クリープハイプ・尾崎世界観がティーン雑誌「ニコラ」へ初登場!  2024.09.27エンタメ

今年、現メンバー15周年を迎え、愚直に音楽へ向き合い続けるロックバンド・クリープハイプ。その人気は老若男女問わず全世代に及び、特にニコラ読者世代である“10代”からの支持も非常に熱い。今回はバンドのギター・ボーカルである尾崎世界観に単独インタビューを実施。“10代”からの反響はどう感じている?  ニコラネット限定、特別版インタビューをお届け!

——15周年を記念したトリビュートアルバム「もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって」が発売となりました。なぜ、このタイミングでの“トリビュート”だったのでしょうか。

「自分の声に癖があるので、好き嫌いが分かれるというのはもちろんわかっていました。それでもしも“こんな声だったら”と考えることがよくあって。(クリープハイプは)歌詞について言及されることが多いんですが、 曲にも自信があるので、ずっとトリビュートアルバムに興味があったんです。だから、すばらしいアーティストたちの才能を借りてどこまで行けるかを見てみたかった。案の定、トレーラー映像を解禁した瞬間から、自分たちの曲とは比べものにならないくらいの反響がありました(笑)。何より、お願いした方全員に快くOKしてもらえたのが、本当に嬉しかったですね」

——ニコラ読者世代である「14歳」の頃はどう過ごしていましたか。

「勉強も運動もできなかったし、まったく良いことがなかったので、できることなら早送りしたいと思ってずっと過ごしていました。絶対ここがピークではないし、この先に備えてポイントを貯めておこうと思って。あの頃は本屋やレンタルビデオショップに行くのが好きでしたね。今はもうほとんどなくなってしまいましたが、特にレンタルビデオショップには色々なことを教えてもらいました。狭い空間に作品が詰まっているのも良かったし、何より“返しにいく”という行為が面白かった。“借りたものを返す”。今はどんどんサブスクになっていって——誰かに借りるとか、誰かに貸すということが減っていますよね。だからこそ、どうやって今の14歳が友達と繋がるのかに、すごく興味があります。でもそうやって変わっていっても、きっと本質はそのまま。悩みや楽しいことも全部——形は変わるけれど、そのもの自体は一緒なんだと思います」

——ロックバンドとして活動する一方、文筆家として小説も発表されています。新作『転の声』についてもお伺 いさせて下さい。舞台はロックバンドとそれにまつわるコミュニティで、現実とリンクする部分もあるよう に感じるのですが……。

「もちろんフィクションを書くつもりでやっていたんですが、自分にとって難しいことに挑戦したので、意識せずとも実体験が入ってしまったようで。ファンの方からもそれを指摘されました。作品の中でもファンにかなり触れています。それを読んで落ち込んだという意見もありました。ファンは、とても怖いものだと思っています。すごく正直なので。よく周りから(クリープハイプは長く活動しているのに)若い世代のファンがちゃんといて凄いと言われるんですが——10代の頃というのは好きになったものを急に嫌いになったりして、すごく敏感な時期です。だからこそ本当に嬉しく感じるその一方で、自分たちでも(なぜ若い世代にファンが多いのか)分からないんですよね。何かをずっと好きでいるというのは大変なんです。すごく体力がいることだから。中学生、高校生は本当に正直じゃないですか。気持ちが研ぎ澄まされていて不安定だからこそ、純粋な好きという感情も伝わってくる。そういうファンの方がいてくれるのは心強いです」

——バンドで歌詞を書くことも、小説を書くこともどちらも「言葉」を生み出すことですが、一番の原動力はどういう気持ちからなのでしょうか。

「何より、自分のためですね。曲を作ったり、作品を作るのは、やっぱり自分のためじゃなければならないと思っていて。“ファンの方のために”。そんな感覚で作ったものを届けるのは、すごく傲慢なことだと思います。やっぱりファンはすごく強いし、莫大なエネルギーを持っていて怖い存在です。特にライブになると、大勢のファンにたった4人で向き合わなければならない。その中で“君たちのために音楽を届けてあげるよ”という気持ちでいたら、絶対にやられる。だからまず自分のために、自分が聞きたい曲を作って、それを渡すという感覚です。そうでなければ届かないし、失礼だと思うので。(ファンもアーティストも)お互いもっとちゃんと疑った方がいいと思うんです。全部が正しいわけではないし、そういう風に聴いてもらえる方がこっちも安心しますね。(ファンからの)メッセージで初めて自分はこういうことを歌ったんだと気付くことも多いです。まずは自分のために作って、それがまたファンから返ってくることで、どんどん新たな自分を知っていくんです」

Information

尾崎世界観/おざき・せかいかん 1984年11月9日生まれ。東京都出身。今年で現メンバー15周年を迎えるバンド・クリープハイプのギターボーカリスト。バンドのほぼ全曲作詞作曲を務 める。15周年記念トリビュートアルバム『もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって』 /新刊小説『転の声』が発売中。

現在発売中のニコラ10月号「私の14歳」企画にもご登場いただいています! 今の「14歳」へ向けたメッセージは必見。

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