甘酸っぱい果実～今あの人は～

CAST平澤遙

作者：オムライス

2019.02.09

たまに夢に出てくる。
彼が夢に。

私が小学６年生の頃、
彼に恋をした。

頭が良くて、
スポーツが出来て、
人気者で、優しくて、面白い
眼鏡の君に・・・

今君はどうしているのだろうか。

私は平凡な小学生だった。

特別可愛いわけでもなく、
頭がいいわけでもない私にとって
叶わぬ恋と思っていた。

けど、そんな私に君はいつも
優しくしてくれた。

話しかけられる度に
ドキドキしている自分も
いたりした。

私は毎日のように心の中で

「君を好きになったりしていいの？」

と問いかけていた。

ある日、その人の幼なじみから

「なにイチャイチャしてんのよ。
私、そいつと幼なじみだから」

と言われた。

恋って幼なじみには
敵わないんだと思い
私はほとんど諦めていた。

そんな時、
親友が私に勇気をくれた。

「あなたにとって
あいつを思う気持ちは
そんなもんなの!?」

とても胸が苦しくなった。

違う、
私はあいつが好き！

そう実感させてくれた。

私はすぐさま彼を探した。

けど見つからなかった。

どうしても思いを伝えたい。

そう思い彼に
電話をすることを決意した。

「もしもし、
わたしだけど」

「ん？　なに？
どーしたの？」

「あ、あのさ。好き！
ずっと前から好きだった。
良ければ付き合って欲しい」

やっとの思いで言えた！

でも彼からの返事は、

「ごめん」

ただ一言だった。

涙がとまらなかった。
悲しくて悲しくて。

でも諦めきれない
自分がいた。

私はまた明日
思いを伝えることを
強く決意し
深い眠りについた。

＊　―――　＊　―――　＊

そして翌日。

放課後に私はまた
彼に思いを伝えた。

「好き。ずっと前から。
だから付き合って欲しい」

また無理なのだろうか。

不安になりつつも
伝えた思い。

「俺・・・
昨日正直ビックリした。
でもありがとう。
俺で良ければ！」

その恋は、私を成長させてくれた
忘れられない思い出だ。

なぜだか今も夢に出てくる。
なぜだろう。

甘酸っぱい
果実のような恋。

今あの人は
どうしているのだろうか。

＊ｅｎｄ＊