いつか、また・・・

CAST西 優行西 優行

作者:希代実

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2023.11.11

「ごめん、俺、
好きな子がいるから」





俺、西ユアン。
今、クラスの女子に告白され中。





この子はクラス1番の美人で、
頭がとても良い。





クラスの皆が、俺と
この子がお似合いだと
引っつけようとしている。





でも、俺にはずっと
心の中にある1つの光がある。
その光の正体は・・・





「ちょ、男子!!
急にぶつかって来ないでよ!」





クラスの中心人物、
俺の幼なじみの髙橋カイラ。





「もー、男子ってなんであーなの!?」





カイラがぶつぶつと文句を言いながら、
席につく。





「カイラ、おはよ」





俺は思い切って、
声をかけてみた。





「ん? ユアン! はよっ」





カイラは笑顔で返事をしてくれた。





「あ、あのさっ今日・・・」





「ね~、カイラ!
今日の放課後、あいてるー?」





俺の目の前に、
クラスの女子たちが集まってきた。





「今日? あー、ゴメン。
今日は予定があってさ」





「マジー、オッケ。
じゃ、またいつか誘うよー」





「本当ゴメンね!」





大丈夫ー、と女子がいう。
女子がいなくなった後、
カイラが急に俺のほうを見た。





「だって、今日はユアンと
勉強会の約束だったもんね!」





俺は、キュンとなった。
俺がこんなに好きになった子は、
初めてだ。





「あぁ、部活終わったらラインして」





「オッケー!」





今日が本番だ。
ずっと想ってきたこのキモチを、
今日こそカイラに伝えるんだ。





「ハァー、緊張するな・・・」





「おい、なんだよ、なんかあんの!?」





俺の親友、ナツが
俺の肩に腕をのせた。





「俺、実はずっと
カイラが好きだったんだ」





「えー、髙橋? 勇気あんなー」





ナツはビックリした様子で、
俺の顔を見つめる。





「ってか、髙橋って
男子に超モテモテじゃん。
それに、何人も告白断ってるらしいし。
好きな人がいるからってさ」





「あぁ、知ってる。
その好きなやつが誰だか知らねーけど。
そいつより好きになってもらえるよう、
この1か月頑張ってきたんだ。
今日こそ告白するんだ」





俺は正直にナツに打ち明けた。





「まー、頑張れよ」





ナツの声援に、俺は立ち上がった。





ピロリン。





―――――――――――
部活終わったよん。
校門で待ってるね~。
     バイ カイラ
―――――――――――















*...・・・*...・・・*





「カイラ・・・!」





カイラの後ろ姿に声をかける。





「ゴメンね、部活忙しくってさ」





「大丈夫だよ。じゃあ、行こうか」





「うん」





俺たちは一緒に校門を出た。
心臓がボコボコいってる。
よし、まずは彼氏っぽいことをしようっ!





「カイラ! 自転車、後ろに乗って」





俺は爽やかにカイラを誘った。





「えー、あたし体重重いし、いいよ~」





「そんなこと言わず。一応俺男だし」





カイラは照れながら後ろに座った。





「しっかりつかまっとけよ」





ペダルをこぎだすと、
カイラが俺の制服のすそをギュッとにぎった。





俺は赤くなった。





「やべ・・・」















*...・・・*...・・・*





「ついたよ」





カイラの手をとって、
部屋に案内した。





「うわー、ユアンの部屋、
男の子って感じだね~」





カイラははしゃいで、
部屋をグルグルまわる。





「ジュースでも持ってくるよ。
待ってて」





「うん、ありがと!」





俺はドアを閉めた瞬間、
急に緊張してきた。





カイラに付き合ってもらえたら?
そしたらカイラが好きなところ、
いろんなところ連れていってあげよう。
カイラはどこが好きかな?





もし、フラれたら?





