12月が終わる頃、私は愛を叫ぶのだろう

CAST北川 花音北川 花音

作者:第2号の金魚

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.12.01

春の桜、夏の海、
秋の紅葉、
そして、色とりどりの
イルミネーション。





季節はあっという間に
移り変わっていく。





それぞれの季節の風景を
私は心ゆくまで
見たことがない。





毎日を病院で
過ごしてるからだ。





病室の窓の外には、
桜の木もなければ
紅葉もない。





たいして四季の変化を
感じさせない
景色を眺めることが
私の日常だった。





小さい頃から
体が弱かった私は、
あまり学校にも行けず、
入退院の繰り返しだった。





しかも小4の時に
ガンが判明した。





手術をして
一度は治ったが、
中1の時再発して
入院になった。





現在、私こと、
北川カノンは
中学3年。





私は今年の6月下旬、
体の様々なところへの
転移が見つかり、
余命半年を宣告された。





半年後は、
クリスマスくらいだ。





私は、クリスマスを
迎えることすら
あやふやである。





もし、クリスマスを
越せたとしても、
12月が終わる頃、
私は静かに死んでいくのだろう。





あぁ、死ぬ前に
1度くらいは
冬のキラキラした
イルミネーションが
見たかったなぁ。





普通の人には
どうってことのない願い。





私はそれを叶えることが
できるかわからない。





そんな現実が
目の前にあると考えると、
私は生まれて来なければ
よかったと
思ってしまう時もあった。













*○・*○・*○・*○・*○・*





暗くなる一方の
私の表情。





最後に笑ったのは
いつだろう。





思い出せないくらい
昔であった。





もう少しで死ぬという
私の体をいたわりもしない
季節の移り変わりは
残酷なほど早く、
12月がやってきた。





カノン「はぁ・・・寒い」





手のひらに
暖かい息を吐き、
すり合わせた。





9時から
検査が始まる。





始まるまで
まだ時間があったから、
上着を羽織り、
病室を出た。





私は検査するのが
あまり好きじゃない。
医者はただ、病気の進行を
知らせるだけだから。





カノン「売店でも行こうかな」





私は売店に寄り、
温かい缶のお茶を買った。





その頃には、
8時40分になっていた。





カノン「早く戻らなきゃ・・・」





私は足を速めた。





ユウヤ「何してんだよタカト。
足折ってんだから
はしゃぐなよ」





タカト「お前こそ走るなよー」





足に包帯を巻いた
松葉杖の男の子と、
バスケットボールを抱えた
男の子2人組が
反対側から走ってきた。





私はぶつからないように
端によった。





2人がじゃれ合いながら
私の横を通った時だった。





ボールを持った男の子は、
私に気づかずぶつかった。





私の手から
お茶が滑り落ちた。





カノン「あっ・・・」





缶のお茶だったから
中身が全て床にこぼれた。





ユウヤ「えっ・・・
あっ・・・ごめん!
ケガない?」





そっちが走ってきて
ぶつかっておいて、
なんの心配よ。





私はその男の子に
向かって
睨みをきかせた。





カノン「ルールを守らない人は
病院に来ないでよ」





男の子は、うっと
言葉を詰まらせた。





看護師「カノンちゃん!」





近くにいた看護師さんが
駆け寄ってきた。





カノン「すいません・・・
手を滑らせてしまって」





看護師「拭いておくから、
病室戻って。
今から検査でしょ?」





カノン「はい・・・
ありがとうございます」





私はもう1度
男の子を睨み、
病室に戻った。





私っていつからこんなに
嫌な奴になったんだろう。





自分が自分を
嫌いになった。













*○・*○・*○・*○・*○・*





検査が終わり、
ベットの上で
リラックスしてると、
ノックが聞こえた。





入ってきた人を見て、
驚いた。





ユウヤ「お邪魔します・・・」





バスケットボール少年だ。





