アネゴの恋はむずかしい
作者:リヴ
あたし、宮本ワカナ。
二コラ学園の1年生。
曲がったことが
大嫌いな性格で、
女子のみんなから
「アネゴ」って
呼ばれてるんだ。
セナ「ワーカナ!
大、大、大ニュースでーす!!」
ワカナ「何~?」
この子は親友のセナ。
可愛くて、おもしろい、
自慢の友達。
セナ「B組のマノカちゃん、
丸田くんと
付き合うんだってー!」
中学生になって、こういう
「恋愛」の話が増えた。
誰が好きだとか、
付き合っているんだとか。
誰を好きになろうと、
付き合おうと、
その人たちの
勝手なのにな、と思う。
こういう話に
あまり興味はない。
それなのに、女子は
恋愛相談を恋愛経験ナシの
あたしに持ちかけてくる。
頼りにされてるのかも
しれないけれど、
正直なんと答えれば
いいのか困る。
ワカナ「ふ~ん」
セナ「やっぱり興味なし?」
ワカナ「おめでとーって
思うだけでしょ。普通」
セナ「ええー。
もうちょっと
キュンキュンしましょうよ、
アネゴ」
ワカナ「はいはい。
てかセナ、
宿題終わってるのー?
数学のワーク、
今日提出だよ?」
セナ「えっ、ヤバ!
忘れてたー!」
どたばたとセナが
自分の席に戻っていく。
それと入れ替わるように、
アイツが話しかけてきた。
オオゾラ「なあ、アネゴ」
ワカナ「数学のワークなら
見せないから」
オオゾラ「ちげーよ。
俺は組橋とはちがって、
ちゃんとやってきましたから」
ワカナ「たまたまでしょ」
オオゾラ「つめてーな」
あたしには
わからない。
なんで懸樋は
あたしにわざわざ
からんでくるのか。
なんで懸樋は
まったくかっこよく
見えないのか。
なんで懸樋は
あたし以外の女子から
人気があるのか。
どんな数式よりも
難しい謎だ。
オオゾラ「てかアネゴは
好きな人いないわけ?」
ワカナ「いないし、
いたとしても
あんたには教えない」
オオゾラ「なんでだよー。
ま、アネゴの場合、
好きな人から女子として
見られなさそうだけどな。
女子と言うより
お母さんだって思われるだろ」
ワカナ「うるさいな!
懸樋には
関係ないでしょ!」
余計なことしか
言わないんだから!
これだから男子は嫌い。
見た目も性格も
イケメンな男の子って
マンガの世界オンリーの話だ。
オオゾラ「好きな人できたら
教えろよー」
こいつには死んでも
教えてやらないと
心に誓った。
・。・。・。・。・。・。・。・。
カノン「ねえ、アネゴ。
相談にのってくれないかな」
コハル「じゃ、カノンの次、
予約!」
ワカナ「りょーかい。
なんかあったの?」
あたしの昼休みは
いつもこんな感じ。
みんなはこれを
「アネゴ相談事務所」
って呼んでいる。
カウンセラーよりも聞き
上手と言われる。
そのことを誇りに思って、
相談をされれば
親身になって応じるし、
その内容を誰かに
話したりもしない。
カノン「ずっと、
丸田くんのこと、
好きだったの。
けど、告白する前に
ふられちゃった・・・」
カノンちゃんが
ぽろぽろ涙を流しながら、
話してくれた。
小学生のことから
ずっと好きだったらしい。
でも、丸田くんに
彼女ができてしまった。
ショックでつらくて、
誰かに話したかったのだろう。
カノン「叶う恋じゃないって
わかってるのに、
まだあきらめられなくて・・・
わたし、どうしたらいいの?」
ワカナ「もう思い切って、
告白しちゃえば?
言わないまま後悔するのは、
1番いやじゃないかな?」
カノン「でも・・・こわいよ」
ワカナ「こんな言い方は
よくないかもだけど、
もう丸田くんには彼女がいる。
どちみちフラれるのなら、
告白しちゃったほうが
想いを断ち切れると思うんだ」
カノン「・・・そうだよね。
思いきりフラれてしまったほうが、
新しい一歩を踏み出せるよね。
ありがとう、ワカナ」
ワカナ「ううん。
あたしは何もしてないよ。
最終的にそう決断したのは、
カノンちゃんだから」
カノンちゃんは
はずかしそうに
微笑んだ。
もうカノンちゃん
大丈夫だな、と思った。
カノンちゃんは
一歩前進した。
ありがと、と言い残して、
走り去っていくカノンちゃんの
後ろ姿を見て、
恋する乙女は強いな、
と思った。
あたしも恋したいな、
なーんて
バカみたいなことを
感じたとき、
頭の中にふっと
懸樋の顔が
浮かび上がった。
あわててそれを
消し去る。
なんで、アイツが
出てくるの?
あいつだけは
論外なんだから。
・。・。・。・。・。・。・。・。
次の日のことだった。
その事件が起きたのは。
ワカナ「誰!
