この想いをチョコに乗せて

CAST野崎 奈菜野崎 奈菜

作者:rina

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.02.14

背中に隠したのは





君へと贈る甘いチョコレート。





この想い、





どうか届きますように。







* ――― * ―――*





あたしの名前は
野崎奈菜。





今日はバレンタインデー。





部活の帰り
学校の外で待ち伏せる。





初めての恋に
初めての手作りチョコ。





恋愛未経験のあたしの手は
ビックリするくらいに
震えている。





(度胸だけは
あるはずなのに・・・)





彼に恋をしてから
生活はガラリと変わった。





毎日がキラキラしてて





学校が楽しみで
仕方がない。





でも関係は友達のままで





こんなに好きなのに





恥ずかしさで
何も出来なかった。





大体、恋愛なんて





あたしの
ガラじゃないから。





気持ちが
バレるのが怖くて





(きっとみんなは
あたしの気持ちを
知らないよね)





ずっとずっと秘めてた。





いつももどかしかった。





(もう秘密の恋なんてツラい)





だからどうしたらいいか
分からないこの気持ちに





今日だけは
正直になりたくて





バレンタインの力を
借りたんだ。





奈「あれ? 奈菜?」





背後から
あたしの名前が聞こえた。





振り向かなくても分かる。





あたしの大好きな声だ。





奈「怜音・・・・!」





彼の名前を呼ぶと
ドキドキが
もっと大きくなる。





(恋ってこんな感じなんだ)





怜「どうしたの?
俺、奈菜がだいぶ前に
帰ってるの見たよ」





そう言って
あたしに笑いかける怜音。





あの緊張はどこへやら。





こちらも自然と
笑顔になってしまう。





怜「奈菜?」





奈「あ・・・そうだった!」





ふと我に返った。





(そうだよ、
チョコ渡す為じゃん)





思い出した途端
再び心音が高まってくる。





怜「どーしたの?」





奈「あの・・・実は・・・」





なんて言えばいいんだろう。





チョコ渡しに来た?





チョコ作ってきたの?





チョコ食べて下さい?





ううん、
どれも違う気がする。





(あたしが本当に伝えたいのは)





奈「あのね、
あたし怜音のこと・・・」





悠「あ、怜音と野崎じゃんか!」





あたしの言葉を
遮るような声。





するとそこには
同じクラスのいつめんの
悠我と花音の姿があった。





花「2人して
ここでなにしてたのー?
なになに?
怪しいなあ~」





2人はそう言って
ニヤニヤする。





ムキにならない所を見ると
あたしを
気にしてないみたいで





少しだけ、
胸が痛くなった。





(分かってる、
分かってたけど)





悠「俺ら、これからマック
行こうと思ってんだけどさ
怜音と野崎も行かない?」





怜「いいね!
俺、お腹すいてたんだ」





花「奈菜は?」





奈「あたしは・・・いいかな。
早く家に帰らなきゃだから」





2人がいたら、
もう伝えられない。





チョコを渡しても
きっと笑われてしまうだけだし。





(バレンタイン、失敗かな)





悠「じゃあまた今度誘うな」





奈「うん、ありがとう」





3人の背中を
見送るあたし。





そのあたしの背中には
チョコレート。





(何やってんだろ)





何1つ伝えられなかった。





せっかくの勇気も
傷に早変わりしてしまった。





バレンタイン、なんて。





いつもと
何ら変わりはない。





チョコを渡すだけで
彼の気持ちが
変わる訳ないもの。





ただ、恋を
自覚させてくれる日。





それがバレンタインデー
なんだよね。





奈「帰ろ・・・」





(ほら、初恋は実らないっていうし、
手作りチョコだって美味しい訳じゃないし、
怜音にはあたしなんかよりも
もっと可愛い子が似合うし・・・)





必死で自分に言い聞かせた。





もう、これ以上
傷つかないように。





奈「・・・・・っ、なんでよ」





両想いにならないことくらい
頭で分かってたんだよ?





それなのにどうして
涙が出てくるの?





怜「奈菜・・・・・!」





あたしの腕を掴む誰かは





涙で霞んだせいで
見えなかった。





でも分からないはず
ないでしょ?





(大好きな人なんだから)





怜「勘違いだったらゴメン。
・・・奈菜がここにいたのは
本当は俺に
用があったんじゃないかと思って」





息をきらせながら
いつものように優しい声で





怜「・・・・聞かせて」





初恋なんて
実らなくてもいい。





ただ、彼に伝えたいだけ。





(君に会えたから、
だからこの気持ちを
知ったんだよ)





奈「大好き、
怜音が大好き」





震える声でそう言って





震える手で
チョコを差し出した。





怖い、幸せ、怖い。





伝えることが出来た幸せと





彼の反応を待つ間の不安と





様々な気持ちが
変に交差する。





奈「あの、いらなかったら・・・」





怜「まじ・・・?
すっげー嬉しい・・・!」





満面の笑みで
チョコを受け取る彼。





奈「本当に・・・?」





怜「当たり前じゃん!
好きな子にチョコ貰えて、
告白までされて、
俺・・・夢見てんのかな?」





そう言ってクスリと笑う。





怜「奈菜は恋の話とか
しないからさ、
ずっと俺の片想いだと
思ってたんだ」





奈「しないっていうか・・・
あたし、初恋だから・・・
どうしたらいいか分かんなくて」





成功しても失敗しても





あたしには何もかも
初めてだから





ドキドキせずには
いられない。





怜「良かった、
俺が初恋の相手で」





奈「え?」





怜音はあたしの
手をとって





ギュッと優しく握った。





怜「手を握るのも、
初めての彼氏も、
初めてのデートも、
俺でいい?」





奈「・・・・怜音じゃなくちゃイヤ」





君に始まった恋だから





君色に染めてしまいたい。





(何回ドキドキしたらいいんだろう)





これは後に分かる。





最初で最後の恋愛の始まり―――







*END*

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