その手には
お茶が握られていた。





ユウヤ「さっきはごめん。
俺のせいでお茶
なくなっちゃったから、
これ」





受け取らないのも
悪いな・・・





カノン「・・・ありがと」





お茶あったかい・・・





私が素直に
受け取るのを見て、
彼は少し笑った。





そしてお客さん用の
椅子に腰を下ろす。





用が済んだのに、
まだここにいるの?
ずうずうしい。





ユウヤ「名前なんていうの」





カノン「北川カノン」





私はひまでもあったから、
追い出さずにいた。





ユウヤ「カノンか、
可愛い名前じゃん」





可愛いなんて、
初めて言われた。





ユウヤ「俺は石田ユウヤ」





聞いてないし。





ユウヤ「俺、全然元気でしょ?
なんで病院にいると思う?」





カノン「知らない・・・」





言った後に
少し後悔した。





私の予想してた通り、
ユウヤは少しの間、
固まっていた。
その後、少し笑い、答えた。





ユウヤ「そりゃそうだよね。
初対面だし。
俺さ、バスケ部なんだけど、
その部員が足折ってさ。
その見舞いで来た」





カノン「そう・・・」





ユウヤ「カノンはなんで
入院してるの」





1番嫌いな質問。





カノン「って・・・」





ユウヤ「え?」





カノン「帰ってっ!」





ユウヤ「カノン・・・?」





カノン「健康な人に
何がわかるの?
言ってもただの無駄だよ。
同情なんていらない。
だから帰って!」





ユウヤは言葉を失った。
でもしばらくして、
真剣なトーンで言った。





ユウヤ「俺にはカノンの苦しみが
何1つ分かんないよ。
だけど、さ」





ユウヤはじっと
私を見つめた。





ユウヤ「カノンのこと、
知りたい。
それで仲良くなりたい」





私はユウヤから
目をそらすことが
出来なかった。





人って、
冷たくあしらえば
離れていくものだって
思ってた。





だけど、
この人だけは違う。





冷たくすればするほど、
私に近づいてくる。





私の考えがおかしいのか、
ユウヤがおかしいのか
分からないが、
私はもう、
彼のペースに
乗せられていた。





カノン「・・・楽しい話、
1つもないけどいいの?」





ユウヤ「全然いいよ」





初対面の人に
自分の病気を話すことなんて
思っても見なかった。





これ以上拒んでも
近づいてくることへの諦めと、
ユウヤの真剣なあの目を見て、
話してもいいと思ってしまった。





私のことをここまで熱心に
聞いてくれる人、
初めて会った。





なんだろう、
不思議な感覚だ。





私は病弱なこと、
小4にがんが判明したこと、
中1に再発し、
中3で余命半年を
言われたことなど、
自分のことを全部話した。





そして最後に、死ぬ前に
イルミネーションが見たかった。
そう言おうと思ったけど、
場がしんみりしそうでやめておいた。





ユウヤは少し考えいたが、
やがて椅子から
ゆっくり体を起こし、
言った。





ユウヤ「カノンの体が
そんなに深刻だと
思わなかった。
辛いのに、
話させてごめん」





と、申し訳なさそうに
していた。





すると突然、
うずうずして、
ユウヤは立ち上がった。





ユウヤ「俺、何かできることない?
やりたいこととか、
行ってみたいとことか。
俺、カノンの力になりたい!」





まるで子供みたいに
目をキラキラさせて、
でも顔つきは真剣そのもの。





ユウヤは、真面目に
私のことを
考えてくれているのだ。





カノン「じゃ、
バスケットボールで
何か技を見せてよ」





本当の願いは言えない。





冬のイルミネーションが
見たいなんて、
君を困らせるだけ。





ユウヤは待っていましたと
言わんばかりの
自信満々の顔で
バスケットボールを出した。





ユウヤ「俺、高速で
バスケットボールを
回せるんだ」





そう言って、
人差し指を立て、
その上にボールをのせ、
くるっと回し始めた。





10秒経っても
ボールはまだ回っている。





カノン「すごい!」





ユウヤは得意そうな顔で
私を見た。
その瞬間、ボールを落とした。





そして、
目を見開いて、
