お掃除探偵
作者:りんごりら。
「あ~!
こんなところにあった、、」
お掃除をすると
いろんなものが出てくる。
例えば今は
昔なくしたお気に入りの
イヤリングの片っぽ。
どこ探してもなくて
タンスの大掃除をしてたら
見事に出てきたのだ、、
「やっぱ掃除っていいな~」
前に部屋の掃除をしたときは
何故か本棚の奥に
100円玉が転がっていた。
見つけたときは
すごく金欠だったので
「ラッキー!!!」と
思いっきり叫んでしまった。
今となっては
恥ずかしい思い出だ。
「ん、、?
これって、、、」
ドレッサーの
引き出しの奥に
見覚えのない赤い箱。
ホコリを被っていて
少し不気味だ。
このまましまって
おいてもいいが
やっぱり気になるので
出してみることにした。
「意外と重いな~、
誰のだろ?」
このドレッサーは
お母さんからのお下がりだから
もしかすると
取り出すのを忘れて
ずっと入れっぱなし
だったのかもしれない。
それにしても
重い箱だ、、
「うわっ! 汚~」
どうやったら
引き出しの奥で
ここまでホコリが
溜まるんだ、?
というレベルの汚さ。
ちょっと開けるのを
ためらったが
もしお母さんの大切なものが
入っていたらと思い
開けてみようとした。
そのとき!!!!!
『開けちゃダメよ!
絶対に』
「え、、?」
突然部屋に
誰かの優しい声が
響き渡った。
とっさに部屋の中を
見回すが、そこには
誰もおらず
窓を開けていたため
カーテンがゆらゆらと
揺れているだけだった。
私は怖さでその場に
座り込んでしまった。
「だ、誰?
幽霊、、
じゃないよね?」
怖い、
怖すぎる。
こんな体験今まで
したことがないので
その分さらに怖さが増した。
そばに置いてあったスマホを
用もないのに触り
気を紛らわせようとする。
でも効果は全くなくて
逆に不気味さが増す
一方だった。
もはや立てなくなるほどの
恐怖に襲われていた。
「お母さん~、、」
不安で仕方がなく
か細い声で
お母さんの名前を呼んだ。
だが今はスーパーへ
特売の牛乳と卵を
買いに行っていて
不在だ。
もうどうしようもなくて
ただ怖がっているしか
なかった。
(早く帰ってきて、!)と
心の中で何度も繰り返す。
「でもよく考えたら
あの声って
カノンに似てない?」
怖いはずなのに
なぜか口からぽろっと
こぼれ落ちた言葉。
カノンとは
幼稚園の頃から仲が良く
小学校でもずっと
クラスが一緒だった。
でもある日を境に
学校へ来なくなって
しまったのだ。
その原因はきっと、、
「私だ。
私が悪いんだ」
思い出したかのように
次々と口から出てくる
言葉たち。
私が悪い?
じゃあ何をしたの?
とみんな思っている
はずだろう。
いいよ、特別に
教えてあげる。
でもこのことは
絶対に秘密ね?
私ももう
思い出したくないから、、
*。・ 2年前/中学2年生 ・。*
「これ!! ナナが
やったんでしょ?!」
「ッ?!! 違う!
私じゃない!!」
「嘘つかないでよ!!」
「嘘なんかついてないよ!!
信じて!! 本当なの!!
お願い!!!」
声を大にして
カノンが私に見せたもの。
それはカノンが
とても大切にしていた
1冊のノートだった。
私はそのノートを
1度だけ見せて
もらったことがある。
中身はカノンが好意を
寄せていた先輩に対しての
ラブレターのようなもの。
見ただけでこっちが
恥ずかしくなるほど
甘くて可愛らしい
内容だった。
だがそのノートが
何者かによって
ビリビリに
引き裂かれていたのだ。
手で破ったところもあれば
カッターを使って
切り刻んでいたところもあった。
見ると吐き気がするほど
残酷だった。
「ナナがやってないなら
他に誰がやるのよ?
ナナにしか見せてないし
教えてないのよ?!」
「でも違うの!
