
“手を抜くこと”も大事!
——ではそのまま③の大学時代の話へ。
「大学1年生の夏に、映画『沈黙のパレード』への出演が決まって、それが私の人生にとって大きな転機になったと思います。この頃、一人暮らしを始めたばかりで、大学の課題も多く、それに加えて映画の撮影に向けた芝居のレッスンも入ってきて、毎日すごく追われているような感覚になっちゃって。ある日マネージャーさんの前で、爆発して大泣きしたことがあったんですよ、『もう福岡に帰りたい、家に洗濯物溜まってるし(泣)』って(笑)。その時マネージャーさんから『明日香は全部を完璧にしようとしすぎちゃうんだよ』と言われたことでハッとして、“手を抜く”ことも大事なんだ、と気がついたんです。」
——話題作への出演が決まったことに加えて、“手を抜く”という生き方に気づけたことも転機になったんだね。
「そうなんです。高校までは仕事も学校も全部すごく真面目にやってたんですけど、そこからの大学生活は結構不真面目になりました(笑)。出なくて良さそうな授業は思いきって休むとか。無理せず手を抜いて生きられるようになったことと、この年にはサカナクションのライブに俳優として参加させていただいたりもして、少しずつ東京に居場所ができてきたというか、また仕事をしたいと思える人たちとの出会いが私にとって大きかったです」
——中3で描いた未来設計図では、この1年後、大学2年生で芸能界の進退を決める予定だったよね。
「はい、でも決めませんでした。“この活動を続けるかどうか”というのはずっと考えてきたことだったし、この区切りはもういらないかなと思って。ただ、3年生になったら就活するだろうなとは思ってましたね」
続けてこられたということは、それが“向いてる”ってことなんだ
——手を抜くことを覚えて少し柔軟になったアスカは、“予定通りに未来を絞る”ということをしなかったんだね。その後、就活はどう進めたの?
「結局しなかったんです。その時に『私、就活しないんだ。このまま芸能活動を続けるんだな』とようやく素直に思えたというか。ちょうどこの頃くらいから、自分がこの仕事を楽しいと思っていることを認めてあげられるようになった気もするんです。それに、ここまで続けてこられたということも、意外とすごいことなんじゃないかと思うし、多分それが“向いてる”ってことなんだろうなと思うんですよね。私にとって続けることは簡単で、それよりも辞めることの方が難しいんだと思っていたんですけど、でもそれってやっぱり楽しいから続けられているんだろうなって気づきました。今まで口では『どうしたらいいかわからないです』、『続けるかもしれないし、続けないかもしれません』って曖昧なことを言ってきたけど、多分心のどこかではずっと『この活動がやりたいんだ』と思っていたんだと思います。」
——そしてこの春大学を卒業して、また芸能活動を続ける道を選んだんだよね。
「いよいよこれしか道がないんだな、とは思いますが、でも今はそれがすごく嬉しいです。とはいえ、今でもずっとこの仕事を続けられるかはわからないなと思う自分もいるし、この二つの考えを共存させつつ、常に考えながら生きていくんだろうなと思います。」
——では最後に、読んでくれたみんなにメッセージをお願いします!
▶︎ 現ニコ読ちゃんへ


「大人になった今も、“泣きながら勉強した高校3年生の自分”に救われることって結構あるんだよね。しんどいことが起きたとき、受験生時代の経験を思い出すと、あれより辛いことはないなと思って立ち直れる。私は結果としては第一志望の大学に行けなかったけど、『いや、あれを乗り越えられたんだから頑張れるな』と思える経験ができたのってすごい大きかったなと思ってて。だからもちろんどこに行くかもすごい大事だけど、それまでの過程もやっぱり大事だし、“ここまで頑張れる自分がいるんだ”と気付けるのも受験期間ならではだと思うので。結果が全てじゃないよ!」
▶︎ 現ニコラモデルのみんなへ


「ニコラは仕事の場でもあるけれど、経験や学びの場でもあるし、私はどんなに願ってももうニコ㋲には戻れないので、限りあるこの時間を存分に楽しんでほしいな。とはいえ、ニコラが全てでもない。ニコラ卒業と同時に芸能界を引退して、そのあとすごく楽しく人生を歩んでいる子も知っているからこそ、これが全てじゃないんだよっていうことも伝えておきたいな。あとね、今何か思い悩んでいる子がいるとしたら、ニコラのスタッフさんや編集部さんにもっと甘えてもいいんじゃないかな? 世の中には悪い大人もいるみたいだけど、ニコラの皆さんは“いい大人”だったなあって、今でも思うよ〜!」
▶︎ 「ニコ㋲のアスカ」を見てくれていた“元”ニコ読ちゃんへ


「いまだに“ニコラの川床明日香ちゃん”って覚えてくださっている方がすごく多くて。当時から私を知ってくれていることに感謝だし、そう言われるたびに大好きなニコラのパワーを感じられて、とっても幸せです♡ 私、最後の東京開放日での卒業のコメントで、『ニコラを読んでいた時の気持ちが、みんなの中にずっと残り続けたらいいな』みたいなことを言ったと思うんだけど、ちゃんと残ってるんだなって感じられることが今もあって、それもすっごく嬉しいの。そしてできればこの先もずっと、ニコ読だった頃の気持ちが、あなたの中に残っていてくれたらいいなと願っています♡」

PROFILE/川床明日香(かわとこ・あすか)
2002年7月10日生まれ、福岡県出身。2014年「第18回ニコラモデルオーディション」にて、応募総数11,256人の中からグランプリを受賞。専属モデルを4年半務め、初代ニコラ生徒会長へ就任。2021年にサカナクション「SAKANAQUARIUM アダプト TOUR」に出演し、注目を集める。主な出演作は映画「沈黙のパレード」、NHK連続テレビ小説「虎に翼」等。
ジャケット¥8590、デニムパンツ¥7990、ブーツ¥6590/すべてザラ レイヤードトップス¥19734/Matin Kim ※クレジットのない物はスタイリスト私物でお願いします
Model/Kawatoko Asuka Photo/Tsutumi Hiroyuki Stylist/Tanaka Ayumi Hair&Make/Tsuzuki Hikari Text/Ide Krone


“ニコ㋲”のその先〜先輩たちの大学進学エピソード〜 第一回・中央大学3年/町田恵里那
“ニコ㋲”のその先~先輩たちの進路選択エピソード~ 第二回・インフルエンサー/溝部ひかる




















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