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最旬の若手俳優たちが勢揃いした注目映画『遺書、公開。』が公開中! 主演の吉野北人さんに、見どころや映画に込められたメッセージをインタビュー。さらに、今作での役柄が高校2年生ということにちなみ、自身が学生だったころのエピソードや、悩めるティーンに向けた優しさあふれるアドバイスなども、たっぷり聞かせてもらいました♪
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-まずは映画「遺書、公開。」の見どころから教えてください。
「見どころはたくさんありますが、今作は人間の欲望が存分に出た作品になっています。誰か一人の、というわけではなく、出演されたキャストの皆さんそれぞれから、いろいろな人間性や個性が見えてきます。“人間誰しもが持っている裏の部分を描く”というのが物語の核になっているのですが、ある一人が裏側を持っているという作品は他にあったとしても、これほど全員の裏側があからさまに見える作品はないと思います。そういった部分では、作品が今の世の中とリンクする部分もたくさんあるので、見どころかと思います。」
-吉野さんご自身は台本や原作を読んで、どんな感想を持たれましたか?
「台本を初めて手に取ったときは、たくさんの名前が並んでいて、いろんな人がしゃべっているし「えっ!?」という展開がありすぎて、ずっと先が気になっていました。自分自身どういう立ち回りになって、どういう展開に持っていくんだろう、とも感じていました。ストーリーの内容自体も“感情爆発”という感じで、読んでいてハラハラドキドキする部分もあれば、 「うわー……」とちょっと引く部分もあり(笑)、それでいて気づかされる部分もあったり、そして最後にはまた「えー!?」という仕掛けが待っていて、展開がたくさんある印象でした。いろんな人が掛け合いをしながら物語が進むので、読んでいて飽きなかったですね。」
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-同世代のキャストさんが一堂に教室に集まった現場の雰囲気はいかがでしたか?
「本当に学生に戻ったかのような気分でした。もちろん撮影現場では集中していましたけど、カットチェンジや休憩のときは、和気あいあいとみんなで集まって話したり、一緒にトイレに行ったり(笑)。『こういうのめっちゃ学生みたいだな〜』と懐かしい気持ちになりながら撮影していました。」
-撮影の合間に特に距離を縮めたキャストの方は?
「(松井)奏と、(宮世)琉弥と一緒にいることが多かったですね。奏とは今でもご飯に行きますし、この前ディズニーランドにも行きました♪」
-今作は「序列」という言葉がキーワードですが、この現場では、松井奏さんと宮世琉弥さんと三人で仲がよかったということで、三人のプライベートの「序列」はどんな感じか教えてください!
「うーん!(笑) 本当にいいバランスで、みんなマイペースですね。でも奏は意外とたくさんコミュニケーションを取るタイプだし、おしゃべりです。琉弥もめっちゃマイペースで、弟みたいな感じなので、3兄弟みたいな感じです。一番上? 年齢的には一応僕ですかね(笑)」
-クラスメイト役の役者さんたちから影響を受けたことはありましたか?
「皆さんの演技がとにかくすごくて。本当に衝撃でしたね。キャストの中には20歳とか10代の子もいるんですけど、日々勉強でした。本読みの段階から『えぇ!』となるくらい仕上がっていたので、主演という立場的にもプレッシャーはありました。でも考えすぎると硬くなってしまうタイプなので、なるべく自然体で、みんなとコミュニケーションを取りながら撮った作品でした。」
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今回、同世代のクラスメイトの方が大勢いらっしゃる中で、個性を出すのは難しかったと思います。外見も内面もふくめ、役作りでこだわった点があれば教えてください。
「まとっているものをできるだけ地味にして、 存在感を出そうとしすぎないよう意識しました。外見で言えば髪型も、顔も…、顔?(笑) 雰囲気! 最初の衣装合わせのときに学ランを着たら、化粧をしているイメージが全くわかなくて。できるだけ自然体でやりたいですと監督にお伝えしたら納得していただけたので、原作漫画の雰囲気には寄り添いながら、ヘアメイクさんには「できるだけ化粧をせず、髪もセットしたという雰囲気ではなくナチュラルにしてほしい」とお願いしました。内面で言えば、他のキャストの皆さんがすごく個性的で感情をむき出しにされる役柄の方が多かったので、自分は一歩引いてまわりを見ているような感覚というか。あまり感情を出しすぎないようにしていました。」
-できるだけ自然体で、ということだったんですが、学ランを今着る気持ちはどうでしたか?
「一応3月で28歳になるんですけど、見た目的には『まあ全然いけるかな』と(笑)。他のみんなが若いので気持ち的な部分では心配だったんですけど、衣装合わせで制服を着たら監督が『 一番違和感がない。一番若い!』とおっしゃってくださったので大丈夫でした(笑)。」
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-演じられた池永柊夜はクラスの中でも地味な雰囲気ですが、アーティストとしてステージに立って存在感を示していく吉野さんとは真逆だったと思います。その違いに難しさはありましたか?
「そんなになかったです。アーティストとしてのライブは、ライブなりの演出だったり、お客さんの声援だったりとかで『自分はスターだ』という気持ちでやったりしますし、それぞれ現場の雰囲気が全く違うので自然と入り込めました。」
-その中でも、今作では「地味だけど存在感がある」という、主役として出さなければいけないものがありましたよね。
「そこは難しかったですね。地味にしなきゃいけないけど、主演という立場で全体を見ていなければいけないので絶妙なバランス感覚でやっていました。自分はリアクションや表情を撮られるシーンが多かったので、そういった部分でなるべく心境が伝わるように意識しました。」
-普段はグループの中心でいらっしゃる吉野さんと、演じられた池永柊夜に、内面的な部分で共通点はありましたか?
