猫かぶりな王子さま

CAST犬飼 太陽犬飼 太陽

作者:あんず

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.12.25

アリサ「ねえ、
タイヨウくん!」





ポン! と、
ボディータッチしていた
クラスメートを
オレは強く睨む。





タイヨウ「馴れ馴れしく触んな!」





少し触れられるだけで、
こんな態度をとるものだから、
『冷酷王子』なんて囁かれる
中学2年生こと、犬飼太陽。





好きなものは、
ネコ、ゲーム、そして───





シャノン「おはよ~」





同じクラスの
伊藤シャノン。





かわいくて、誰にでも
優しいクラスメートで、
今日も、天使みたいな笑顔を
ふりまいている。





シャノン「タイヨウくんも、
おはよ!」





タイヨウ「朝から元気すぎんだろ。
うぜー」





そう言ってそっぽを向くと、
シャノンがシュンとする。





は!
またやっちまった!





タイヨウ「朝からそんな大声出すと、
喉に悪いっていうか、
なんていうか・・・」





モゴモゴと、
言い訳がましいことを言うオレに、
シャノンはキョトンとする。





(だからといって、
朝からかわいすぎて
心臓がもたないなんて
言えないしな)













*。・----。・----・。*





なにも、一目惚れとか
顔だけとかで
好きになったんじゃない。





あれは1年前のこと。





登校中、オレは
自転車で派手に転んだ。





「あの倒れ方、ないわーw」





「見てらんねーw」





「恥っずw」





周りを囲む奴らにそう笑われて、
死にそうなくらい
恥ずかったのを覚えてる。





そんなとき、
そばに来てくれたのが、
シャノンだった。





シャノン「はい!
これ、絆創膏!」





タイヨウ「え・・・?」





シャノン「傷にさわるから、
早く貼って!
あと、学校入ったら、
ちゃんと消毒するんだよ!」





最後にニコッと笑った彼女は、
とてもかわいくて。





それから、いつの間にか
目で追ってしまう存在になった。













*。・----。・----・。*





その日、親友のタスクと
いつも通りしゃべっていた。





タスク「そういえばさ、
タイヨウの好きなタイプって、
どんな感じ?」





タイヨウ「く、くだらねー!
なんもねーよ」





(シャノン一択に
決まってんだろ!!)





そんなとき、
ちょうど近くを
通り過ぎたシャノン。





(今日もかわいいなあ)





タスク「ねえ!
シャノンちゃんは、
どんなタイプ好き?」





タイヨウ「ちょっ!!」





(いきなり話しかけんなって!)





シャノン「好きなタイプ?
うーん。やさしい人、かな。
王子さまタイプとか、
嫌いじゃないよ」





タスク「へ~。
タイヨウとは、真逆なわけだ」





タイヨウ「な、なんでオレ!?」





タスク「だって、
いっつも冷たいじゃん。
冷血って言うかさ」





(ゔ! 言えてる・・・)





タスク「あ!
それとも、ツンデレか?
子猫ちゃん達を前にしたときの
あのデレさと言ったら──フガ!!」





ベラベラと人のプライベートを
勝手に喋るタスクの口を
思いっきりふさぐ。





タイヨウ「余計なことを言うな!!
てか、タイプなんて、
どーでもいいわ!!」





シャノン「・・・」













・・・ その日、タイヨウの家 ・・・





それにしても、
王子さまタイプが
好きだったとは───。





どうでもいいとは言ったものの、
耳寄りな情報だ。





と、そのとき、
聴き慣れた鈴の音がした。





「「ニャーン」」





タイヨウ「はいはい、
ゴハンな。待ってろよ~」





ウチは、
クロネコと茶トラの2匹、
ネコを飼っている。





キャットフードをほおばる姿に、
自然と口元が緩む。





『もしかして、ツンデレか?』





タスクの声が、
脳内で再生される。





タイヨウ「いやいや、
違げーし!
ただの動物愛だし!」





でも、これが
シャノンに対しても
だとしたら?