カノンが大切にしてるものと
知っててそんなことしない!!」
これが女の裏の顔か、
と嫌気がさすほど
大声で怒鳴ってくる
カノンに対して
私も負けじと否定した。
(どうして
信じてくれないのか?
私はあなたの親友なのに、、)
ずっとこんなことばかり
考えていた。
友達とはこんな
薄っぺらい関係なのかと
呆れて笑い、そして泣いた。
友達なんて所詮
上辺だけだと
分かった瞬間だった。
「もうナナなんて
知らない!
絶対許さない!!」
「いいよ。
私もカノンなんて
大っ嫌い!!
もう2度と
顔見せないで!!」
それがカノンと
最後の会話だった。
次の日からカノンは
不登校になり
私が言った通り
2度と顔を見せることは
なかった。
自分の発言が
こんなにも
誰かを苦しませるとは。
どんどん
息が苦しくなった。
・・* ・ ・・*
話に戻ろう。
あの赤い箱を
開けようとしたら
カノンに似た声が
『絶対に開けちゃダメ』
みたいなことを
言ってきたんだっけ?
思い出してたら
怖さなんてどこかへ
吹っ飛んでしまった。
「もういいや!
開けちゃお!!」
どんなことが
起きてもいい。
カノンとのことに比べれば
まだマシだ。
もしかしたら
空耳かもしれないし
ポジティブに
考えることにした。
でもやっぱり
怖いけど、、笑
『開けるのね。
いいよ、開けて』
「まただ、、」
またあの声が聞こえたが
今度はさっきよりも
優しくなっていた。
その声に背中を押され
きちんと箱を開ける
決心ができた。
恐怖はあるけど
ここで逃げたら
ダメな気がして
赤い箱と向き合った。
何が入っているのかは
分からない。
でも心のどこかで
安心している自分もいた。
「開けるぞ、、」
意を決して
勢いよく
その赤い箱を開けた。
すると1通の手紙が
ぽつんと寂しそうに
入っていた。
その手紙には
《ナナへ》という文字。
私は(もしかして、、)という
気持ちを抱え
その手紙を手に取り
ホコリを払った。
そして封筒の中から
1枚の紙を
そっと取り出した。
震える手で慎重に
紙に書いてあることを
心の中でゆっくりと
読み始める。
~手紙の内容~
*・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。*
ナナへ。
この前は鬼みたいに怒っちゃって
ほんとごめん!
めちゃくちゃ反省してる。
ナナは絶対やってないって信じてたけど
やっぱり誰かのせいにしないとスッキリしなくて。
それでナナを犯人にしちゃったの。
ごめんなさい。
この手紙はナナのお母さんに頼んで
部屋に置いといてもらうことにしたんだ。
直接渡すのは照れくさいので笑
この手紙を読んだらお返事くれると
嬉しいです!
早くナナと仲直りしたい!!
意地っ張りだからなかなか学校にも
行けなくて、、
ナナとなら行ける気がするの!!!
だからお願い。
また友達に戻ろうよ。
大好きだよ! カノンより。
*・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ ・。
手紙を読み終わった頃には
私の顔は涙でぐちゃぐちゃに
なっていた。
早く見つけたかった。
どうして
こんなところに、、
この際そんなのは
どうでもいい。
私は掃除のことなんか
すっかり忘れ
カノンへの手紙を書き始めた。
もう2年も前のこと。
きっと高校も
別々のはずだ。
でも書かなきゃいけない。
このままでは終われない。
「カノンのバカっ、、
ずっと友達だよ、、」
........*
後日聞いた話によると
(これは大事な手紙だろうから
なくさないようにしないと、!)
と思ったお母さんが
目立つように赤い箱に入れて
私が毎日開けるドレッサーの中へ
しまったそうだ。
最終的にはそれが
逆効果に終わったんだけどね笑
でもあの声の正体は
まだ分からない。
私の勝手な想像だけど
きっとあの声は
カノンだと思う。
カノンの心が
私と通じあったんだ。
『開けちゃダメ!』って
言ったのは
恥ずかしかったのかもね。
ふふっ。
*end*
野崎 奈菜

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