生意気な同居人

CAST若林 真帆若林 真帆

作者:焼きそばのソース

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.02.11

カナミ「マホー! 帰ろ!」





マホ「うん!
今日はどこに行く?」





若林マホ、中2!
親友のカナミと毎日のように、
放課後遊びしていて、
JCライフを満喫している!





カナミ「あっ、
ニコラカフェの新作スイーツ
出来たんだってさ!」





ニコラカフェの新作っ!!





マホ「行こ行こ!」





♪着信音♪





ん? 誰からだろ。





マホ「カナミ、
ちょっと電話出てくる!」





カナミ「うん!」





数分後、
私はどんよりした表情で
戻ってきた。





カナミが近寄ってくる。





カナミ「どうしたの?」





私は涙目に
なりながら話す。





マホ「・・・お母さんが、
早く帰って来いって・・・
うぅー!」





カナミは
そんな私を慰める。





カナミ「また今度行こーよ!」





マホ「新作すいーつぅ・・・!」





カナミ「明日にでも、行こう?
新作なんだから、
明日でも大丈夫だよ!
それより、お母さん
待ってるんでしょ?
早く帰ってあげて。
きっと待ってるよ」





私は、現実に戻る。





マホ「うん、そうだね」





カナミ「じゃあ、また明日ね!」





私は、カナミと別れて、
回れ右をして走り出した。





お母さんたら、
一体何の用だろう?





声が弾んでたから、
良い知らせ?





あれこれ考えながら、
家へと向かった。







・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆*





マホ「ただいまー!」





アスカ「おかえり、
あぁもう、靴を揃えて!」





うちのお母さんは、
若林アスカ。





マホ「ごめんごめん」





靴を揃えないクセが
治んないや。





アスカ「・・・マホを
この家に残して
大丈夫かしら・・・」





・・・え?





私は、リビングに戻って行く
お母さんの後ろ姿を見て、
ふと思い出す。





『待って!
お父さん、
行かないでよぉー!』





この家から出て行く
お父さんの後ろ姿。





『マホをこの家に残して
大丈夫かしら・・・』





・・・お母さんも、
出て行くの?





嫌だよそんなのっ!





お母さんまで
居なくなったら、
私、1人になっちゃう・・・





マホ「お母さっ・・・!」





リビングに着くと、
お母さんが呆れた顔で
こっちを見る。





アスカ「何してるの?
早く座りなさい」





私はお母さんの顔を見て、
ホッとする。





アスカ「もうすぐ
来られるんだから」





マホ「誰か家に来るの?」





ピンポーン♪





あ、噂をすれば。





アスカ「マホ、紅茶と
お菓子の用意をしてて!」





もう・・・
人使いが荒いんだから・・・





紅茶とお菓子を
用意し終わると、
お母さんが戻ってきた。





アスカ「紹介するわ。
こちらお母さんの同僚のミアさん。
で、こっちの男の子が
ミアさんの息子さんのタカト君」





うーん、
お母さんの知り合いなのに、
私と何が関係あるんだろう?





タカト「君がマホちゃんだよね?」





確か、タカト君って
言ったよね?





その男の子は、
誰もが羨むような整った顔に
綺麗な瞳。
その瞳には優しさを
交えている。





マホ「う、うん」





タカト君は
ふっと笑みを含む。





タカト「これからよろしくね」





私は差し出された
手を握る。





すごく感じのいい子だ。





アスカ「突然だけど、タカト君、
うちに1ヶ月
泊まってもらうことになってるの。
マホと2人でね」





私は目をまん丸にして、
身を乗り出す。





マホ「どういうことっ?」





1ヶ月? 泊まる?
2人?





アスカ「あのね、お母さんとミアさん、
明日からパリ出張になったの。
それで、どちらとも子供がいるから
どうしようってなって、ミアさんがね、
タカト君料理出来て、面倒見がいいから、
マホちゃんと一緒に
泊まればいいんじゃないって。
うちもタカト君がいるなら
安心出来るってことで、こうなったの」





1ヶ月間のパリ出張・・・!





しかも明日っ!





