あたしだけの隠れナイト

CAST宮本 和奏宮本 和奏

作者:rina

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.02.27

「ちょっと!
やめてって言ってるじゃん!」





「うっせーな、
宮本のくせに!」





今日も教室中に鳴り響く
あたし宮本和奏とアイツの声。





(ほんっっとに
男子って腹立つ)





すぐちょっかい出すし





全然やめないし





アホなの?
ほんとにさぁ!!





特にコイツ、
懸樋大晴空。





1年の頃から
同じクラスの腐れ縁で、





何かとあれば
あたしのことを
敵視してくる。





それは最悪なことに
6年間続く有り様で。





(さすがに6年にもなれば、
他の男子だって
落ち着いてくるっていうのに・・・)





なんでアイツだけ
こんなに
頭がお子ちゃまなの!!





意味わかんないんだけど!!





しかも他の子には
普通に優しいし??





あたしばっかり
ちょっかいかけられて・・・・





(ムカつく
ほんっっとに!!)













*・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ *・。+ ・。





「そういえばさぁ、
最近和奏
話しかけられたりしない?
ほら・・・中学生に」





帰り道、
親友のあむが
心配そうに聞いてきた。





和「・・・言われてみれば・・・・
少し前までは・・・
なんでだろ?
あの時は断っても
しつこかったのになあ、
気が変わったのかなあ?」





あ「いや!
それは絶対ない!
あたし聞いたんだけど、
今も中学で和奏が美少女だ!
って話題になってるらしいよ?
知らない?」





あむの言う通り、
なぜだかわからないけど
そんな噂が飛び交い





帰り道ではよく中学生男子が
話しかけてくるようになった。





中にはLINEを聞いたり
いきなり「好き」って
告白してくる人もいて





もちろん、
全く知らない人
ばっかりだから





正直怖くて
仕方がなかった。





そもそもあたしなんかが
噂になるなら





隣にいるあむは
めちゃくちゃ美少女だから
大変なことに
なるだろうな・・・・





なーんて思った。





和「まぁ、今が平和ならよくない?
もうあんな思いするのは
ごめんだよ(笑)
てか、あむも可愛いんだから
気をつけなよ?」





あ「もー!
嬉しいこと言うじゃん!
照れる!」





なーんて
呑気に会話してると





人通りの少ない裏道から
騒がしい音が聞こえた。





あ「・・・・なに?」





和「なんか
ケンカっぽくない?」





あ「え、怖いって」





慌てて裏道へと急ぐと、





そこには激しく
ケンカをする大晴空と
中学生男子がいた。





和「ちょっと、
何してんの!
危ないよ!」





これは止めなきゃ、と思い
近づいて行った時だった。





大「和奏はこっちくんな!!」





殴り殴られながら
大晴空は必死でそう叫ぶ。





「な・・・なんでよ!」





(和奏は・・・って、
こんな時もなんで
あたしばっかり。
あむもいるのに)





大「俺が一体何の為に・・・」





和「・・・・え?」





あ「和奏・・・行こ」





あたしは
あむに手をひかれ
裏道を離れて行った。





歩きながらあむは話す。





あ「あたしね、
少し噂聞いてた。
最近大晴空が顔に傷作って
学校に来るって」





(言われてみれば
傷あったかも・・・)





でもアイツのことだから
それは派手に遊んだんだと
思い込んでたっけな。





あ「・・・・それで
同じ時期くらいに、
和奏に話しかけてくる中学生が
いなくなったじゃん?
それは大晴空が和奏に手出す前に
やっつけてるからだって・・・
他の子達が噂してた。
でもまさかそれが
本当だったなんて・・・」





泣きそうに話すあむ。





(なんで・・・なんで?)





・・・なんで
そんな大事なことを
あたしは知らなかったんだろ。





・・・なんで
大晴空はあたしを
助けたんだろ。





どうしてかわからないけど
すごく泣けてきた。





あ「・・・・和奏?
大丈夫?」





和「ごめん、あむ
あたし大晴空の所行ってくる。
だから・・・先に帰ってて?」





あ「わかった。
気をつけてね?」





和「うん!」





そう交わすと
あむの手を離し、
来た道を全速力で戻る。





しばらくすると
傷だらけの
彼の姿があった。





和「大晴空・・・!」





大「・・・・・くんなって
言っただろ」





いつもと変わらない
無愛想な表情。





なのに、
今日だけは
傷が痛々しい。





和「勝負には
勝ったの・・・?」





大「勝った・・・
てか、俺が負ける訳ないし。
今までのケンカも
全部勝ってきたし」





和「なら・・・
あたしが安心して帰れたのは、
大晴空のおかげだったんだね。
こんな傷まで作って・・・・」





(ドキドキ)





あたしはハンカチを
取り出して
傷から出た血を拭く。





(1つ、2つ、3つ・・・)





あたしの為に出来た傷に





なんで気づかなかったんだろう・・・・・





本当ならこんな傷
作らなくても
良かったはずなのにな・・・・





胸が締め付けられるように
痛くなる。





大「はぁ!?
ちっげーよ!
な、なんで俺が
お前なんかの為に
喧嘩しなきゃいけねんだよ?」





和「最近早く帰ってたのだって、
あたしが話しかけられる前に
大晴空がやっつける為なんでしょ・・・?」





大「それ・・・は・・・っ////」





少し照れたような大晴空





こんなにも近い大晴空の顔





いつもはすっごく
憎たらしいのに





今は1つも
そんなの思わなくて





切なさと
何なのかわからないけど
ドキドキが混ざって
変な感じ。





和「ごめん・・・ごめんね・・・
でもありがとう」





気づいたらあたしは
泣いていた。





こんなことしたら
ブスだなって
また言われるから





大晴空の前では
絶対泣かないって
決めてたのに・・・・





こんなの、さぁ





泣かずには
いられないよ・・・・・





大晴空のバカ!!





大「ほら・・・
ハンカチ貸して」





すると大晴空は





あたしのハンカチを裏返して





そっとあたしの涙を
拭ってくれた。





大「お前が・・・
和奏が泣かないように、
喧嘩してきたって言うのに・・・」





(まただ、
名前で呼んだ)





(ドキ・・・・・)





心臓が
ドキドキうるさい。





あたしは疑問に
思ってることを聞く。





和「・・・・・なんで守ってくれたの?
いっつも・・・、あたしのこと
からかってくるじゃん?」





すると大晴空は





大「い、今更優しくなんか出来るか!
ととにかく・・・お前は
俺の傍にいればいいんだよ!///」





(なによ・・・それ)





すると彼はニヤッと笑って
あたしの頭を
ポンポンと叩いて





大「まあ・・・この際だし、
守ってやるよ。
和奏のこといじめていいのは
俺だけだからな!」





和「は・・・はあ~っ!?////」





やっと見つけた





あたしだけの隠れナイト。





それは





生意気で意地悪だけど





誰よりもかっこよくて優しい







どうやらこの先は





そんなナイトとあたしの





突然の恋が始まりそうです――







*end*

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