私に近づいて来た。





ユウヤ「今、俺に初めて
笑った顔
見せたよなっ!?」





私は慌てて
顔を抑えた。





カノン「私、笑えたんだ・・・」





ユウヤ「そーか、
笑ったんだな、
嬉しいんだな、
よしゃあっ!
他に何かないかっ!?」





私はふふっと
声を出して笑った。





ユウヤ「えっ?
まだ面白いことしてないけど、
あ、俺の顔になんか
ついてるのかっ!?」





カノン「そうじゃないよ。
ユウヤ見てたら、
元気になれる気がするの」





彼に対する態度も
穏やかになった。





ユウヤは
私の目を見つめて、
優しく言う。





ユウヤ「・・・なぁカノン。
余命なんかより、
もっともっと生きられるよ。
クリスマスだって越えられる。
俺、クリスマスも
カノンと一緒にいたいから」





カノン「余命を
バカにしない方がいいよ。
見た目からは
よく分からないけど、
体の中では、
死ぬための準備が
始まっているはずだよ」





ユウヤ「俺・・・
信じちゃダメなの?
カノンはまだ
生きられるってことを」





カノン「私だって信じたいよ。
まだ生きたい。
石田とクリスマスを越えたい」





私は頬に
涙を伝せた。





ユウヤも
泣きそうな顔だった。





ユウヤは涙をこらえて
ニッと笑う。





ユウヤ「死ぬなんて
考えずに笑えよ。
俺、暗い表情より、
笑った顔のカノンを
見ていたいんだ」





私は泣きながらも
口角を上げた。





ユウヤ「うん。
やっぱその顔の方がいい」





私はその時思った。





もう自分の全てを
ユウヤに言っても
いいんじゃないかって。





カノン「私、1つ
願いがあるの」





ユウヤ「おう!
どんな願いだ?」





カノン「冬のキラキラした
イルミネーションを
見てみたいの。
でも私、こんな体じゃ
外出許可も下りないから・・・」





ユウヤは
困るどころか、
活気づいた。





ユウヤ「よっしゃ!
俺頑張るぞ。
クリスマス、
楽しみにしてろよ!
また会いにくるからな!」





そう叫んで
いさぎよくドアから
飛び出していった。





静まり返る病室が
懐かしく思えた。





カノン「ずうずうしく
入ってきて、
さっそうと帰っていくって
なんなのよ」





私はクスッと笑った。





カノン「ほんと、不思議な人」





私も気づかなかったけど、
心の中で1つの希望が
生まれていた。





生きようとする
強いヒカリ。





私、まだ死ねない。





だけどそんな希望、
一瞬で壊された。





カノン「っ!
・・・痛い・・・っう」





私は震える手で
ナースコールを押す。





駆けつけてきた看護師は、
私の様子を見て、
医者を呼んだ。





医者「もう少しだったら、
痛み取れるからね」





自分の命の短さは
分かっていたはずなのに・・・





私にはもう
時間がない。





カノン「ごめんね、
ユウヤ・・・」





私、クリスマス
越せないかも。





出てくるのは、
涙とユウヤへの謝罪だった。













*○・*○・*○・*○・*○・*





クリスマスが来るまで、
ユウヤは何度も
会いに来てくれた。





その度に面白い話を
してくれた。





私はたくさん
元気をもらい、
笑顔になった。





気づけば12月25日。
クリスマス。





私はまだ生きている。
この日を迎えることが
できたのだ。





ユウヤ「カノン、
俺は出会って
10日経つんだぜ」





カノン「早いね」





ユウヤは
ニヤッと笑う。





ユウヤ「カノンがさ、
イルミネーション
見たいって言ったろ?」





カノン「うん」





ユウヤ「看護師さんに、
今日の夜やること、
許可取ったから。
カノンが叫ぶほど
とびっきりのものを
用意したからな!」





カノン「え、どんなの?」





ユウヤ「それは、内緒。
そのことでなんだけど、
寝る時間って21時だよな?」





私が頷くと、
ユウヤは続ける。





ユウヤ「19時30分から
30分間、この部屋
借りていい?
準備したいから、
その30分間、カノンには
見られたくないから、
どこか別の部屋
行っとってくれん?」