アスカ「マホ、タカト君、
そういうことで大丈夫?」





タカト「はい!
大丈夫です!」





タカト君は迷わず返事をして、
私の方を見る。





マホ「私も大丈夫だよ!
お母さんが留守の間、
家守るから!」





私もタカト君の方を見る。





タカト君が
笑ってくれたから、
私も笑い返した。





その姿を見て、
タカトママが微笑む。





ミア「もう打ち解けたようで
良かった」





と言って、2人が
立ち上がる。





アスカ「ちょっと今から
ミアさんの家行って来るから、
留守番よろしくね。
あ、マホ、タカト君に
家の中案内してあげてね」





そして、
玄関のドアが閉まる。





私はタカト君の方を
振り向く。





マホ「タカト君!
家の中を・・・」





タカト「あー、いいよ別に」





ん?
なんか態度が・・・





タカト「あ、さっきの笑顔が
素だと思った?」





と言って、
悪魔のような笑みを
浮かべる。





タカト「マホって、
そんな馬鹿な奴だったんだ」





ブチッ!





マホ「なにおっ!」





タカト「この家はお前のだけど、
料理も洗濯も俺の方が出来るから、
立場は俺が上だから」





私はタカト君を
にらみあげる。





マホ「はぁ?」





それを見て
タカト君はぷっと笑う。





タカト「さっきまで、
俺のこと目をハートにして
見てなかったっけ?」





ドキンッ!





タカト「言っとくけど、
俺に惚れんなよ。
めんどくさいから」





今まで出会った人の中で、
1番大っ嫌い!





マホ「あんたなんかに
惚れるわけない!
お母さんに本当のあんたを
言いつけてやる!」





お母さんたちには、
スマイルして!
私には悪口!?





なんなのよ!





そう思いながら
玄関の方に向かった瞬間、
両手首を掴まれ
壁に押し付けられる。





へっ?





そして、鼻が
くっつきそうなくらいに
タカト君が近づく。





タカト「母さんたちには、
絶対言うじゃねーよ」





タカト君の真剣な瞳に
不快にも
ときめいてしまった。





なんで?
なんでこんな奴に!





手首を掴む力が弱まる。





タカト「同居人として、
これだけは守れよ」





マホ「分かったから!」





はぁ・・・





とんでもない奴が
やってきた・・・





せっかくの幸せ
JCライフがぁ!





タカト「何俺のこと見てんの?」





ブチッ・・・





マホ「見てないしっ!」





こいつのせいで、
ぶち壊しだぁ。













*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・次の日・





チュンチュンチュン





朝を知らせる
雀の鳴き声。





あぁ、幸せ。





タカト「おい、
朝ごはんが冷める。
早く起きろ」





あぁ、地獄。





私は目をかっと見開く。





マホ「とっくに
起きとるわい!」





タカト「じゃあ、早くしろよ」





私は階段を
イラつきながら
駆け下りる。





タカト君が
うちにやってきて、
はじめての朝。





これがあと
30日続くと思ったら、
辛いしか
言いようがない・・・





タカト「これ」





キッチンに行くと、
タカト君が私に
1枚の手紙を渡された。





タカト「早くしろよ。
目玉焼き焦げるだろ」





私はタカト君から
手紙を奪い取った。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マホへ
1人にしてごめんね。
でも、1ヶ月後には必ず帰って来るからね。
不安だと思うけど、タカト君と頑張ってね。
             お母さんより
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





お母さん・・・





お父さんは
戻ってこなかった。





だけどお母さんは違う。





絶対戻って来るって
言ってくれたから。





大丈夫。
信じてるから。





タカト・マホ「いただきます」





私は箸を動かす。





マホ「タカト君はどこ中なの?」





タカト「別に関係ないじゃん」





話しかけてあげたのに!





なんで、タカト君は
こんなに性格に
表裏があるんだろう。





まぁ、ただ私が嫌いなだけ
なんだろうけど。





タカト「あ、やっぱ関係あるな」





なんの気の変わりよ!





タカト「今日の放課後、
ニコラ西中に来い」





ニコラ西中は・・・
私の通ってるニコラ学園の
近くだな。





マホ「どこに行くの?」





タカト「スーパーだ、荷物係」





荷物係って・・・





マホ「だったら
行かないし!」





タカト君は
悪魔の笑みを浮かべる。





タカト「じゃあ、
夕食なしだな」





もう、
ひどいっ!





