
八木勇征さんをはじめ、井上祐貴さん、櫻井海音さん、椿 泰我さん(IMP.)と今をときめく四名が顔をそろえた青春映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』が、いよいよ本日公開! たくさんの役を演じてきた八木くんが、自分と似すぎている役だと感じたという今作。その真意や、自身がボーカルを務めるFANTASTICSによる主題歌&エンディングテーマに込めた思い、そしてティーンへのメッセージなど、熱い胸の内を語ってもらいました♪

-今回の映画、『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』の見どころを教えてください。
「タイトルだけを見るとファンタジー系の作品なのかな、という印象を持たれる方がたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思います。魔法が一回だけ使えるという点ではファンタジーですが、僕が演じたアキトを含めた幼なじみ四人の関係性など、すごくヒューマンドラマな部分が詰まっていて。シンプルに言うと、とてもいい話で、泣ける作品になっています。人生の中で幸せを感じる瞬間って誰しもがあると思うんです。そういったときに、もしかしたらそれは、偶然起こったんじゃなく、誰かが自分の幸せを願ってくれたから幸せが訪れたのかもしれないと思ってもらえるような作品だと思います。そう思えたらもっと自分の人生が豊かになると思いますし、人に対しての思いやりの気持ちも持てる。きっと原作・脚本を務められた鈴木おさむさんも、監督の木村さんも、そして制作陣全員がそういう気持ちで作っていたので、この作品を見終わったとき、そんな風に思ってもらえたら、作り手としてはうれしいです」
-今回演じられたアキトは、八木さんからはどういう人物に見えていましたか?
「演じてみてすごく感じたのは、アキトはとにかく真っ直ぐでした。魔法を使うか、使わないかという問題に直面したときに、アキトはピアノの実力で音大に受かることは厳しいとナツキに核心をついたことを言われてしまうシーンがあるんですが、自分自身でもわかっているからこそ魔法を使うことに揺らいでしまうという、ちょっと人間らしい部分もあります。でも根っこでは強い自分を持っているから、魔法には頼らないし、まわりにいるどんな人にも手を差し伸べられる。グループに一人いたら太陽のような存在なんじゃないかと思います」

-今回共演されたキャストの皆さんの中で、「この人のこの演技がすごかった、印象に残った」というものがあれば教えてください。
「僕は受け手に回ることが多かったので、受け芝居をやっているときに『すごいな』と思う瞬間は本当にたくさんありました。特に心に残ったのは、田辺誠一さんです。田辺さんとは親子の役柄だったので、二人きりのシーンしかなかったんです。家でピアニストになる夢を否定されるところから始まるのですが、終盤アキトが迷ったことに対して、お父さんが本心や熱い思いを伝えてくれるシーンがあって。あそこは受け芝居だからこそ、説得力や言葉の深みを受けすぎてしまって、カメラがこちらを向いてないシーンでも全部泣いてしまうぐらい感じるものが多かったですし、圧巻でした。だからこそ、田辺さんから「感受性が豊かだね」とすごく褒めていただいて、個人的にとてもいい経験をさせていただいたし、いい相乗効果が田辺さんと生まれたんじゃないかなと思います」

-「幼なじみ四人の中でアキトはこういうポジションだ」と考えながら演じられた部分はありましたか?
「考えましたね。それに、演じていて感じる部分もありました。『このキャラクターって四人の中でこういう立ち位置なんだな』と、魔法会議のシーンでは特に思っていました。アキトは率先して何かを決めていく、言ってしまえば先頭に立つような役割で、ナツキはそれが間違った方向に進んだら俯瞰しながら軌道修正して、冷静に物事を進めていってくれる人。ハルヒは全員で言い合いになったときには中立な立場を保ってくれる存在で、ユキオはムードメーカー。それぞれの役割を果たしていたんじゃないかと思います」
-実際の年齢も近かった他の三名の皆さんとは、現場で仲は深まりましたか?
「もちろん! 本読みの段階から読んでいるうちに熱が入りすぎてしまって、みんなボロボロに泣いてしまったんですが、ああいう空気の本読みってそうそうないと思うんです。あまりできる経験ではないと思っていますし、そこから魔法会議のシーンのリハーサルを積み重ねていったりしたので、「この人たちなら大丈夫だな」という信頼関係がまずできた感覚でしたね。同世代なので、たわいも無い話から趣味の話だったりもしますし、僕と椿くんはグループで活動しながら役者にも挑戦している、という意味で境遇が似ているので、いろいろと話が合う部分もたくさんありました」
-素敵な現場だったんですね。では、その現場の中でも特に印象に残っている仲良しエピソードがあれば教えてください!
「僕が差し入れでカフェとクレープのキッチンカーを入れたんですけど、みんなそこにめっちゃテンション上がってくれて。普通に『かわいいな』と思いました。男の子だなって(笑)」
-ずっと一緒に過ごしてきた幼なじみのような関係性は、すぐ出来上がりましたか?
「信頼関係が本読みの段階で出来上がったからこそ、幼なじみを演じている上でやりにくいことは正直一つもなかったです。掛け合いも皆さんたくさん経験されている方々ですし、ナチュラルに入っていけたんじゃないかなとクランクインの段階から思っていました。 みんながこの作品にすごく入り込んでいたのが印象深い1ヵ月間でした」
-同世代ということで刺激も多くあったかと思うのですが、皆さんで撮っていて特に印象的なシーンはどこでしたか?
「病室のシーンですね。クランクアップの日だったので集大成というか、いろいろと心にくるものがあって。クランクアップだけど、寂しいとかではなく気持ちの部分でいっぱいいっぱいで、クランクアップした瞬間も「ふうぅ(出し切った)。」という感じで(笑)。それだけ積み重ねたシーンが詰め込まれていますし、そこに向けてやってきたので、病室のシーンは個人的にも、見てくださる皆さん的にも、一番グッとくるシーンなんじゃないかなと思います」