「僕が演じた池永柊夜は、普段はあんまり前に出ないタイプですが、お人好しというか、『それは違うよ』と言葉にしたりするような正義感が強い部分があって。自分も普段はそんなにガツガツ前に出るようなタイプではないんですが、やる時はやるタイプなので、“普段は少し遠慮しがちだけど、いくべき時はいく”というところは似ているなと思っていました。」
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-ニコラの読者はティーン世代なことにちなんで、「今だから言える中高生時代の秘密」、公開していただけたりしますか!?
「秘密か〜! …実は高校生の時、結構寝坊しがちでした。朝が早いんですよ。僕宮崎出身なんですけど、田舎の学校って“朝課外”があって。学校までは電車通学だったんですけど、僕が通っていた高校がちょっと遠くて、朝は確か6時の電車に乗っていたんです。でもどうしても起きれなくて、親に車で送ってもらってました(笑)」
-演じられた池永は廊下側の一番後ろの席がぴったりなキャラクターでしたが、吉野さんご自身は学生時代、どんな座席が好きでしたか?
「僕は窓側の一番後ろが良かったです。前のほうは先生と近すぎてちょっと嫌でした(笑)。後ろの席のほうが全体が見えるので安心感がありましたね。」
-作中では池永ははっきりと自分の意見を言うシーンもあり、正義感が強く優しさを持ったキャラクターだと感じましたが、ティーン世代には自分の意見を言いづらい、という子も多いです。そういった子に向けて、吉野さん目線でアドバイスをいただけますか?
「難しいですよね。僕も今でも難しいです。でも、みんなに伝えるというよりかは、まずは誰か一人にでも伝えるところから始めればいいんじゃないかな。僕がボーカルを務めているTHE RAMPAGEはメンバーが16人いるのですが、16人の前だとちょっと気まずいな、この話する勇気出ないな、というときは、まず誰か一人に伝えて、その人から伝えてもらったりします。いくらでも方法はあるので、無理せず自分に合ったやり方を見つけてもいいし、伝えたいことは勇気を持って伝えてもいい。自分のメンタルと相談しながら、無理せずがんばってください!」
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-優しさ溢れるアドバイスをありがとうございます! グループのお話が出ましたが、主演映画でご自身のグループの楽曲がエンディングテーマになったのは初めてかと思います。この曲にかけた思いや、レコーディングの裏話などがあれば教えてください。
「主題歌の『Drown Out The Noise』は、制作の段階から関わらせていただきました。レーベル会社のご担当者さんに「楽曲のテイストはちょっと強めのロック調がいいんじゃないか」とお話をさせていただいて、デモ曲を集めて、全曲聞いて、そこから絞って。みなさんのご意見もお聞きしながら、最終的にこの曲がいいですと決めさせていただきました。この映画の世界観に合うような、少しホラーチックなテイストもいいかなと思ったこともあったんですけど、それをあえてぶった切った方がいいなと思ったので、ロック全開でお願いしますということになりました。THE RAMPAGEの楽曲にもロック調のものはあったんですけど、実は振り切ったロックの歌い方をあまりしたことがなかったんです。今回は楽曲の世界観に合わせて、かなり振り切っています。レコーディングは普段立って行うんですが、あえて座って歌ったりと、いろいろと試しながらレコーディングをさせてもらいました。映画との相性もよかったと思います!」
-最後に、今作のキーワード、そして主題歌であるTHE RAMPAGEさんの楽曲『Drown Out The Noise』にもある「序列」という言葉。SNSの普及によって以前より周りの人と比べてしまったり、フォロワー数を数えたりと序列のようなものが決まりやすい世の中になってしまったと思いますが、今作や楽曲を通して、これから映画を見る方に向けて届けたいメッセージを教えてください。
「今作はとてもリアルな内容で、人の気持ちや考えていることが如実に出ているのですが、それが悪いかと言われたらそうでもないというか。どう向き合っていくかが大事だと教えてくれている作品になっていると思います。人には裏表があるとかそういうところではなく、そこに対して、自分は人に惑わされるのか、それとも自分らしく突き進んでいくのかという、『あなたならどうする』というメッセージが込められていると僕は捉えているので、これを観ていただいた方には、周りの人の目やSNSのフォロワーなどの数字に惑わされず、自分という信念があれば関係ないという気持ちで自分を持ってほしいです。」
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Information
映画『遺書、公開。』
2年D組の生徒と担任に送られてきた、D組全員の「序列」。イタズラかと思われたまま時がすぎ、ある日、序列1位のクラスメイトが自殺してしまう。葬儀の当日、クラス全員の机の上には、彼女からの遺書が届いていた。なぜ、亡くなったはずの彼女から遺書が届いたのか、なぜ彼女は自殺したのか、そして序列の意味とは-。すべてを解き明かすべく、クラスメイトの前で遺書の公開をすることに。次々と明かされる真実に、思わず心が震えるドス黒エンタメミステリー!
公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/ishokoukai-movie/
Photo/Sone Kasumi Hari&Make/Oki Toshiyasu(CONTINUE) Stylist/Yoshida Keisuke