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2025.10.24

痛みに触れてもらうことで、寄り添えたら/俳優・板垣李光人の『私の14歳』<映画『ミーツ・ザ・ワールド』>

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アサヒは、どこかぽっかりと穴が空いているのに、持っているものは多い人

「今回僕が出演した映画『ミーツ・ザ・ワールド』の舞台は、カオスな街・歌舞伎町。新宿に行っても、あそこだけ空気や雰囲気が違うなと、いつも遠目から思っていました。そんな世界にまさか自分が入ることになるとは……でも、楽しかったです。今作は台本から想像していた印象よりも、現場で演じて実感する感情の方が圧倒的に多かった。僕が演じたホストのアサヒは、どこかぽっかりと穴が空いているのに、持っているものは多い人。心の一部分は確かに空虚なんだけど、荷物が多くて、彼はそれを上手に持ちきれていないんです。そういうところが、彼の愛おしい部分。アサヒにとって由嘉里(杉咲 花)は、ものすごく眩しい存在。好きなものに真っ直ぐ突き進む由嘉里の姿が輝かしくて、羨ましい。この人の近くにいたらもしかしたら自分も変われるんじゃないか、という気持ちもあって、行動を共にしたのだと思います。でもアサヒは、自分の居場所を確信する。変わるよりも、今いる自分の居場所や自分自身を〝ゆるす〟ということも一つの成長なのだと、演じている中で痛感しました。作中では、 由嘉里が泣きながらラーメンを食べるシーンが好き。杉咲さんのあの食べ方が、〝生きようとしている感じ〟がして、印象的でした」

10代の頃って、自分を愛するということが難しい年代だと思うんです

「直接会って、話して、それで劣等感を抱くことはよくあること。だけど今はSNSを通して、本名も実際の顔も知らない人たちと自分を比べることができてしまう。それってすごく、不思議だし、変な時代だと思う。だからどうしたって、多感な時期にこそ、そういう感情が生まれてしまう。10 代の頃って、自分を愛するということが難しい年代だと思うんです。でも、自分を愛せない自分がいて、愛せるようになることだけが必ずしも成長というわけではなくて。愛せない自分もいるけれど、それをゆるす受け皿を持てるだけでも、大きなこと。この映画を観て、少しでもそれを感じてもらえたらいいなとも思うし、この映画を観たからといって、何か正解が出るわけでもない。結果として、強い否定も肯定もしていないので。でも、その痛みに触れる作品があるということ、痛みに触れてもらうことで、寄り添えることになったらいいなと思います。僕も中学生の頃に出合ったコンテンツは今でもずっと好き。そこですごく、自分が形成されたと思うから」


Q.映画『ミーツ・ザ・ワールド』は朝焼けが美しい映画!一日の中で、一番好きな時間は?

A.よる9時。今から何でもできる気がする、無敵に感じる時間!

Q.映画『ミーツ・ザ・ワールド』は焼肉が食べたくなる映画!好きなお肉の部位は?

A.タンかミノ★


“14歳”の自分へ

「声をかけるとしたら?うーん……会いたくないかも(笑)。きっと、目も当てられないと思うので」

今、“14歳”のあなたへ

「“中学生”ってやっぱり、 人格形成において一番大切な時期だと僕は思っています。だからこそ、一つのことに囚われず、 出来るだけ色々な世界を見てほしい。きっと小学生の頃と違って、より人間関係や友達の間で振り回されることもあるはず。そこにのみ込まれず、何より自分を一番大事にしてほしいと思います」


板垣 李光人(いたがき・りひと)

2002 年1月28日生まれ。2024 年公開の映画『八犬伝』、『はたらく細胞』、『陰陽師 0』 で第48 回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。10 月よりNHK 連続テレビ小説『ばけばけ』へ出演するほか、 自身初となる絵本『ボクのいろ』を 11月6日に発売。

10月24日(金)全国公開 映画『 ミーツ・ザ・ワールド』

擬人化焼肉漫画『ミート・イズ・マイン』に全力で愛を注ぎながらも、自分のことは好きになれない由嘉里(杉咲 花)。希死念慮を抱えるキャバ嬢・ライ(南 琴奈)。既婚の No.1 ホスト・アサヒ(板垣李光人)。生き方も考え方も違う人々が集う歌舞伎町で出会う、“本当の私”とは?主題歌は実写映画初の劇伴となる、クリープハイプ『だからなんだって話』。痛くて青くて眩しい。だから“今”、出会ってほしい。

©︎ 金原ひとみ/集英社・映画『ミーツ・ザ・ワールド』製作委員会 Photo/Ito Sho Stylist/Inagaki Yuto Hair&Make/KATO(TRON)

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