恋愛映画のヒロインは嫌だ

CAST林 芽亜里林 芽亜里

作者:みー!

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2020.07.31






『好きだ』





爽やかに髪をなびかせて
蓮が言う。





私は少し顔を赤らめて





『私も』





ふわっとピンク色の
桜が舞い散る。







・・・扇風機で。





「カットーーー!
OK!
撮影お疲れさまでした!」





わーっ! と歓声が
撮影スタジオ全体に響く。





私は「はあっ」と
安堵のため息をつく。





それを見て
可笑しそうに笑う蓮。





「何に疲れたんだよ。
めあり。
お前、恋愛映画のプロだろ?」





・・・・・。





そう。私は世間では
「恋愛映画のプロ」
と呼ばれている。





有名な恋愛映画
『君の知らない恋物語』や
『好きな子には告らせる』は
もちろん





恋愛ドラマにも
引っ張りだこ。





だから
その名前がついた。





恋愛映画に呼ばれる理由は
おそらくこの見た目。





腰まである
ウェーブのかかった
茶色に近い髪の毛。





くるんと巻かれた
この前髪。





そしてやたらと
ガーリーな顔。





ついでに話し方も
ガーリーらしい。





でも本当は
アクション映画に出たい。





「めあり、
お疲れさま!」





蓮の爽やかな笑顔に
胸がキュンと跳ねた。





でも私は女優。





いつも通りの
笑みを浮かべて
蓮に手を差し伸べた。





「蓮もお疲れさま」





蓮がぎゅっと
手を握り返してくれる。





心臓がちぎれそうなくらい
ドキドキしてる。





でも、女優の自分と
本当の自分が喧嘩してて
何も言えなかった。





そんな私を見て
蓮は苦笑いした。





「また会おうなめあり。
あ、ななちゃんも
おつかれー」





この映画では
私のライバル役の
ななちゃん。





おそらくななちゃんも
蓮が好き。





現実世界でも
ライバルなんだ。





なんて言いたいけど
女優の恋愛は
そんな簡単じゃない。





「ななちゃんまたね」





「またね」





笑顔で蓮に挨拶した後
ななちゃんは
蓮のうしろ姿を見て
目をうるませた。





私は慌てて
見るのをやめて
監督に挨拶してから
楽屋に戻った。





だから。
恋愛映画は嫌なんだ。





どうしても相手のことを
好きになってしまう。





映画の中に
入り込んじゃう。





2次元と現実が
ゴチャゴチャになる。





そして
何も伝えられないまま
失恋するんだ。





だから、
アクション映画が
やりたい。





バーン!!





楽屋のドアが
すごい勢いであいた。





私は思わず
腰を浮かせて





でもドアを
開けた人物を見て
腰を下ろした。





「まなかぁ。
びっくりした。
どうしたの?」





私のマネージャーの
まな。





女子の私から見ても
カッコイイんだ。





でもそんなまなが
こんなに急ぐって、、、
何事?





まなは顔をキラキラ
輝かせて一言。





「アクション映画の
ヒロイン決まったよ」











「やったぁぁぁ!」





私は思いっきり
まなに抱きついた。





私の思いを知っていたまなも
泣きそうになってる。





よし。
頑張ろう。













・*・―――・*・―――・*・





でもアクション映画は
リハーサルからキツかった。





蹴ったり
殴ったりするから
精神的にもやられるし
肉体的にも限界がくる。





でも
やっと掴んだ
アクション映画のヒロイン。





絶対にやり遂げる。





「アクション映画のプロ」
って呼ばれたい。





もう絶対
失恋なんてしたくない。













・*・―――・*・―――・*・





なんて思った矢先
映画の内容が
少し変わった。





「やっぱり
めありちゃんといえば
恋愛だからねぇ。
少し恋愛要素も
いれることにしたよ」





監督が
ほっほっほと笑う。





私は笑えなかった。





「え!?」





顔面蒼白になった
私をみて
監督がまた笑った。





「安心しなされ。
恋愛メインじゃないから
軽くだよ。
手をつないだりもしないし」





よ、よかったぁ。





今までの努力が
水の泡になるところ
だったよ。





「ってことで
今日から新しく
『コウショウ君』が
加わることになった。
多分もうそろそろ
来ると思うんだが」





「お待たせしました!
前の仕事が長引いて。
初めまして
戸部コウショウです。
よろしくお願いします」





と、戸部コウショウ君だ!