ガチャ





「おまたせ、カイラ・・・」





カイラは俺のアルバムを見ていた。





「あっ、ユアン
アルバムあったから、
見ちゃった」





「いや、良いよ」





俺は笑顔を返した。





「見てみて!
ユアン、泥かけられてるよ!
これ、泥んこ運動会だよね~。
楽しかったな」





カイラの横顔は、
どこか悲しいような表情だった。





「カイラ?」





「・・・・・」





沈黙が続いた。





「・・・よし、勉強しよっかユアン」





「っああぁ、オッケ。
何の教科からしよっか」





「んーとね、
あたし地理が苦手だから、
ユアン教えて~」





「いいよ。教科書ある?」





「うん。えっと
ここなんだけど」





「ここはね・・・」





俺はカイラの顔を見ながら、
説明をした。





ヤバ・・・俺、頭ん中
カイラのことばっかりだ。





「・・・せい、ユアン?」





「・・・あ」





いつのまにか、
俺はカイラの手を握っていた。





「ご、ごめんっ!」





バっと手をはなす。





「どうかした?」





「・・・・・」





今しかない・・・っ





「カイラ。
真剣な話があるんだ」





俺はカイラの目を見つめた。





「ん? なに?」





カイラは笑顔でほほえむ。





「・・・おれっっ、
カイラのことが好きなんだ!!」





俺はその言葉を言った瞬間、
顔を下に向けてしまった。





カイラ、今どんな表情してる?
困惑顔? それとも・・・





俺はゆっくり顔を上げた。
そこに見えたのは・・・





「カ、カイラっ!?」





カイラが泣いていた。
つらさそうな、
さっきの横顔と同じ表情だった。





「ご、ごめん。急にこの話で」





カイラは頭をふった。





「ユアン・・・ありがとう」





涙声でカイラは笑っていた。





「・・・でも、ごめんなさい」





氷のとげが心臓に
ささったようだった。





「ごめんなさい。
私、ユアンに恋できない」





カイラは号泣していた。





「私ね・・・余命2か月なの」





・・・・・・・・・





「・・・え、ごめん。
理解できない」





俺はカイラの言葉が
理解できなくなってきた。





「あたしね、生まれつき
心臓に病気をもってたんだ。
生まれて数日後、医者に
『この子は15年しか生きられません』って
宣告されてたの。
そのことは、10歳の時に聞いたんだ」





「先月、あたしの誕生会したじゃない?
その後、倒れてしまったの。
誰もいない部屋で。
両親が帰ってきてから、気づいて、
病院に運ばれて。そしたら・・・」





カイラがサラッと
爆発発言をした。





「再来月、カイラさんは
亡くなりますって言われた」





俺は頭を打たれた気がした。





「もう、あたし死んじゃうんだ。
だから恋しても叶うはずがない。
・・・あたし、ユアンが好きだった」





俺はビックリして、
カイラを見つめた。





「ずっと前から。
かっこいいな~って思ってた。
でも、このことがあってから
ユアンのことは諦めてた」





「・・・だから、
気持ちすごくうれしい。
ありがとう」





カイラは泣きながら
笑顔を見せた。





「いつ・・・
いつ死んじゃうの?
まだなんだよな?」





俺は焦った。





「いつかは全然わかんない。
でも、いつ発作がおきても
おかしくない状況なの。
・・・・・だから、
ユアンはもっといい恋をしなよ。
あたしに恋しても意味ないんだからね。
新しい出会いができるように応援してるよ!」





「意味わかんねーよ!!」





俺は気持ちをカイラにぶつけた。





「俺が好きなのは、カイラだけだし!
他のやつのことなんて知らねーよ。
ずっと隣にいてくれよっっ・・・」





目から涙があふれてきた。
とめられなかった。





「・・・ゴメン。今日は帰るね」





カイラはそう言い残すと、
カバンを持って立ち去った。















*...・・・*...・・・*





次の日から、
カイラは学校に来なくなった。





原因はたぶん
俺しか知らないんだと思う。





授業にも、先生の笑い話も、
友達の話も、
なにもかも頭に入らなかった。















*...・・・*...・・・*





そして、1か月すぎた。





「えー、HR始める前に、
1つ残念な知らせがある。
覚悟して聞いてくれ」





先生が泣きそうな雰囲気になった。





「昨日な、髙橋が病気で亡くなった」





クラスがどよめいた。





「髙橋は生まれつき心臓に
病気があったようだ。
その病気が悪化して、
入院を続けていたのだが、
昨日の夜、息をひきとったようだ」





先生、クラスの女子たちが
泣いていた。





「お葬式が明日ある。
できるだけ、おまえたちには
出席してほしい」





それきり、先生は
だまりこんでしまった。





「おいっ」





肩をつかんだのは、
ナツだった。





「なんだよ」





「髙橋が亡くなること、
おまえ知ってたのかよ!」





「・・・・・」





「なんで答えねーんだよ。
おまえ、好きだったんだろ」





「・・・知ってたよっっっっ!
俺に構うな!」





俺は廊下を突っ走った。





屋上につくと、俺はこけた。
そのまま、こぶしをにぎりしめ、
地面に叩きつけた。





「なんで・・・なんで、
カイラ行っちゃうんだよっ」





涙があふれ出し、
何度も何度もたたきつけた。





『心はともにユアンと一緒だよ』





カイラの声か・・・?





『それを忘れないで。
天国から見守ってます』





俺は後ろを振り返った。
いるわけねーよな・・・





でも、今の言葉はきっと
カイラからの、
天国からのメッセージだ。





神様、カイラに会わせてくれて
ありがとう。





カイラ、今までありがとう。





天国で、待っててくれよな。







☆END☆

*ニコ学名作リバイバル*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。

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