イジメられっ子の恋

CAST池未来実

作者：ハーマイオニー

2018.12.08

「やめて・・・」

お願い、
やめてよ。

「何やってんだよ、
幼稚園児かよって」

「!!!」

ありがとう、
ありがとう・・・

あの頃の君は、
どこへ行っちゃったの？

＊　―――　＊　―――　＊

クルミです。

突然ですが、
助けてください！

「やめて・・・っ、
やめてよっ！」

「やだ！
あんた見てると
ムカつくのよ！」

「・・・うぅ」

見ての通り、
私はイジメられています。

クラスメイトのマノカは
リーダー格で。

マノカの言ったことを
みんな聞く。

そして、マノカの
手下のハルカ。

見た目は
超大人しそうなのに。

まさか、
いじめっ子に
なるとはね。

そして、先生の
ヒビキ先生も。

私と目があっても
何もしてくれない。

見て見ぬふり、だ。

「はぁ・・・」

イジメは辛い。

でも、学校を
休みたいとは思わない。

それは・・・

「うーっす」

ジュンヤくん！

今日こそ、
助けてよ！

・・・・・・・・・・

はい、はい、
ダメですかっ。

ジュンヤくんは、
小学校からの同級生。

正義感が強くて、
勇敢で。

イジメられっ子の私を
何度も守ってくれた・・・

のは、数年前の話。

今では・・・

あっ！

目があった！

ドキッドキッドキッ

助けて・・・
くれるの？

念力を送るけど・・・

プイッ

ですよね、
そーですよね。

彼は、教室を
出て行ってしまった。

「おい、
何見てんだよ」

「お前に、合う場所に
連れてってやろうか？」

「便所だな！」

「便所、いこー？」

「・・・やっ」

「なんてー？
聞こえなーい！」

・・・・・・・・・

これじゃ、
学校に来る意味ない！

ジュンヤくん・・・

あの、勇敢な君は
どこへ行ったの？

どうして中学に入って
こうなっちゃったの？

わたしは・・・

君に、恋をしてるんだよ？

・＊・―――・＊・―――・＊・

イジメが、
エスカレートしてきた。

はじめの方は、
何かを隠されてたり、

足を引っ掛けられたり。

十分嫌だけど、
それ以上に
ひどくなってきた・・・

「おい、死ねよ」

「てか、ころしたーい！」

・・・怖い。

冗談だって
わかってるけど。

怖いよ・・・

「おい、
聞いてんのかよ！」

ドカッ。

「あぅ！
・・・うぅ」

け、けられた・・・

痛い、ヒリヒリする。

誰か、助けて・・・！

「おいっ！」

「へっ・・・？」

ジュンヤくんだった。

その、勇敢な声は。

「広瀬、平澤、
おめーら最低だぞ。
イジメなんて
なんのためにすんのか？
そんなことして楽しいのか？
自分たちが高い地位にいたいからって
ひでーぞ」

・・・ジュンヤくん。。。

その、ジュンヤくんの言葉に
クラスメイトたちが
マノカやハルカに
痛い視線を投げかけた。

「そーだぞ」

「おめーら、最低だ」

「おいっ!!!」

ひぇ!?

なんで怒るの、
ジュンヤくん。

「みんなも同罪だぞ、
俺も、先生もだそ。
見て見ぬフリをした。
悪かった、クルミ」

クルミ・・・
初めて、名前で
呼んでくれた。。。

何より、それが
嬉しくて。

すると・・・

「ごめんなさい、
クルミさん」

「悪かった、池」

「池さん、本当にごめんなさい。
先生なのに、怖がってちゃ
ダメなのに」

そっか・・・
先生は新米先生なんだ。

うん、、、

「先生、来年にもし
私のような子がいたら
よろしくね」

うんうん、と
先生は何度も頷いた。

そして、クラスメイトが
みんな笑ってくれた。

みんな・・・

「ううん、
ありがとうみんな。
ありがとう・・・
ジュンヤ!!」

「池・・・」

そう言って、
ニカッと笑ってくれた
ジュンヤくん。

マノカとハルカは
そそくさと教室を
出て行った。

いじめっ子の恋は
まだまだ始まったばかり・・・

＊ｅｎｄ＊