恋花火

CAST田中 南田中 南

作者:Yuina

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.06.28

「ほぇー」





夜空に舞う、
綺麗な花。





数ある日本の文化の
ひとつ。





見た、全ての人を
虜にする、花火。





馬鹿みたいに
口を開け、
上を見上げる私。





田中ミナミ、
中学3年生。





「おい、口閉じろ」





無理やり、私の口を
閉じる彼。





「私たち、
いつまでこうして
一緒にいられるのかなぁ」





「俺らは
ずっと一緒だよ」





ねえ、なんでそんなこと
言うの?





私を期待させないでよ。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





「おはよー、シズク」





「あ、おはよう!
ミナミ」





太田シズク。





幼馴染のシズクは、
私のよき理解者であり、
親友。





「おはよう。
ミナミ、シズク」





南ルワ。





「あ、ルワ。
おはよう」





「おはよう、南」





ルワも幼馴染。





「キャアーーッ!
ルワくーんっ!」





こんな歓声、
日常茶飯事。





でも、そんな歓声を
無視することなく、
みんなに笑顔で応えるルワは、
とっても優しい。





「お、おはよう。
ルワくん」





「ユナちゃん!
おはよう」





高比良ユナ。
人目を引く美少女。





「はあー」





ルワが好き。
でも・・・





あんなに可愛い
ユナちゃんなんかに
勝てるわけがない。





「大丈夫」





そんな私の心を
見透かしたかのように、
私を慰めてくれる、
優しい親友。





「うん」





シズクがいたから、
ルワのことを
あきらめずにすんだ。





もし、シズクが
いなかったら・・・





私はきっと、
ルワのこと
あきらめてた。





「らっしくねーなっ!
ため息なんて」





内田レン。





「もうっ!
いいでしょ、別に。
私だって、いろいろあるの」





レンとは
仲がいいんだけど・・・





いくら
仲いいからって、





ルワが
ユナちゃんに・・・
なんてことは、言えない。





「ふーん」





自分から
話しかけといて
その反応。





ひどい・・・。





「よしっ! 田中、
どっか連れてってやる。
明日、駅前の噴水に
10時なっ!」





「え・・・
ちょっと、レンっ!」





って、もういない。





「あははっ。
いいじゃん、ミナミ。
行ってきなよ」





ちょ・・・シズクまで
なにをおっしゃる。





まあ、いっか。





明日行ってみよう。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





「おーいっ! 田中ーっ!!」





あ、レンだ。





「おはよう。ゴメンね、
待ったでしょ」





「ううん。今来たとこ。
じゃあ、行くか」





えーっと・・・





「どこに行くの?」





私、なにも聞いてない。





「お前を笑わせに
行くんじゃん」

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





「うっわぁーっ!
ここ来たの
久しぶりー!!」





遊園地。





ここに来るのは、
中2の夏以来。





私とルワ、
2人で来たんだ。





「うわっ! もう
笑ってんじゃん」





「あははっ」





私を笑顔にするために、
レンはこんなとこにまで
連れてきてくれたんだ。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





あのあと、私たちは
夜までたーっぷり
遊んだ。





「今日は、ありがとね」





「いいって、そんなの」





あ、レン、
少し照れてる。





「じゃあ、また明日ね。
バイバイ」





そう言って、
歩き出そうとしたら・・・





「待てよ」





腕をつかまれた。





なんで腕を
つかんでるの?





いろんな疑問が
頭の中をグルグル回る。





「好きだ」





え・・・?