こんなことしたやつ!」
朝、教室に入った瞬間
目に飛び込んできた、
黒板に書かれた
巨大な相合傘。
その下に書かれた名前は、
「懸樋オオゾラ」と
「宮本ワカナ」。
そのまわりには、
「ラブラブ」とか
「お似合い」とか
そんな文字があふれている。
ちょうど登校してきた懸樋も
目を丸くして驚いている。
オオゾラ「ちょっと、
悪質すぎるいたずらだぞ!」
ワカナ「ふざけないで。
許せない!」
どうせクラスのお調子者の
男子たちのしわざだ。
最近よく話しているからと
いうだけで、
簡単に決めつけるなんて、
低能にもほどがある。
乱暴に黒板の文字を
消していると、
セナも飛んできて、
私も手伝うよ、
と言ってくれた。
懸樋も赤い顔をして
一緒に黒板の文字を
消しはじめた。
オオゾラ「なんか、
ごめんな」
気まずそうに
懸樋が言った。
ワカナ「別に
懸樋のせいじゃないし」
そう言ってみたものの、
やっぱり気まずい。
オオゾラ「あの、
その、お、おれ、」
ワカナ「よーしっ、
やっと消し終わった。
移動教室だから
急がないと!」
わざとらしくそうさけんで、
あたしは教室を飛び出した。
一秒でも早く
懸樋の前から
姿を消したかった。
あんないたずら、
もうこりごりだ。
だけど、
「お似合い」という言葉に
喜んでしまったあたしが
いたのが許せなかった。
・。・。・。・。・。・。・。・。
あの事件が起きてから、
懸樋とは話していない。
何度か懸樋が
話しかけてくれたけど、
やっぱり気まずくて、
あたしから逃げてしまう。
授業が終わって、
校門を出ると、
そこに懸樋の姿が
あった。
目が合った瞬間、
あたしは駆けだした。
オオゾラ「ちょっと、
待てよ! 宮本!」
全速力で
走っているけれど、
女子と男子とでは
勝負にならない。
あっという間に
追いつかれてしまう。
腕を掴まれて、
もう逃げるにも
逃げようがない状態だ。
ワカナ「・・・はなして」
オオゾラ「逃げるなよ。
てか、なんで逃げるんだよ」
ワカナ「別に逃げてないっ」
オオゾラ「俺のこと避けてるだろ。
ここ最近、ずっと」
懸樋の今までに
見たことのない
真剣な瞳と声。
あたしは
唇を噛んだ。
ワカナ「うん。
避けてるよ?
だからそっちも
空気読んでさ、
話しかけないで
もらえますか?」
できる限り、つめたく
言ったつもりだった。
懸樋があたしのことを
最低なやつだって
思ってくれるように。
オオゾラ「そんなのいやだ!
なあ、そんなにいやだった?
俺と付き合ってるって思われるのが、
そんなにもいやだったのか?
俺はむしろ、そう思われて
うれしかった。
お似合いだって言われて、
うれしくて授業も
耳に入らなかった」
え・・・・・・・・・
本気、なの?
それが、
懸樋の本音なの?
ワカナ「・・・それ、本心?」
オオゾラ「俺はウソが苦手なんだ。
だからこれは、俺の正直な、
ありのままの気持ち」
ワカナ「そんなこと
言われても困るよ。
だってあたし、まだ
恋がどんなものか知らないし、
懸樋のことが好きだって
気がついたのも、最近のことで
まだ認められなくて。
っていうか、
認めないようにしてたのに!」
オオゾラ「なんで
認めないんだよ!」
ワカナ「だって、あんただけは
ありえなかったんだもん!
全然かっこよくないくせに、
無駄にモテてるし、
子供っぽいし、
好みのタイプじゃなかったし・・・」
オオゾラ「すっげえ。
全く褒めてくれてない」
ワカナ「なのに、
好きになっちゃったの!
もう、どうしてくれんのよ!」
なんだか、
すごく腹が立って、
懸樋の頬を力任せに
つねってやった。
オオゾラ「いってえっ。
おい、暴力反対!」
オオゾラが
顔をしかめて、
さけんだ。
ワカナ「うるさい!
あたしを惚れさせた
罰なんだから、
おとなしく
つねられてなさい!」
オオゾラ「あーあ。
とんでもない女子のこと
好きになっちゃったなー」
ワカナ「おあいにくさま。
あたしだってそうなんだから、
つり合いがとれて
いいんじゃない?」
2人で顔を見合わせて、
ぷっと吹き出した。
やっぱり好きだな、
と改めて思った。
オオゾラ「じゃ、俺の
恐ろしい彼女になってよ」
ワカナ「まかせて。
そのかわり、あたしに
忠実な彼氏になってね」
オオゾラ「しかたねーな。
惚れた弱みってことで、
その条件をのんでやるよ」
2人で大声を上げて
笑った。
多分、あたしたちは
いっぱいケンカする。
いっぱい傷つけあって、
いっぱい後悔するだろう。
それでもいい。
だってあたしたちは、
それ以上に、
お互いを想い合って、
大切にして、
たくさん笑うから。
みんなが言うように、
あたしたちはお似合いの
カップルなのだろう。
オオゾラの彼女は
あたしで、
あたしの彼氏は
オオゾラで、
それ以外の組み合わせは
ありえない。
オオゾラ「なあ、ワカナ」
ワカナ「何? オオゾラ」
オオゾラ「名前
呼びたかっただけ」
ワカナ「何それ」
オオゾラ「手、つなぐ?」
ワカナ「ん。いいよ」
こいつ以外は
ありえない。
そう心から思えた。
だって、懸樋オオゾラは
あたしの大好きな
彼氏なのだから。
*END*
宮本 和奏

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