君との秘密
作者:もな
いつだって君の声で
この部屋は踊っていた。
私はココちゃんこと
阿部ココハ。
超有名なにこおんという
グループで
アイドルをしているの!
だけど、私には
秘密があるの、、、
それはすごく
歌が下手なこと!!
センターを務めることも
多々あるけど、
あれ実は口パクで、、、
声もすごく加工して
もらっているんです!
「明日から
合唱祭の練習
始めるぞー」
先生の声が
響き渡った。
えっ、、、合唱祭?
そんなのあったっけ、、、?
いつも仕事の関係で
授業に出れない日が多いから、
私は合唱祭があるなんて
何も知らなかった。
すると突然みんなが
駆け寄ってきて、
「このクラスは
ココちゃんがいるから
大丈夫だね!!」
と口々に騒ぎ出した。
えっ! 嘘でしょ!
「そうだな!
じゃあ合唱リーダーは
阿部に任せるか!」
なんで!!!? 先生まで!!
そう戸惑っているうちに
合唱リーダーは
私に決まってしまった。
放課後クラスに
残ってやるか、、、
そう思った私は
みんなが帰ったところを
見計らい、
教室のドアを閉めた。
そして、私は
歌い出した。
やっぱりなかなか
いい声が出ない。
何回も練習したが
どんどん喉が疲れるだけで
一向に歌は
上手くならないし、、、
「一旦休憩しよう」
そうポツリと呟きながら
私は椅子に座った。
すると次の瞬間、
がらっと教室のドアが
開いた。
「あの超人気グループの
ココちゃんなのに
音痴なんだー」
誰っ?! と振り向くと
そこには同じクラスの
丸田レオンがいた。
「もっと腹の底から
声ださねーと
綺麗な声なんて
一生でねーぞ」
「お願いだから
このことは
誰にも言わないで!!」
そうレオンに
飛びついた。
「、、、でも明日から
練習なんだぞ。
お前そんなんで
大丈夫なのかよ」
私は小さく首を
横に振った。
「ハァー
ちょっと聞いとけ」
そう言うと
レオンは歌い出した。
綺麗で
透き通っている声、、、
私はその声に
聞き惚れていた。
「、、、レオンは
歌上手いんだね! 、、、
お願いだから
教えてください!」
「しょーがねーな。
その代わり給食で
プリンでたら
俺に譲れよ」
そういい、
レオンはまず姿勢から
指導してくれた。
「猫背では綺麗な声は
出せねーから
もっとしっかり立て、
そして腹に力を入れろ」
そうして2人での
レッスンは始まった。
「ここはこうしろ!
ここはこうしろって!」
時々すごく怒りながらも
レオンは丁寧に1つ1つ
教えてくれた。
そして夕方、、、
「まだ上手くなったんじゃね?
まだ人に聞かせられる声に
なっているし」
イヤミは入っていたし、
少しイラッとしたけど、
自分でもいい感じに
声が出るようになったのは
実感出来た。
「レオンありがとう!」
そう言うと、完全下校の
チャイムがなったので
私達は急いで学校を出た。
*。・ 次の日の練習の時 ・。*
「じゃあまずは
阿部に見本を
見せてもらうか!」
と先生が言った。
すると、レオンが耳元で
「昨日のように歌えば
問題ないから
落ち着けよ」
と呟いてくれた。
その時何故か
胸が高なった。
多分これは
緊張しているからだ、、、
落ち着こう、、、
そして音楽は流れ始め、
私は歌い出した。
するとその瞬間
クラスがざわめいた。
「えっ、、、
ココちゃんって
こんな声だっけ。
なんか下手じゃない?」
「まさかいつものは
嘘の歌声?」
みんながそう話し始めた時、
少しずつ鼻で笑う声が
聞こえてきた。
もう嫌だ、
歌いたくない。
そう思い始めた時に、
誰かが歌声を被せてきた。
レオンだ。
あの透き通る様な声で
歌い始めたのだ。
その瞬間から
何故か安心して歌える!
そして曲は終わった。
「阿部だって
緊張くらいするし、
そんなんで騒ぐとか
マジで最低だな」
そういうとレオンは
静かに着席した。
すると、
「そうだよね」
「ごめん! ココちゃん!」
とみんなが謝り出した。
するとレオンが
近づいてきて、
「お前まだまだだから
合唱祭まで
毎日練習するぞ」
と耳打ちをしてきた。
何故かすごく
嬉しかった。
・*・―――・*・―――・*・
その日から仕事は一旦休み、
毎日残って練習をした。
それから1ヶ月後、
私たちのクラスは
金賞をとることが出来た!
でもそれは嬉しいと思う反面、
何故か悲しかった。
もう2人きりで
練習できないんだ、、、
そう思って
帰ろうとすると、
誰かに手を引っ張られた。
レオンだ、、、
「お前、今日で
練習終わりだと
思ってんの?」
「えっ! だって
もう合唱祭終わったよね、、、?」
「お前ともっと
一緒にいたいんだよ!
なにかダメなことでもあるか?!」
レオンは照れながら
そう言った。
「ないよ。
だって私、レオンのこと
好きだもん!」
「、、、今日一緒に帰れるか?」
「うん!!」
そして私たちは
一緒に帰った。
ずっと練習してきた
あの歌を
口ずさみながら。
*end*
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