確かに、
言えてるは言えてる。





ふだん喋ってるときと、
シャノンのこと考えてるときの
ギャップ、
すごいだろーし。





いっつも傷つく言葉ばっか言って、
素直に気持ち話せないし。





タイヨウ「ツンデレ・・・
なのかもな」





でも、それじゃダメなのだ。
シャノンが好きなのは、
『優しい王子さまタイプ』
なのだから。





そう、全ては
シャノンに好かれるため。





タイヨウ「なんとしてでも、
王子さまタイプになってやる!」





オレは決心した。













*。・----。・----・。*





それからというもの───





朝早く登校して、
ゴミ拾いしてみたり・・・





通りすがりのおじいさん
「若いうちから、えらいのぅ」





タイヨウ「いえいえ!」





面倒な仕事を引き受けたり・・・





先生「プリント配ってくれる人~」





タイヨウ「はい! やります!」





あいさつをするとき、
笑顔を意識してみたり・・・





タイヨウ「オハヨウ、ダズグ/////」





タスク「ちょっ、顔!!
引きつってるって!!」





ちょっとズレてるような
気もするけど、
ツンデレは打破できたはず・・・!!





そんなことを思っていた
ある日の休み時間。





同じクラスの女子、
藤野有紗に呼び出された。





アリサ「最近、
雰囲気変わったよね。
優しくなったっていうか・・・」





タイヨウ「だから何?」





そう言いつつも───、





(マジ!?
王子さまに近づいたってことか!?
シャー!!)





なんて思っているが、
もちろん秘密。





アリサ「何かあったのかなーって」





タイヨウ「べ、べつに。
なんもねーよ」





(好きな人の好きなタイプに
性格寄せてるなんて、
口が裂けても言えねー)





アリサ「馴れ馴れしく触んな!」





いきなりの大声に、
ビクっとする。





アリサ「覚えてる?
アレ言われたとき、
すっごく悲しかったんだあ」





タイヨウ「ごめん。謝るよ」





アリサ「それだけ?」





タイヨウ「・・・」





アリサ「あたしを
タイヨウくんの彼女にしてよ。
そしたら、許してあげる」





タイヨウ「それはできない。
好きな人、いるから」





アリサ「・・・そっか。
じゃあ───」





パチン───!!!!





タイヨウ「なっ!?」





一瞬だった。
それでも、アリサの
赤く腫れ上がった頬を見たら、
なんとなく状況が読める。





平手打ち、したんだ・・・
自分で、自分の頬を。





瞳は、その反動か
少し潤んでいるように見える。





そして───





アリサ「タイヨウくん、
やめてーー!!
おねがい、ゆるしてーー!!」





アリサの悲鳴が響く。





サーーっと、
血の気が引いていくのが、
わかる。





もう、引き返せない。





どうして、こうも
人を傷つける言い方しか
できないんだよ・・・!!





