あの日のこと。

CAST広瀬 まのか広瀬 まのか

作者:うみがめちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.03.25

「カイトくん!」





ダメだった。
遅かった。





私のせい。





恋なんて、
しなきゃ良かった。











・.・.・・.・.・





―――――5年後





「な! 広瀬!
ん? あのさ!
聞いてる?
マノカさーん?」





こいつはエイト。
スクールカースト
上位のくせに
いつも私に絡んでくる。





うるさいし
めんどくさい。





「うるさい」





「そんなこと言うなよ!
いいお知らせ
なんだからさっ!」





「?」





「今年卒業式できるか
できないかって
感じだったじゃん?
・・・できるって!」





そう。
私たちは今年、
中学を卒業する。





「あっそう」





「へ?!
なんか冷たくない?!」





「・・・」





5年前、私は
引っ越してきた家の
近くの公園で
1人で遊んでいた。





「あ!
隣に引っ越してきた
子だよね!」





「だぁれ?」





「俺の名前はね、
『かいと』!
わぁ!
砂でお城作るの上手!
俺も一緒にやっていい?」





「うん! やろ!
えっと、
私はまのか!」





私から見た
あの時のカイトくんは、
輝いていた。





ひとりぼっちの私を
救ってくれた、
神様のような存在。





「じゃあ!
また明日公園で
待ち合わせ!」





「うん!
かいとくん、
今日はありがとう」





「おう!」





私達は仲良くなり
毎日遊んでいた。





次第に、
私はカイトくんを
好きになっていた。





「今日別の公園
行きたくない?」





「確かに!
でも私、ここに
引っ越してきて
まだ2ヶ月くらいだから、
あんま知らなくて・・・」





「・・・紹介するよ!
いい公園知ってる!」





「ほんと?
ありがとう!」





「ねぇまのかちゃん!」





「ん? ・・・
はっかいとくん、
後ろ!」





「え?」





一瞬にして咲いた
好きな人。





「かいとくん!」





でもそれは、





「うそ・・・ねぇ!
かいとくん!」





一瞬にして散った。





恋した私が
悪かったんだ。





恋なんてしなければ、
こんな思いはしなかった。





あれから私は
恋をしていない。





恋を、





しないと決めている。







「広瀬? おーい」





「はっ」





「ぼーとするなって!
卒業式の練習、
今週中に始まるって」





「ふ、ふーん」





1週間後、帰り道。





「あのさ。広瀬って昔、
好きな男子交通事故で
亡くしたんだろ?
隣のクラスの平澤から
聞いた」





「・・・え」





ハルカ。
小学校時代の
唯一の大親友。





なんでも話してたから
知ってるんだ。





「あれからもう
5年経つってことだよな。
まだそんな気にしてんの?
自分偽っても楽しくねーぞ」





「うるさい!」





「え?」





「あんたなんかに
何がわかるの?!
あんたはいつも
クラスの中心にいて、
周りにはいつも友達が居て。
でも私は違かったの。
周りに何もない、暗い世界で、
カイトくんは、
私を救ってくれたの。
口出さないでよ。
そもそも他人がどう生きようが
自由でしょ?!
もう話しかけないで」





「ちょっ広瀬っ!」





私は走った。





我ながら、
自分が言ったことは、
正しかったと思う。





正しかったと、
思うようにした。













*。・ 翌日 ・。*





「おはよ!」
「おはようございまーす」
「おはよー!!」





昨日はエイトに
悪いことしちゃったな。





え?
下駄箱開いてる・・・
なんで?





“昨日はごめん。
あ、後、
俺は諦めない。”





下駄箱には、
そう汚く書かれた紙が
入っていた。





これは・・・





エイトの字だ。





「なにあいつ。
告白でもしたつもり?」





笑った。





そして泣いた。





汚い文字が滲む。





私はエイトのところに
走った。





「エイトっっ!」





私の声に振り向いた
エイトは、
少し驚いた顔で
こっちを見た。





「昨日は、
ごめんなさい」





私は泣きながらの
精一杯の声で伝える。





「こちらこそ。
ごめん。
・・・ありがとな」













・.・.・・.・.・





時が過ぎ、
卒業式前日。





あの日から、
エイトはあまり
喋りかけてこなくなった。





悔しいけど、
少し寂しかったりする。





良かった。
恋してなくて。





また、同じ思いをする
ところだった。













*。・ 翌日 ・。*





「それでは、みなさん。
私は、3年B組のみんなと
過した時間は
決して忘れません、
永遠に・・・」





「先生泣くなってー!」
「せんせー!」
「がんばれー!」





卒業式を終え、
最後の下校。





結局、あれで
エイトとの楽しい会話は
最後だったのか。





LINEも
最近してないし。





涙をこらえた。





その時、後ろから
声がした。





「広瀬ー!!!」





「?!」





「良かった。
まだ居た。
あのさ広瀬。
俺、結局卒業まで
諦めなかったよ。
好きだ。
付き合ってください」





「・・・っ」





恋なんて、
しないことにしていた。





また同じ思いを
したくないから。





でも、隣で笑ってる
エイトを見ると、





「エイトは、きっと
カイトくんの
生まれ変わりなんだ」





と思う。





あっという間に
過ぎ去った。





私とエイトの、
高校時代の話。







*end*

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