「いつも明るくて優しくて、
笑顔を絶やさない田中が
好きなんだ」





「・・・・・」





「付き合ってください」





レンに好きって言われて
うれしかった。





レンが好き。





だけど・・・





「ごめんなさい」





レンに対しての
その好きは、
恋じゃない。





「・・・ルワ」





「え・・・?」





「ルワだろ?
お前の好きな人」





「・・・うん」





レンは
にこっと笑って、





「がんばれ」





そう言ってくれた。





「ありがとう」





レンのためにも、
ルワのことは
あきらめちゃいけない。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





〈で? 内田とは
どうなったの?〉





その日の夜、私はシズクに
今日あったことを報告
していた。





〈断った〉





〈・・・そっか。
内田のことだし、
ミナミのこと、応援して
くれてるんでしょ?〉





〈うん・・・〉





シズクは何でも
お見通し。





〈じゃあ、頑張んなきゃ。
私も応援してるからね。
おやすみ〉





レンもシズクも、
私のこと
応援してくれてる。





〈おやすみ。ありがとね〉





2人のためにも
頑張らなくちゃ。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





「おはよう、ミナミ」





「シズク、おはよ」





あのあと、
私はいろいろ考えたけれど、
何をどう頑張ればいいのか、
全然わからない。





「ね、ミナミ。
もうすぐ夏祭りじゃん」





「あ、ほんとだ」





「今年は?
南と行くの?」





毎年、私は
ルワと2人で
夏祭りに行っている。





でも絶対、
今年からは行けない。





ルワは、
私なんかとは
行きたくないはず。





だから、私からはもう、
何も言わない。





約束はしない。





本当は行きたいけれど、
行かない。





行けない。





「無理だよ・・・。
今年からは、もう行けない」





「南に今年からは
無理って、言われたの?」





「違うけど・・・」





「じゃあ、
わかんないじゃん。
なんで決めつけるの?」





シズクの言うことは、
いつも正しい。





だけど・・・





「私だって、そんな風に
思いたくないんだよ!」





「・・・・・」





「でも、もう無理。限界。
これ以上、辛い思いは
したくないのっ!」





「・・・そう。ミナミが
そう言うんなら、私は
もう、なにも言わないよ」





・・・行っちゃった。





シズクが悪いわけじゃないのに、
シズクにあたってしまった。





シズクは、私のことを心配して
言ってくれただけなのに。





傷つけちゃった。
どうしよう。





私は一人、机にうつぶせ、
泣いていた。





「ど、どうしたんだよ」





レンだ。





「なんで泣いてるの?」





レンの優しい言葉に、
もっと涙が出てくる。





「ちょ、泣くなって。
マジ焦る」





「・・・・・」





「どうしたの」





レンになら、言える。





「シズクを傷つけた」





レンは一瞬、
おどろいて、





「何があったの」
って。





私は、全てをレンに
話した。





レンはなにも言わずに、
ずっと私の話を
聞いてくれた。





そして最後に、





「今、1番しなきゃ
いけないことは、
何だと思う?」





シズクに謝ること。





その1つが、頭の中に
浮かんできた。





「私、シズクに謝ってくる」





レンは
にこっと笑って、





「行ってこい」





私の背中を
押してくれた。





「うん。ありがとう」





私は一生懸命、
シズクを探した。





「シズクーっ!」





いた。シズクだ。





「シズクっ!」





「ミナミ!?」





私のいきなりの登場に、
驚いている。





「シズク、さっきはごめん。
私、焦ってた。
ルワが誰かのとこに
行っちゃいそうで」





「ミナミ・・・」





「でも、シズクにあたって
いいわけない」





今なら、言える。





「ごめんなさい」





「もういいよ、ミナミ。
ルワのとこ、
行っといで」





シズクは、いつだって
私のこと、
わかってくれてる。





今だって、そう。





「ありがとう、シズク」

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





いた。
ルワだ。





・・・教室で、
ユナちゃんと話してる。





今までの私なら、絶対に
来た道戻ってた。





でも・・・
今は違う。





私は、2人のいる場所へ
行った。





「ね、ルワ。
ちょっといいかな?」





「ん? あぁ、ミナミか。
ユナちゃん、
ちょっといい?」





「え? うん、いいよ」





ユナちゃんは、
嫌な顔1つせず、
ニコッと笑って
「いいよ」って言ってくれた。





ユナちゃんは、
ただ可愛いだけじゃない。





とっても優しい、
