君とずっと
作者:rina
「おはよーっ!」
「お、今日もカップルで登校!?」
「ヒューヒューっ!」
「もう毎日毎日、
やめてよ!!」
「学年公認だしね~♪」
わたし町田恵里那と
大倉空人は、
学年公認カップル・・・・・・・
と、言われている。
いいような、
悪いような・・・
「ねぇねぇ、今日、
うちのクラスに
転入生が来るらしいよ?」
「本当に?
男かなぁ、
女かなぁ・・・」
「楽しみだねーっ!!」
「空人!
転入生だって!」
「みたいだな」
「誰が来るんだろ?」
とか言っている間に、
先生がやってきた。
「はい、席に着いて。
今日は転入生を紹介します。
入って」
入ってきたのは、
爽やかそうな男子だった。
「石田侑也です。
よろしくお願いします」
「じゃあ・・・
町田さんの隣が空いてるから、
そこに座ってくれる?」
石田くんは
わたしの隣に座り、
爽やかな笑顔で
「よろしくね」と言った。
・・・ほんとに
爽やかだなぁ。
「あのさ、町田さん」
「ん? 何?」
「よかったら休み時間に、
校舎案内してくれないかな?」
「うん、いいよ!
じゃあお昼休みね?
・・・・あ、空人も行く?」
「・・・俺はいい」
「あのね、石田くん。
大倉くんと恵里那ちゃんは
付き合ってるんだよ」
「ちょっ・・・!
何言ってるの!!?」
「どうせ話す時が来るだろうし、
言った方がいいと思って!」
「・・・もう、」
「そっか・・・町田さんと、
大倉くん・・・が」
その時の石田くんの顔が、
曇っていたにも気づかず――・・・
*...・・・*...・・・*
石田くんがやってきて、
1週間が経った。
うちのクラスにも
すっかり馴染んで、
楽しそう。
でも、今わたしの中で、
最悪なことが起こっている。
最近の空人は、
態度が冷たい。
「空人、一緒に帰ろ!」
「悪い、先帰る」
毎日、こんな調子。
なんで毎日、
一緒に帰れないんだろ。
「ねぇ・・・・たかとっ」
「触るなっ!!」
「たかと・・・?」
空人の腕に手を滑らせると、
すぐに離された。
どうして?
わたし、何かした?
「正直言って・・・
俺、恵里那のこと、
本気じゃないし」
「何・・・ソ、レ・・・」
「だから、別れて。
じゃ、」
空人はそう言って、
わたしの隣を
通り過ぎていった。
なんで、
どうして・・・・
いきなり・・・
わたしは、そこで
固まることしかできなかった。
「町田さん・・・」
「石田くん・・・」
名前を呼ばれて
振り返ると、
石田くんがいた。
今の、見られてた・・・?
すると、後ろから、
抱きしめられた。
「大丈夫?」
「え・・・う「無理しなくていいよ」
「石田く「侑也で、いいよ」
「しゅん・・・・や・・・」
「俺じゃ、ダメかな?」
今はとにかく、
誰かに寄り添って
もらいたかった。
侑也が、不適な笑みを
浮かべていたのも
知らずに・・・
*...・・・*...・・・*
それからまた、
数週間が経った。
わたしと空人はあれ以来、
話してなかった。
暗黙の了解、
みたいな・・・
そんな、ある日・・・
「恵里那」
空人に、
話しかけられた。
でも、内容は
大したことじゃなくて・・・
「文化祭、
どこの仕事にする?
ウェイターか?」
・・・そっか、
空人って
文化祭委員だったなあ。
「じゃあ・・・
ウェイターで」
「わかった」
「待って!」
わたしは意を決して、
空人に話しかけた。
「どうして、
わたしのこと・・・
突き放したの?」
「・・・」
「ねぇ、答えて・・・!」
空人は何も言わず、
通り過ぎ・・・ようとした、
けど。
・・・・・・え、?
今、の・・・何?
今、言ったことが本当なら、
なんで・・・
「恵里那」
「侑也・・・・・・」
「お昼だし、屋上で
ご飯食べに行かない?」
「う、うん・・・」
*...・・・*...・・・*
「おいしいね、ご飯」
「そうだね・・・」
わたしは、
あの時の空人の言葉が、
頭から離れなかった。
「恵里那・・・・??」
「・・・え?
何か、言った?」
「何か、考え事?
・・・あ、もしかして・・・
大倉の、こと?」
侑也に、バレてる。
「大倉のことなんて、
忘れよう?
あんな、脅しただけで
身を退くような男」
「・・・何、ソレ」
「あ・・・」
「侑也・・・・・
どういうこと・・・?」
侑也は全てを
話してくれた。
侑也のお父さんが
社長さんらしく、
その会社に空人のお父さんも
勤めているらしい。
だから侑也は
わたしと空人を
別れさせるために、
空人を脅したらしい。
わたしはその場から去り、
空人の元へ走った。
でも、空人の姿はなく、
帰ったみたいだった。
わたしは帰りに、
空人の家に寄った。
「はい・・・
え、恵里那・・・・」
「わたしに告白してくれた時、
絶対わたしのこと離さないって
言ったじゃん!
ならわたしのこと、
手放さないでよ・・・・・」
そう、空人がわたしに
告白してくれた時・・・
「俺、恵里那が好き」
「わっ///// わたしも
空人が好きです」
「恵里那・・・・・」
「ねぇ、」
「ん?」
「わたしのこと、
絶対手放したりしない?」
「・・・ああ!
絶対に、
手放したりしない」
空人はそう、
約束してくれた。
でも・・・
空人はわたしを手放した。
侑也が、
来たことによって。
だけど、
あの話した時、
空人は通り過ぎる時・・・
「大好きだ・・・・」
そう、呟いた。
震えるような、
か細い声で。
それからわたしは、
その言葉が
頭から離れなくて・・・
「・・・ごめん、俺・・・」
「ううんわたし、
ちゃんと知ってるから。
空人は悪くないって
ちゃんと知ってるよ!!」
「恵里那・・・・・」
「だから・・・っ」
空人はわたしを
抱きしめた。
「・・・わかった、
わかったから」
君とずっと・・・
(もう手放したり、
しないから)
「やっぱり、
かなわない・・・か。
・・・恵里那・・・・」
侑也は小さい頃の写真を
取り出した。
そこには、侑也と恵里那が
ピースをして映っている姿が。
「わたし、おおきくなったら、
ゆうやくんのおよめさんになるの」
「ぼく、おおきくなったら、
えりなちゃんとけっこんする」
「たのしみだねー!」
「そうだねー!」
「・・・ばいばい」
次の日、学校には、
侑也の姿はなかった。
*END*
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