメンね。
俺のせいで、こじらせてしまって。
イブキ、クルミちゃんが
俺のことが好きってどこかで聞いた瞬間、
ショックで立ち直れないほどまで
落ちこんだらしい。
あいつ、気が強いのにメンタルは弱いから、
1度ショックを受けると
現実逃避したくなるほど荒れるんだよね」
「さすがのイブキ君にも、
そういうところがあったんだね」
「私、イブキ君に
ちゃんと気もち伝えたい!」
・*。・ イブキside ・。*・
あれから、どれだけの
月日がたっただろう。
未だ傷は完全に
ぬぐい切れないままだが、
そろそろ学校に戻らないと
出席不足で留年してしまう。
「とりあえず、明日から
学校に行かないとな」
そう思っていると、
突然家のインターホンが鳴った。
(ピンポーン)
(ガチャ)
「リュウト・・・?
そのまちゃん・・・?」
まさかの来訪に、一瞬戸惑ったが
気を取り直して話を聞くことに。
「イブキ・・・あの・・・」
「リュウト、
ホンマにごめん!」
気がつくと、俺はリュウトの前で
土下座していた。
「そんな・・・イブキ・・・」
「正直、俺が間違ってた。
一方的にお前の話を聞かず、
ねたみそねみのあまりに
罵倒しまくって・・・」
「俺の方こそごめん。
誤解を生んでしまって」
初めて親友とした、大ゲンカ。
しかし、本当に些細なことだったから
誤解も解け、すぐに
打ち解けることができた。
「イブキ、お願いがある」
「リュウト、なんだ?」
「お前が、クルミちゃんを
幸せにしてあげてほしい」
「でも・・・クルミは
リュウトが好きなんだろ?」
「それは誤解だ。
クルミちゃんはずっと、
そのまがイブキのことが
好きだと思っていたから、
あそこで俺の名前をとっさに
出してしまったらしい」
「でも、本当はずっとイブキのことが
好きだったらしいから・・・
だから・・・」
「私からもお願いします」
リュウトだけでなく、
隣のそのまちゃんにも
頭を下げられた。
「分かった。
これは男同士の約束だから、
しっかり遂行させてくれ」
・*。・ 翌日 ・。*・
俺は学校に復帰し、
懸念だった授業もブランクを
感じないほど一生懸命に取り組んだ。
そして放課後、
俺は校舎の屋上に
クルミを呼び出した。
「クルミ・・・」
「イブキ君・・・」
ふう~っと息を吐いて、
俺は彼女をまっすぐに見た。
「俺とつきあってください!」
クルミの答えは・・・
「はい!」
その瞬間・・・
「おめでとう!」
告白の様子をどこからか
見ていたのか、
リュウトとそのまちゃんが
駆けよってきた。
「イブキ、やったな!」
リュウトが思わず
俺に抱きついてきた。
「リュウト、やったぜ!」
男同士は、たとえケンカしても
お互いのことを知ったうえで
仲直りすれば、
より強固な絆が生まれる。
友情も、恋愛も、この経験全てが
きっと俺を強くさせてくれるはずだ。
~終わり~
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。





























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