マホ「分かったから!
放課後ニコラ西中に
行けばいいんでしょ!」





タカト「分かればよし」





はぁ、タカト君のせいで、
高血圧になりそう・・・













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆*





・学校・





学校に着くと
迷わずカナミの席に
駆け寄る。





マホ「カナミいぃっ!」





カナミは驚いた様子で
私の顔を覗き込む。





カナミ「マホ?
どうしたの」





マホ「昨日さー、
最悪な奴に・・・」





『母さんたちには、
絶対言うじゃねーよ』





お母さんに
言わなければ・・・、、





でも、あんな真剣だったから、
誰にも言わない方がいいかも・・・





カナミ「最悪な奴?」





マホ「あ、ううん!
なんでもない!
それより、
ニコラカフェに行くやつ、
延期にしてもらってもいい?」





カナミ「今日も何か用事?」





マホ「・・・荷物係に・・・」





カナミ「え?」





マホ「いやぁ、
家の食べ物
なくなっちゃってさぁー!」





カナミは
吹き出して笑う。





カナミ「やっぱマホ面白い!」





マホ「ははっ、
そんなカナミは可愛い!」





カナミ「もう!
お世辞はいいから」





私たちは、休憩時間
ノンストップで
おしゃべりをしていた。













*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・放課後・





「うわ!
女子いるぜ!」





「うおー!
ほんとだ!」





あー、
そうだった・・・





ニコラ西中は男子校。





カケル「君、誰待ってるの?
もしかして、彼氏?」





びくっ!





マホ「いや、違います・・・」





カケル「じゃあフリーなの?
あそぼーよ!」





マホ「そういうことでも・・・」





私の言葉も聞いてくれず、
手首を強引に引っ張る。





どうしよう!?





と、その時、





タカト「おい、触んなよ」





タカト君。





カケル「タカトの
知ってる人なのー?」





タカト「あーー、うん」





タカト君はあからさまに
嫌そーな反応をする。





カケル「えぇー?
どんな関係?」





タカト君は
「だりぃ」と呟き、
一言。





タカト「こいつは俺の同居人」





カケル「・・・え?」





その男の子は
口を開けたまま
固まっていた。





絶対誤解されてるよ!





タカト「行くぞ」





マホ「・・・うん」





『おい、触んなよ』





まぁ一応
助けてくれたのかな。





それには感謝。













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆*





・スーパー・





タカト「人参、キャベツ、
大根、ブロッコリー、白菜、
ほうれん草、ネギ、もやし、
それに・・・」





もうスーパーのカゴを
2つも使っている。





その2つ目も
いっぱいになりそうだ。





タカト君は
買い忘れがないか、
確認していた。





タカト「よし、会計しにいくぞ」





タカト君はお金を払って、
商品を持ってきたバックに
入れた。





商品が入った袋は
3つになった。





私は両手に1個ずつとって、
3個目を取ろうした。





だけど、それをタカト君が
ヒョイっと持ち上げた。





マホ「あ、ありが」





タカト「俺が持ってんの、
1番軽い奴だから」





タカト君めー!
力仕事は男がやってよ!
もう!!





あぁ、私最近
怒ってばっかだぁ。











*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・夕方・





タカト君は、
キッチンの明かりをつけ、
手を洗い始めた。





私は、テレビを見ながら
くつろいでいた。





夕食を作ってくれてるんだし、
何も手伝わないのも悪いな。





タカト「今日の夕食は・・・
あ? マホ何しに来たんだよ」





邪魔しに来たって
思われてる・・・





マホ「手伝おうと思って・・・」





私は、「邪魔だ」と
言われることを
承知して言った。





タカト「・・・じゃあ、
手洗って卵混ぜとけ」





マホ「邪魔って言わないの?」





タカト「正直言えば邪魔だし、
俺1人の方が早くできる」





ムスッ!





マホ「そんなに
言わなくても・・・」





タカト「だけど、お前の良心で
手伝おうって言ったんだろ。
それなら断らねーよ」





タカト君は
なんでもかんでも
悪い人じゃないんだ。





それに、ちゃんと
私のことも考えてくれてる。





と、そう思った瞬間、
タカト君が私をにらんだ。





タカト「おい、
早く卵割って混ぜろよ」





もう怒ってる!





マホ「わかったよ!」





私は、卵を冷蔵庫から
取り出して
ボウルに割って入れる。





マホ「今日は何作るの?」





タカト「オムライス。
お前、食べれる?」





やったぁ!





マホ「うん! 食べれる!
料理の中だと、1番好き!」





私がニッコニッコしていると、
隣でタカト君も
笑ったように見えた。





マホ「タカト君、今笑った?」





タカト君は真顔に戻る。





タカト「笑ってねーし。
てか、早くしろよ」





笑ってるように
見えたんだけどなぁ・・・





卵にライスを乗せて、
皿にひっくり返すのは、
タカト君がやってくれた。





皿に乗った形の
綺麗なふわっふわの
オムライス。





タカト「よし」





タカト君はひと息つくと、
ケチャップで
何かを描いていた。





描き終わると、
私の方に皿を回した。





マホ「・・・朝は早く起きろ・・・?」





どういう伝え方なのよ。





マホ「ケチャップ貸して。
私、タカト君のやつに描くから」





タカト君は
素直に渡した。





ふっふっふー!





