体育が嫌い(中3)2023.08.22保健室

 私は体育が嫌いです。特にハードルの授業が嫌いで、人一倍運動神経が悪いのでうまくとべません。それをクラスメイトに見られるのが恥ずかしく、授業がある日はほぼ毎回陰で泣いて、うつになりかけています。
 以前、小5から中1までの体育でのストレスが我慢しきれなくなり、クラスメイトの前で大泣きしてしまったこともあります。まわりの子はみんな運動神経がいいので、相談できません。ハードルの授業の時、勇気を出して先生に頭が痛いと嘘をつき、見学したこともあります。
 毎年なんとかつらいハードルの授業を乗り越えてきました。でも、もうすぐハードルの授業の時期で、考えるだけで涙があふれてきます。友達も先生も家族も、私のこのつらい気持ちをわかってくれる気がしません。自分の心を守るために、どうしたらいいか教えていただきたいです。(中3・りさちゃん)

体を動かすのが苦手なタイプかも 思い切って休んでもいいのでは

 得意な人にとっては難なくとべるハードルですが、実はいろいろな動作を組み合わせて初めて成り立っている競技です。ハードルの近くまで走る→ハードルの前でとぶ→片足を前に出してとび越える→片足で着地→着地した足から歩数を合わせて、また次のハードルの前でとぶ…この繰り返しです。こうして文字にしてみると、意外と複雑というのがわかるでしょうか。このような複雑な動作を組み合わせることが苦手、という人が一定数います。体を動かすことに関して、他の人よりも少し不器用な人たちです。もしかするとりさちゃんもそうかもしれないな、と思いました。
 体育の授業で行う競技の中には、とび箱や縄とびなど、ハードル以外にもいくつかの動作を組み合わせて成り立つ競技が少なくありません。体を動かすことに関して不器用な人にとって、いくら頭で理解しても、いくら練習しても、なかなか思うように動きを組み合わせることができず、うまくできないことも多くて苦痛な時間だと思います。それ以外にも目が悪かったり、どうしてもハードルに対して怖さを感じてしまったりと、努力では克服できない苦痛を感じる人はいると思います。
 この質問を読んで、小学校の頃からずっとがんばってきたけど、どうしてもうまくとぶことができなくてとてもつらい気持ちでいる様子が伝わってきました。りさちゃんが書いていたように「自分の心を守るために」ハードルの授業は休んでもいいと私は思います。もちろん実技の科目なので、そのぶん成績は下がってしまうかもしれないけれど、りさちゃんの心が壊れてしまうよりはずっとましなはずです。できれば体育の先生か担任の先生、もしくは保健室の先生やスクールカウンセラーなど、信頼できる先生に「これまでがんばってきたけど、どうしてもつらいんだ」ということを話した上で休めるといいですね。
 りさちゃんだけでなく、誰にでも得意なことと同時に不得意なこともあります。不得意なことがどうしても克服できないのならば、その分、得意なことでがんばればいいと私は思います。(臨床心理士・桝田智子先生)

ニコラ2023年9月号「誰にも言えない心とからだの悩み nicola保健室」より転載

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