運命の人

CAST北川 花音北川 花音

作者:rina

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.04.12

みんなはさ
“運命”って信じる?





これは、運命が導いた
恋のお話。







+.. +.. +.. +.. +





「花音!
この前言ってた占い本、
ゲットできたよ」





部活を終えた親友のあむが
放課後の教室に
満面の笑みで入ってくる。





その手には
分厚い本があった。





「え、もしかして
あのすごくよく当たるって本?!
すごいじゃん、あむ~」





「従姉妹が持っててさ。
無理言って
借りちゃった♪」





その噂の本とは
世間によくある占い本。





でもそれは
ただの占い本じゃなくて





恋愛に関しては
驚くほど当たるらしい。





それが若い人の間で
今とても話題になっていて





なかなか
手に入らないという。





「さっ! 花音!
さっそく見よーよ」





あむがウキウキした様子で
分厚い本を開いた。





「へえ~誕生日ごとに
書いてあるんだね。
・・・あ! 花音の
運命の人の誕生日があるよ」





運命の人?





あたしは占いを
信じる方ではあるけど
当たった試しがない。





だからこそ
この占い本にかけていた。





「でもさ、あたし達
まだ中学生だよ~?
運命の人の誕生日分かっても、
出会うのはもっと先でしょ・・・」





あーあ
せっかく当たるのに





いつになったら
出会えるんだろう・・・?





でも
既に出会ってたら





それもそれで
ロマンチックだよね。





「えっと・・・
2月12日?」





あむが言葉にした誕生日。





あれ?
聞いたことがある。





「・・・伶音じゃん!」





れ、伶音?!





そういえば
去年の2月12日
みんなで祝ったような・・・





それを知ったあむは
なんだか嬉しそうだ。





「まさか運命の人が
こんな近くにいるなんてね!
良かったじゃん、花音」





そりゃ
出会ってたらいいなとは
思ってたけど





こんなに近くで
しかもそれが伶音で・・・





「え・・・でも今まで
占いが当たった試しがないしさ。
しかも伶音だなんて
本当かな~っ?」





「何言ってんの!
この占いはすっごくよく
当たるんだからっ。
それに伶音で良かったじゃん♪
花音ずっと好きだったもんね~」





あたしは
ずっとずっと前から
伶音に恋をしている。





もし・・・
もし伶音が
運命の人だとしたら
この恋、実るのかな?













+.. +.. +.. +.. +





廊下に出ると
伶音は空人と
話していた。





さっきのせいか
彼の姿を見ると
ドキドキしてしまう。





「れ、伶音っ」





名前を呼ぶと
伶音は、ん? と
こちらを向いた。





「今ね、あむと
よく当たる占いの本見てるんだ。
それで運命の人が
書いてあったんだけど・・・
伶音って運命信じる?」





信じて・・・
くれるかな?





伶音の運命の人は
北川花音だって。





「うーん・・・
信じないかな。
だって運命の人が
好きな人じゃなかったら、
すごくショックじゃん。
運命って誰かが決めるんじゃなくて、
自分で決めるんだと思うな」





「そ・・・そうだよね」





彼は信じなかった。





でも
伶音の言ってることは
もっともだと思う。





だってもしも伶音が
運命の相手じゃなかったら
あたし・・・
どうしてたの?





伶音は
着替えてくると
あたし達の元を
去って行った。





「・・・花音?」





立ち尽くすあたしに
空人が心配そうに
声をかけてくれた。





「ん?
どうしたの、
そんな顔してさっ。
空人らしくないよ~」





「いや・・・あいつさ、
多分運命信じてるよ。
ただそれが自分の
好きな人じゃなかったら・・・って
怖いだけなんじゃない?
だってあのロマンチストな伶音だぜ?
運命信じないことの方が
ビックリだって」





・・・運命を信じてる?





そんなの嬉しくない。





だって伶音には
好きな人がいるんだよ。





「花音・・・!?」





あたしの頬には
涙が零れてて
運命がすごく憎かった。





やっぱり
占いなんて当たらない。





伶音の運命の人は
別にいたんだ。





あたしはあのあと
すぐに学校を出た。





だって
伶音の顔を見たら
つらくなってしまうから。







「・・・桜・・・・綺麗」





外は春だからか
桜がキラキラ輝いていて
失恋したのが嘘のようだった。





その時。





~♪~♪~♪





あたしのスマホが鳴った。





画面を見ると
発信先は”伶音”。





あたしは震える指で
通話ボタンを押した。





声を聞けば
泣いてしまうこと
分かっているのに・・・





「・・・もしもし」





指だけじゃなく
声も震えているのが
分かる。





「花音・・・?!
良かった・・・
出てくれた・・・っ」





なぜか伶音の声は
途切れ途切れで
苦しそうに聞こえた。





「・・・・・・・・・」





言葉が出ない。





何を言ったら
いいんだろう。





好きな人の声なのに
胸がすごく痛いよ・・・





「あのさ・・・っ、俺・・・
花音に言い忘れてたことが
あったんだ・・・っ。
さっき・・・
運命を信じてないとか
言ったろ・・・?
本当は俺、
信じたくて・・・っ。
でも好きな人が・・・花音が
運命の人じゃなかったらって・・・
怖かったんだ・・・ごめんな・・・っ」





「あ・・・たし・・・?」





ねえ・・・
それってどういうこと?





ちゃんと顔を見せて
あたしを見て言って。





じゃなきゃ
分かんないよ・・・





「花音・・・っ、
後ろ・・・見て?」





声がしたかと思えば
それは電話越しではなく
背後から聞こえた。





途切れ途切れで
まるでさっきまでの
伶音みたいに・・・





振り向くと
息を切らした伶音が
そこに立っていた。





あたしが
振り向くのが分かると
優しい笑顔を見せる。





「・・・走ってきちゃった。
花音に今伝えなきゃと思って」





伶音は汗を拭うと
あたしに近づいてきた。





「・・・俺は花音が好き。
もし運命の人じゃなかったとしても、
その気持ちは変わらないし、
そんな運命なんか信じない。
・・・花音が同じ気持ち
だったらの話だけどね」





彼はそう言って笑う。





そんな彼が愛おしくて
あたしは思わず
伶音の手を握った。





「ねえ・・・伶音。
よく当たる占いの本によると、
あたしの運命の人は
2月12日生まれで
泣き虫で不器用で、
それでいて誰よりも
優しい人なんだって」





「え・・・それって」





「あたしね、占いが
当たった試しがないんだけど、
これだけは当たる気がするの。
・・・伶音はこの運命、信じる?」





「・・・信じるよ。
花音が運命の人なら」







*end*

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