マホ「はい、出来た!」





タカト「・・・怒りん坊の悪魔・・・?」





そう読むと、
ため息をついて
私の方を向く。





タカト「これ、お前だろ」





マホ「私、怒る時もあるけど、
悪魔じゃないし!」





それにいっつも、
黒くて悪魔みたいな笑みを
浮かべているくせに!





タカト君は椅子に座ると、
スプーンで文字を消された。





マホ「あぁっ!
せっかく頑張って
書くたのに!」





タカト「こういうことを
書くほうが悪いんだ」





それを見て、私も
タカト君と同じように
タカト君の書いたものも
スプーンで消した。





私はニヤッとタカト君に
向かって笑うと、
タカト君は呆れた顔で、





タカト「別に、消しても
なんとも思わないけど」





はぁ、無駄なことを
したなぁ・・・





私は、沈んだ気持ちで
オムライスをひと口食べる。





そのオムライスは
まだ温もりがあって、
優しい味がした。





悔しいけど、
すごく美味しい・・・













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆*





・次の日・





タカト「マホ、起きろ!」





私は目覚まし時計を見る。





マホ「うわあっ!
もう7時30分っ!?」





私は急いで制服を着て、
階段を降りた。





タカト「俺も遅れるだろーが」





マホ「ほんとごめん!」





あぁ、迷惑かけちゃった・・・





タカト「お前の学校、
何時までにつけばいい?」





タカト君は
洗い物をしながら聞く。





マホ「8時00だけど・・・」





あぁっ!
あと10分しかないっ!





タカト「10分か・・・
よし、ご飯早く食べろ!」





分かってるよっ!





ご飯を食べ終わり、
寝癖を直していると、
タカト君は
もう玄関に出ていた。





うわぁっ! タカト君、
先行っちゃった!
私も早く出ないと!





あと5分・・・!





このままじゃ
間に合わない!





私はカバンを持って、
急いで家を飛び出た。





タカト「おそい!」





マホ「えっ!?」





タカト君は、
自転車にまたがったまま、
イラついた様子で
こっちを見ていた。





マホ「まだ行ってなかったの?」





タカト「遅刻するぞ!
送るから、早く乗れ!」





ええっ!?





私は困惑しながらも、
タカト君の後ろに
またがった。





タカト「乗ったか?」





マホ「うん」





タカト「飛ばすから、
振り落とされるなよ」





マホ「うん!」





私はタカト君の背中に
ぎゅっとしがみついた。





タカト君の背中、
意外と大きい・・・





そして、わずが2分ほどで
学校に着いた。





私は、自転車から
飛び降りた。





マホ「タカト君、ありがとう」





タカト「俺が遅刻したら
お前のせいだからな」





うぅー・・・





今夜こそ、
夕食なしにされそう・・・





タカト「ま、時には
こんなのもいいけどな」





マホ「へ?」





タカト「じゃ、行くわ」





と言って、
再び来た道を
戻って行った。





自転車に乗っている時、
結構楽しかったな。













*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・夕方・





私はこの日、
タカト君が母親の前で何故
いい子ちゃんキャラをしているのか
知ることになる。





マホ「タカト君、今日は
なんの料理を作るの?」





タカト君はニヤッと
悪魔の笑みを浮かべる。





タカト「学校には間に合ったけど、
俺を焦らせたから、
毒でも入れようかなぁ」





ゾクゾクゾクッ!





タカト君なら、
毒入れてもおかしくない・・・





こ、殺されるぅ!





♪家の電話の着信音♪





タカト「マホ、出て」





マホ「うん」





私は急いで
家電を取る。





マホ「はい、
若林ですけど・・・、
あれ? お母さん、
どうしたの?」





お母さんの声は
焦っていて、
なぜかタカト君を
呼ぶように言われた。





マホ「タカト君!
うちのお母さんが呼んでる!」





タカト「分かった、今行く。
マホ、火を見といて」





マホ「うん」





私とタカト君は
場所を交代した。





タカト「はい、代わりました」





タカト君の声が変わり、
初めて出会った時のような
あの優しい声。





いつもそうだったら
いいのになぁ。





タカト「・・・え?」





ガタンッ!





えっ!?