そう自分を呪うくらいしか、
できない。





アリサ「お願い聞いてくれなかった、
タイヨウくんが悪いんだよ」





何事かと駆けつけた生徒達は、
すぐさまアリサのほうへ群がる。





オレはといえば、
事情を聞きつけ飛んできた先生に、
生徒指導室へと連れられた。













・・・ 放課後の教室にて ・・・





タスク「ちょっと、
お話ししない?」





アリサ「は?」





帰り支度を済ませたアリサを
タスクは引き留める。





タスク「親友として、
謝っておこうと思って。
このたびは、あのバカが
申し訳ありませんでした」





アリサ「それだけ?」





タスク「じゃあ、少し弁解も」





アリサ「お好きにどうぞ」





タスク「アイツ、
ネコ飼ってんだよねー。
クロちゃんとトラちゃんって言って、
ほんとかわいいの」





アリサ「それが
どうしたっていうわけ?」





タスク「アリサちゃん、
ネコアレルギーでしょ?」





アリサ「っ・・・!?」





タスク「この前、
話してるの聞いちゃった☆」





タスク「タイヨウの制服、
ネコの毛がそこらじゅうに
ついてるんだ。
きっと、あの日も───」





アリサ「だったら、どうして
そう言わなかったの!?」





タスク「さぁ。ほんと、
猫かぶりな王子さまだよねぇ」





アリサ「っ・・・!!
タイヨウくんは、
叩いてなんかない。
全部、あたしの自作自演・・・
ほんとに、ごめ──」





タスク「それは、
本人に言ってあげて──
まだ、間に合うから」













・・・ 生徒指導室前 ・・・





先生たちにたっぷり叱られ、
許しをもらえるころには、
もう放課後だった。





教室を出る。





ろうかに、人影が
ゆらいでいるのに気づく。





タイヨウ「・・・!!」





すぐに、
誰だかわかった。





タイヨウ「なんでいんの・・・?」





すると、影が
おずおずと出てくる。





シャノン「心配、だったから」





タイヨウ「優しいな、シャノンは」





シャノンは一瞬、
何か言いいたげな顔をしたが、
口早にあのことを聞いてきた。





シャノン「アリサちゃん
叩いたって、ウソだよね?」





タイヨウ「さぁ、どうだろう」





シャノン「わたし、
タイヨウくんが
優しいの知ってるよ」





タイヨウ「ああ、
ゴミ拾いとかしてたときのこと?
あれ全部、内申のためだから」





シャノン「でも・・・!!」





タイヨウ「それに、
シャノンには
関係ないでしょ?」





とどめのように放った一言は、
渡り廊下に冷たく響く。





(これで、
完全に嫌われたな)





やっぱり、
悲しくないわけない──
が、ダメだ。
オレには彼女と話す資格はない。





きっとアリサのように、
心ない言葉で傷つけてしまうから。





シャノン「関係あるよ!!
あのとき転んだのも、
ネコを轢きそうだったからでしょ?」





その一言に、
体がビクリとする。





シャノン「親猫1匹と子猫2匹。
突然、茂みから現れて
前を横切ったの。
よく見てなかったら、
絶対轢いてた・・・
わたし、見てたからわかるもん」





やっぱり、シャノンは
どこまでも優しい。





タイヨウ「オレん家、
飼ってるんだ、ネコ。
だから、必死にブレーキかけただけ。
他の動物だったら、きっと──」





タスク「ひと1人殴れないヤツが
言うんじゃなーーい!!」





聞き馴染みのある声に、
後ろを振り返る。





そこには、息を切らす
2人の姿があった。





タイヨウ「タスク!? アリサも!?」





アリサ「さっきは、ごめんなさい!!
ネコのこと、知らなくて、
ムキになって、ウソついて──」





タイヨウ「謝られる筋合いなんてねーよ。
オレだって、
酷いこと言ったんだから」





ちょっとたじろぎながらも、
すぐにプイッと横を向いてしまう。





シャノン「わたし、
優しくなんかないよ。
あのときだって、
タイヨウくんの気を引きたくて
近づいたわけだし」





そう言って、まっすぐに
オレを見つめてくる。





シャノン「今だって、
タイヨウくんのことじゃなきゃ、
こんな必死にならならないよ!!」





タイヨウ「・・・!!」





タスク「おい、ツンデレ!!
そのまま黙ってるつもりー?」





アリサ「全部ぶつけちゃいなさいよ!!
そこの、猫かぶり!!」





ほんとに、これでいいのか・・・?





シャノンは、自分の思いを
ぶつけてくれた。





いや、アリサも、タスクも───。





オレだけが、
このままでいいのか・・・?





やっと目が覚めた。





オレは、
変わらなきゃいけない。





不格好でも、素直に
思いを伝えられる
『王子さま』に・・・!!





タイヨウ「ごめん!!
さっきから、
酷いことばっか言って。
それに、
めちゃくちゃウソもついた」





まっすぐ、
シャノンを見つめる。





タイヨウ「素直じゃないくせに、
すぐカッコつけるし、
ツンデレ・・・だし。
だけど、シャノンが好きで
たまらないんだ」





タイヨウ「だから、オレのこと、
嫌いにならないでほし──」





シャノン「わたしも、
だいすきっ」





言い終わるのも待つことなく、
ポフ!
とシャノンが抱きついてくる。





シャノン「嫌いになるなんて、
一生ないからね!」





上目遣いで、
答えてくるシャノン。





我慢しきれず、
ぎゅっと抱きしめ返す。





タイヨウ「ずっと、
こうしてみたかった・・・/////」





シャノン「やっぱり、
ツンデレだっ」





タイヨウ「ダメ?」





シャノン「ううん。
ツンデレでも、なんでも、
わたしにとっては
王子さまだもん/////」





相変わらず、かわいいことを
言ってくれる。





彼女がいる限り、
猫かぶりでツンデレな
この性格は、
とうてい治りそうもない。





タスク「こうして、
ツンデレの恋は
実を結んだのであった☆」





タイヨウ「勝手に
ナレーション入れんな!」







・・・end・・・

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