カノン「分かった」





準備って何だろう。





ユウヤ「じゃ、カノンと
会うのは20時か。
その時、また会おう!」





ユウヤはまた
さっそうと
帰って行った。





今日の20時、
面白いことが
起きるんだろう。
心が弾むなぁ。





実は私、ユウヤへの
クリスマスプレゼント
用意したの。





買って来たのは
お母さんだけど、
選んだのは私。





喜んでくれるかな・・・













*○・*○・*○・*○・*○・*





約束の20時
外はもう真っ暗だった。





私は自分の
病室の前に立つ。





カノン「ユウヤ?
入るよ」





ユウヤ「おっ来たか。
いいぜ!」





ゆっくりドアを開けると、
目に飛び込んで来たのは・・・





カノン「綺麗・・・!」





白、赤、青、ピンク、
緑などのカラフルなライトが
色んなところに付けられていて、
キラキラ光っていた。





私のベットの横には、
私の背丈くらいの
クリスマスツリーが
置いてあった。





ユウヤ「どう、驚いた?」





ユウヤは、頭に
サンタの帽子を被っていて、
手に持っていたスマホから
「慌てん坊のサンタクロース」が
流れている。





カノン「すごく、驚いたよ」





こんなにキラキラした
イルミネーションを
見るのは初めてだった。





ユウヤ「ごほんっ。
ユウヤサンタが
カノンの願いを
叶えに来たのじゃ!」





イルミネーションは、
冬の星空にも見えて、
うっとりしていた。





カノン「ありがとう、
ユウヤサンタ!」





ユウヤ「今までで
1番笑ったな!
よし、来い!」





ユウヤと手を繋いで、
イルミネーションの中を
歩いた。





そして、私はベットに、
ユウヤは椅子に座った。





ユウヤ「俺からの
サプライズプレゼントは
まだあるぞっ!
これ、やる!」





ユウヤが差し出したのは、
水色の小さな箱だった。





中には、雪の結晶の
イヤリングが入っていた。





透明感があって、
キラッと光るのが綺麗。





カノン「ありがとう、
すごく気に入った!」





ユウヤ「そうか、
良かった!」





カノン「私からもあるの!」





ユウヤは
「まじでっ!」と
嬉しそうだった。





ユウヤはプレゼントを
素早く開ける。





ユウヤ「タオル・・・!」





カノン「ユウヤ、
バスケやってるでしょ?
使えるかなーって」





ユウヤ「カノンは気がきくなっ!
俺、ちょうどタオル
欲しかったんだよ。
ありがとな!」





私と違ってユウヤは、
これから先、
何年も何十年も生きていく。





私がいなくなったら、
ユウヤはきっと
他の女子に
目を向けるだろう。
私の知らないところで。





そう思うと、
涙がこみ上げて来た。





ユウヤ「カノンっ!?
どっか痛ぇの?
先生呼ぶか?」





私は首を横に振る。





ユウヤのその笑顔を
他の人に
見せないでほしい。





私の大好きな
ユウヤの笑い声。





あぁ・・・
そうなんだ。





カノン「・・・好き」





ユウヤ「えっ・・・」





カノン「ユウヤが好き」





こんなこと伝えても
意味ないのに・・・





私はユウヤの隣に立って、
1年後、2年後と
歩いていけないのに・・・





ユウヤは
恥ずかしそうに笑う。





ユウヤ「俺、カノンに
一目惚れしたんだ」





一目・・・惚れ・・・





ユウヤ「初めて会った時の、
あのクールな表情も、
打ち解けた時の、
花みたいな笑顔も」





ユウヤは人差し指で、
私の涙を拭う。





ユウヤ「今みたいに
泣いている顔を見て、
ドキッとしたのは、
カノンが初めてだった」





窓の外では、
冷たい風が吹いている。





ユウヤ「俺、すぐに
行動するタイプだから、
カノンに拒否られても、
何度もアタックして、
今告白されてから、
もう舞い上がる思いだよ。
これ以上の幸せはない気がする」