-今回、物語が18歳から20歳の期間だと思うんですが、八木さんご自身の18歳はどんな年だったのか、もしその頃の選択で今の自分に大きく影響してるものがあったら教えていただけますか?
「18歳から20歳の間がキーワードとして出てくるんですが、 僕自身も18歳から20歳までの間がターニングポイントでした。それまでずっとやってきたサッカーを辞めて、VOCAL BATTLE AUDITION5を受けたのがこの時期だったんです。だからこの作品を撮っている間も”18歳から20歳”という一つの言葉に僕自身として当てはまる部分があったので、すごく感慨深くて。他人事じゃない気持ちでずっと撮影していました。アキトも、オーディションではないけれど、試験に合格してピアニストになるために音大という道を切り開こうとしているわけじゃないですか。“自分の力で掴み取った”ということに関してはアキトと同じだったので、もし自分が魔法を使えたら、オーディションを受けたときにそれを使ったかという自問自答したこともありました。でも、僕もアキトと同じように、絶対に夢を叶えるために魔法は使わないという答え一択だったんです。そういった意味では、自分と境遇がものすごく似ているというか、似すぎている作品ってなかなかないし、今までやらせていただいてきた中だと一番自分に近い感覚で、ニュートラルに撮っていた作品だなと、今こうやってお話してみて改めて感じています」

-FANTASTICSへの加入がまさに転機ということですが、今作の主題歌「春舞う空に願うのは」、そしてエンディングテーマ「魔法みたいな日々」をFANTASTICSさんで担われたのも何か運命のようなものを感じます。それぞれの曲の魅力と、この曲にかけた思いなど、教えていただけますか?
「『春舞う空に願うのは』も『魔法みたいな日々』もバラード曲なんですが、FANTASTICSとしてバラードをやるのが久々で、作品とリンクしている歌詞もたくさんありますが、映画を観ずに聞いたときと、映画を観た後に聞いたときだと、感じ方がかなり違うと思っていて。どちらの曲も、いい意味ですごくエモーショナルな気持ちになります。
『春舞う空に願うのは』は、プロデューサーさんと「イントロは絶対にピアノから始まる曲がいいですよね」とお話をしていて、ようやく巡り会えた1曲でした。しかも、僕たちにとって大切な曲である『FANTASTIC9』を作詞して下さった春川仁志さんが久しぶりに作詞してくださっています。春川さんも映画を観てくださって、そこからインスピレーション受けて、木村監督と試行錯誤し話し合いながら、曲が作中のどのシーンで流れるかなど考えて歌詞や曲調を作ってくださった楽曲です。
二曲とも早く僕たちのライブで披露したいですし、大切なボーカル曲になると思うので、個人的には、僕がピアノを弾いて歌うというパフォーマンスを絶対にやりたいです」

-最後に、ニコラ読者である中学生や高校生に、今作を通して伝えたいメッセージをお願いいたします!
「今、仲がいい友だちやお父さん、お母さんがそこにいてくれて仲良く過ごせる時間って当たり前ではなくて。若い子たちに深いことが言いたいわけではないんですが、 いつ何が起きて、どうなってしまうかわからない時代だし、人生ってそういうものなんですよね。でも同時に、今みんなが本当に楽しいと思っている瞬間って自分の人生において大事な時間で、大人になっても思い出せるような”青春”だと思います。勉強だったり、部活だったり、今は「つらい」とか「大変だ」って思う瞬間はきっとたくさんあると思うんですけど、それって大人になったら絶対にできなくなるし、今しか味わえないもの。だからこそ、今のうちにつらい感情もふくめて全部経験して、かけがえのない時間を過ごしてほしいですし、この映画を観終わった後には、家族を含め、普段一緒にいる人たちに感謝の気持ちや言葉を、「いつもありがとう」という一言だけでも伝えたいと思ってもらえる、 そんな作品になっていればいいなと思います。」

Information
『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』
ある田舎の小さな村に暮らす、高校3年生のアキト(八木さん)ら4人の男子高校生は、ある日「この村の男子は18歳から20歳の間に一度だけ魔法を使うことが出来る」と聞かされる。アキトたちは「何に魔法を使おうか」と考え始めるが…。
©映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』製作委員会
Photo/Tsutsumi Hiroyuki Stylist/Nakase Takuto[PICK] Hair&Make/Fukuda Midori[Luana]