何かが倒れる音がした。





マホ「タカト君!?」





電話台のところには
タカト君が尻餅をついて、
片手で頭を抱えていた。





受話器は手放され、
ぶら下がっていた。





タカト君の目には
涙も見えた。





私は受話器を手にして
呼びかけた。





マホ「お母さん!
なにがあったの!?」





お母さんは
すごく静かな声で言う。





アスカ「タカト君のお母さんの
ミアさんが、交通事故にあったの・・・
お母さんは現場にいなかったから、
怪我の容態は分からないけど・・・
タカト君は大丈夫?
何か倒れる音がしたけど・・・」





マホ「ごめん、
またかけ直すね!」





電話を切ると、
タカト君の顔を覗き込む。





マホ「タカト君、大丈夫?」





タカト君は
頬に涙を伝せる。





そして、過呼吸のような
息遣いをしながら
ボソっと呟く。





タカト「・・・お母さんまで・・・
奪わないで・・・
ハァ、ハァ、ハァ・・・」





いつもの
タカト君じゃない・・・





私はタカト君を
リビングまで誘導した。





マホ「あ、火、
切っとかないと」





火を切りに行き、
そして再びタカト君の元に
戻った。





マホ「何があったの?
なんで泣いてるの?」





タカト「お前は・・・
関係ない・・・」





荒い息遣いは
治らない。





マホ「関係ならあるっ!
同居人でしょ!
心配してんの!」





タカト君は
ふっと微笑む。





タカト「意味わかんねー・・・」





タカト君は
話そうとしない。





タカト君が
さっき言った言葉・・・





『・・・お母さんまで・・・
奪わないで』





もしかして・・・、





マホ「た、タカト君家は、
お父さんいないの?」





すると突然、タカト君は
目を見開いて私を見る。





タカト「お前も・・・
俺のこと片親だって
バカすんのか?」





蘇る昔の記憶。





『お前んち、
とーちゃんいないんだぁ!』





『これだから、片親は・・・
まともに教育が
行き届いてないんだ・・・』





『若林さんのところ、
離婚したらしいわよ・・・
まだお子さん小さいのにねぇ・・・』





マホ「私にも、分かるよ。
タカト君の気持ち」





タカト君は
大声を出す。





タカト「同情してんのか?
俺の気持ち分かんねーだろ。
かわいそうだって言って、
哀れな目で見るんだろ!」





マホ「分かるよっ!!
うちだって
親離婚してるから!」





普通の子とは
違った目で見られる。





その度に
嫌な気持ちになる。





タカト「・・・お前の・・・
ところもか・・・?」





あぁ、タカト君も、
傷ついてるんだ・・・





マホ「タカト君の
ところもだよね」





タカト「うちは、俺が8歳の時、
父親が事故で亡くなった」





だからさっき、
タカトママが事故にあった時、
父親と重ねてしまったんだ。





私もそうだった・・・





ちょっとしたひと言で、
自分が1人に
なりそうな気がする。





お母さんが、時間通りに
帰ってこなかったら、
自然と恐怖が襲ってくる。





見えない相手と
戦ってるようで、
ただ怖くて怖くて、
仕方ない。





タカト「母さんには
迷惑をかけないように、
何言われても従って、
ずっと笑っていて、
心配をかけないようにしてた」





だから、お母さんのいた時は、
優しく接して、
笑っていたんだ。





それに、私がお母さんに
ほんとうのことを
バラすって言った時、
真剣な表情で口止めしたのも、
全部、全部、お母さんに
心配かけないようにするため。





タカト「俺のこと、
意地悪で、
嫌な奴って思うんなら、
お前に対しても、
優しくしてやってもいいよ」





すると、タカト君は、
ニコッと笑う。





タカト「ね、マホちゃん」





仮面のような
笑顔のタカト君。





マホ「や・・・だ・・・」





私は涙をためて、
タカト君を抱きしめる。





マホ「いつもの、
タカト君に戻ってよ。
こんなタカト君、
嫌だよぉ・・・」





タカト「・・・俺だって、
本当の自分と真逆のキャラ
したくねぇよ。
だけど、どうすればいい?
今頃になって、
母さんはこんな生意気な奴、
見たくねぇだろ・・・」





マホ「タカトママは、
どんなタカト君でも
受け入れるよ・・・」





タカト「じゃあ、もし、
嫌な目で見られたらどうする?
もしかしたら俺捨てられたり・・・」





マホ「そんなこと言わないで!
そんなこと、
絶対ないから!」





私たちは、同じ傷を
負ったもの同士。





マホ「それにタカト君、
自分の親だよ?
親はどんな子でも、
自分の子供だから、
受け入れるよ・・・
絶対、私が保証するから・・・」





片親というのは、
すごく辛いこと。





タカト「そう・・・だな。
ありがとう。
お前のおかげで自信がついた。