カノン「・・・でも私、
もうすぐ死ぬんだよ」





ユウヤ「今、幸せならそれでいい。
カノンと一緒にいられたら
それでいい。
俺の願い叶えてよ」





カノン「そのユウヤの願いは、
私の願いでもあるよ。
私もできるだけ長く、
ユウヤといたい」





ユウヤ「じゃあ、
願いは叶うな。
やったっ」





ユウヤは私に近づき、
赤い顔で言う。





ユウヤ「・・・あの、さ・・・
ギュッてしていい?」





私は手を広げる。





カノン「いいよ」





ユウヤは私を優しく
抱きしめた。





私達の願いは
1つだけ。





この時間が
もっともっと
続きますように。





私達の願いは
夜空の星たちは
叶えてくれますか?













*○・*○・*○・*○・*○・*





朝の7時、
目が覚めた。





カレンダーを
確認する。
12月26日だ。





私はクリスマスを
越すことができたのだ。
これはユウヤのおかげだよ。





私は鍵付きの引き出しから
水色の小さな箱を取り出した。





中にイヤリングが
入っているのを確認する。
夢じゃないんだ。





大好きな君と
両思い。





私は引き出しの中にある、
もう1つのものを
取り出した。





それはユウヤへの手紙。





昨日、ユウヤが帰った後、
書いたもの。





君と出会って、
私は笑うことを
思い出すことができた。





君と出会って、
好きの気持ちを
知ることができた。





君と出会って、
沢山の元気をもらった。





突然、手に力が
入らなくなって、
水色の箱と、
手紙が滑り落ちた。





痛みが広がり、
意識が遠くなる。





カノン「ユウ・・・ヤっ・・・」













*○・*○・*○・*○・*○・*



ユウヤへ

手紙なんて恥ずかしいけど、書かないと、
きっと後悔したから。
私が思ってること、全部書くね。

初めて会った時、私はユウヤのこと
嫌ってたと思う。
無駄に元気で、こっちが疲れるほど。
だけどね、ユウヤの優しさを知って、
いつのまにか大好きになってた。

クリスマスのあのサプライズ、
すごく嬉しかった。
きっと・・・いや絶対、
私の人生の中で1番の思い出になったよ。
ありがとね。

最後に、私のこと好きになってくれて
ありがとう。
大好きだよ。
            カノンより











*○・*○・*○・*○・*○・*





ふと意識が戻った。





カノン「・・・あ・・・」





ユウヤがいる・・・
あ、泣いちゃう・・・





ダメだよ、
泣かないで。





ユウヤ「カノンっ!
頑張れ、
まだ生きられるから、
諦めんな!」





カノン「・・・ユウ・・・ヤ・・・
わ・・・たし」





ユウヤ「大丈夫だ、
聞こえてる」





カノン「すき・・・
だい・・・すき・・・
いちばんすき・・・
あい・・・してる」





ユウヤはボロボロと
涙を流す。





カノン「びょ・・・うしつに・・・
ある・・・てがみ・・・
よ・・・んで」





ユウヤ「読むから、読むよ手紙。
カノンが笑っている隣で
読むから、だから、まだ・・・」





カノン「・・・また・・・
イルミ・・・ネーション
みよ・・・うね」





この願いは
もう叶わない。





私はユウヤに
微笑みかけた。





ユウヤ「おう、
ぜってー見るぞ!」





私は息が吸えなくなり、
眠気が来るように
目を閉じた。





君と出会えて良かったよ。
好きの言葉だけじゃ
収まらないほど
好きだった。





ユウヤ「カノンっ!」





それが、私が聞こえた
最後の言葉になった。





ユウヤ、私に大切なこと
気づかせてくれてありがとう・・・





大好きだよ。







*○・*○・*○・*○・*○・*





12月が終わる頃、
私は愛を叫んでいた。





だって、叫ぶほど
君が大好きだったから。







*END*

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