友達思いの女の子。





私はユナちゃんの性格を
知っている。





だからかもしれない。
私が焦っていたのは。





「どうしたの? 急に」





私は、ふぅーと
深呼吸をして、





「今日さ、久しぶりに
2人で帰れない?」





言えた。
言えたよ、私。





「なんだ、そんなことか。
いいよ。
門のとこで待ってて」





心の中で、ガッツポーズを
して、





「うん!」





これだけで満足している
ようじゃ、なにも始まらない。





「シズクーっ!」





「わっ!
どしたの、ミナミ」





「私、今日一緒に帰ろって
誘えたよ」





シズクはにっこり笑って
言ってくれた。





「よかったね。がんばって」
って。





私には、まだやらなきゃ
いけないことが残ってる。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





放課後。





私は門で、ルワを
待っていた。





「おーいっ!
ミナミーっ!」





ルワだ。





「ミナミ、待ったか?」





「ううん、大丈夫。
帰ろう」





私たちはずっと、
くだらないことばっか
話していた。





しばらくして、
私が夏祭りのことを
話そうとすると・・・





「なぁ、ミナミ」





ルワが、話し始めた。





「ん? どしたの?」





「今年の夏祭り、
どうする?」





え・・・





まさかルワから
その話を聞くとは
思っていなかった。





私は、固まってしまった。





「どうしたの、ミナミ」





ルワが心配そうに、
私を覗き込む。





「や・・・私なんかが
一緒に行っていいの?」





「は? なんだよいきなり。
毎年行ってんじゃん」





「今年も一緒に行って
いいの?」





「い、いいに
決まってんじゃん。
いいの? ってなんだよ」





そう言って、
ははっと笑った。





ルワは、





「当日、7時に
お前んち行くわ」





私と、約束してくれた。



















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





〈やったじゃん、ミナミ!〉





家に帰った私は、シズクと
帰り道にあった出来事について
語っていた。





〈うん!〉





〈これで、一安心だね〉





〈ね、シズク〉





〈ん? どったの?〉





すぐさまシズクから
返信が。





〈シズクさぁ、
最近変わったね〉





これは、私が最近よく
思うこと。





〈え・・・何、急に。
いい意味で?〉





〈うん、いい意味で。
何かあった?〉





〈ははっ。ミナミは
何でもお見通しだ〉





そう言ってシズクは、
話し出した。





〈実はさ、私、
レンのこと
好きなんだよね〉





え・・・、と思い、
動きが止まる。





〈レンがミナミを好きなの
知ってたからさ、今まで
なにもできなかったんだけど。
ミナミが告白断ったって
知ってさ・・・〉





〈・・・うん〉





〈夏祭り、誘ってみた〉





シズクはすごい。





〈今まで気づいて
あげられなくて、ごめんね〉





〈ううん、いいの。
お祭り、一緒に行って
くれるって〉





〈よかったね! 頑張って。
私も頑張るよ〉





〈うん、ありがとう〉





シズクもこんなに
頑張ってるんだから、
私も、頑張らないと。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





今日は、夏祭り。





浴衣を着た私は、
家でルワを
待っていた。





「おーいっ!
ミナミーっ!」





家の外から聞こえる、
ルワの声。





今日は私にとっては
勝負の日。





頑張らなくちゃ。

















☆・・・・・・・・・・・・・・・☆





「うわー、
毎年すげーな、ここ」





「だね」





夏祭りの会場についた
私たちは、たくさん遊んだ。





この夏祭りの目玉は、
花火大会。





「おい、ミナミ。
いつものとこ行こーぜ」





「うん」





私とルワは、
花火がよく見える、
2人しか知らない草原へ
向かった。





「にしても、
人いねーなっ!」





「ね。すっごい綺麗に
見えるのに」





「な」





「「・・・・・」」





よしっ!
今だっ!





「な、なあ」





あ、先越された。





「ん?」





「あ、のさ・・・」





ルワ、
顔すごい真っ赤。





暗い中でもすぐわかる。





「どうしたの?」





ルワは「ふう」と
一呼吸おいてから、





「俺と付き合って」
って。





「小さいときから、
ずっと好きだった」





「私も。
ずっと好きでした」





夏祭りの夜、
私たちの心の中に、
恋と言う名の花火が
上がりました。







☆END☆


*ニコ学名作リバイバル*
この作品は、過去に投稿された作品をアレンジしたものです。

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