母さんが帰ってきたら
言おうと思う」





マホ「うん・・・」





これで、タカト君の不安が
とれたと思うなら、
すごくよかったって思う。





その日の夜、お母さんから
電話がかかってきて、
タカトママは、
擦りむいたぐらいで軽傷だった。













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆*





それから、月日が経って、
お母さんたちがパリ出張から
帰ってくる日になった。





今日は日曜日!





いつもならカナミと
どっか遊びに行っているけど、
今日は違う。





タカト「マホ、
風船そっちだって!」





マホ「いや、絶対
あっちの方がいいって!」





今日はお母さん達が
帰ってくる!





タカト「俺、ケーキ取ってくるから、
飾り付け終わらせとけよ!」





マホ「あ、テープ無くなっちゃった!
ついでに買ってきて!」





タカト「はぁ?
ちゃんと計画的に使えよー!」





マホ「テープを
計画的に使えだって?
無理でしょ!」





私達はいつも通り、
喧嘩中。





タカト君は
ため息をつく。





タカト「キリがねーから、
自転車飛ばしていくぞ」





マホ「えっ!」





タカト「何ボーとしてんだ!
あと10分もないんだぞ!」





マホ「分かった分かった!」





私はタカト君の後ろに座り
背中に抱きついた。





タカト君が
自転車をこぎ始める。





マホ「なんか、
もう終わるんだね。
同居」





タカト「・・・明日からは、
関わることねーだろえなぁ。
学校、違うし」





マホ「そう、だね」





なんか、寂しいな。





タカト「でも、俺はこの関係
やめるつもりないけど」





マホ「え?」





タカト「俺はマホが
好きだって言ってんの」





私は顔を真っ赤に染める。





マホ「ええええっ!!??」





タカト「耳元で叫ぶなよ!」





マホ「だって、
突然だから・・・」





タカト「返事は・・・?」





私は唇を噛んで
嬉しさを抑えながら、
タカト君を抱きしめる力を
強くした。





マホ「私も好きだよ」





きっと、私、
タカト君のこと
すごい好きだ・・・













*・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆





・家に帰ったあと・





マホ「飾り付けよーし!」





タカト「料理よーし!」





マホ「ケーキよーし!」





タカト「時間よーし!」





ガチャッ!





あっ!





マホ「タカト君、隠れて!」





タカト「おい、もっと詰めろよ!」





マホ「無理だって!」





アスカ「あんた達何してるの?
バレバレよ」





うわあっ!





ミア「これ、
2人でしたの?
すごいわねぇ!」





タカトママが
壁につけられた色とりどりの
風船を見ながら言う。





タカト君の顔が
真剣になる。





タカト「母さん、今いい?」





タカト君は
私の方を見る。





(頑張って)





タカト君は、私の心の声が
聞こえたように笑って頷く。





(うん、ありがとう)





2人はリビングを
出て行く。





私はお母さんに
タカト君の事情を説明した。





お母さんはちょっと
びっくりしていたけど、





「そう」と言って
微笑んでいた。





やがて2人も戻ってきた。





タカト君とタカトママは、
笑いあっていた。





聞くまでもなく、
今までとは変わらない2人は
幸せそうだった。





ミア「元気にしてたのー?
タカトよー!」





タカト「ちょ、母さんやめろって!」





タカト君はもう
本性を隠すことなく、
自然で、楽しそうだった。





タカト君が幸せそうで
良かった。





私も同居人がタカト君で
ほんとよかったって思えたよ。





タカト「ごめん、ちょっと
マホと抜けていい?」





アスカ・ミア「いいわよー!」





2人とも
ニヤついていた。





うう、絶対私たちの関係に
気づいてる・・・





タカト「俺、お前のおかげで
人生変わった気がする」





マホ「そこまで?」





タカト「あぁ。
だからもうマホのことを
離すつもりはないから」





マホ「・・・私の好きな人は
ずっとタカト君だけだよ」













・゜°・。・:・゜☆・・゜°・。・:・゜°・☆


これから高校生になって、


大学生になって、


また同居して、


幸せな結婚して、


家を買って、


またまた同居して、


私達は幸せな歳を重ねていくの。



・・゜°・。・:・゜°・☆END

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