今をときめく俳優で
年齢は私と同じ。





有名な映画には
絶対にコウショウ君がでてる。





ジャンルを選ばない
カメレオン俳優で
私の尊敬してる人。





スタッフさんも
顔見知りなようで
すぐにコウショウくんに
駆け寄っていった。





スタッフさんと
打ち解けて話す
コウショウくんを
私は憧れの目で見ていた。





共演できるなんて
夢みたい。





恋愛どころじゃないよ。





ジーッと見ている
私の視線に
気づいたのか





コウショウ君が
私の方に歩いてきた。





そして、





「初めまして
戸部コウショウです。
よろしくね」





私の手をぎゅっと
握った。





でもドキドキじゃなくて
感動した。





「こ、こちらこそ!
お願いします!」













・*・―――・*・―――・*・





「おはよう
めありちゃん!」





「じゃあね、
めありちゃん」





「頑張ろうね
めありちゃん」





いつもコウショウくんは
私に声をかけてくれる。





そのうちに





「めあり頑張ろうね!」





「めありおつかれ!」





お互い
呼び捨てになった。





もう憧れというよりは
友達になった感じ。





そのことに
私はまた喜びを
感じていた。





ずっとコウショウと
撮影していたいな。





そう思えるくらい
コウショウとは
打ち解けた。





そして、好きになって
しまった。





本当に
そのままの
役に入ってない
コウショウを
好きになってしまった。





でもついに





「ラストカット
スタート!!」





私は息が切れる中
コウショウのことを
見つめて





「ミッション完了」





私の言葉に
コウショウはちょっと
おちゃらけた感じで
手を銃をうつような
ポーズに変えた。





「君の心も
奪っちゃった」





キュン。





いやいや自分
これ役だよ?





私は慌てて演技に戻って
コウショウを殴ろうとした。





でもコウショウは
すぐかわして





「なーんてね」





とカメラに向かって
ウインクした。





女優モードの
私が言った。





完璧だ。





本当の自分が言った。





そのウインク
私だけに
してほしかったのに。





「カット! OK!
お疲れさまでしたー!!」





いつも通り
わーっ!
と歓声が上がる。





「めあり、
お疲れさま!」





コウショウが
にっこり笑う。





またあの流れに
なるのかな。





たぶんいつもの
100倍傷つくだろう。





好きな人の
うしろ姿を見て。







「後で楽屋来てよ」





「え?」





いつもと違う流れに
私は少し戸惑った。





そんな私の顔を見て
コウショウが
悪戯に笑う。





「その顔は
いいってことね。
待ってるから」





そう言い残して
スタッフに挨拶しながら
楽屋に戻っていく蓮。





私はその後ろ姿を
ただ見つめていた。













・*・―――・*・―――・*・





コンコン。





「はーい」





「めありです。
開けてもいい?」





「いいよ。
待ってた」





胸が跳ねる。





「待ってた」
って言葉だけで。
その瞬間決めた。





コウショウに
告白するって。





今まで告白できなかったのは
女優とかじゃなくて
本当の好きじゃ
なかったからだ。





ガチャ





ドアを開けると
コウショウ君が
嬉しそうに笑った。





「めあり、
待ってたよ。
めあり
好きだよ」





「え?
なにが?」





まさか恋愛で
私のことすきとか
ないに決まってる。





コウショウが
困ったように笑った。





「めありって
恋愛映画のプロとか
言われてんのに
鈍感?」





え?





急すぎる展開に
ついていけず
固まってる私に





どんどん
近づいてくる
コウショウ。





え?
なに? なに?





何が起こるのか
わからなくて
ぎゅっと目をつぶった
私の耳元に
コウショウがささやいた。





「好きだよ。
めありのこと。
本気で。
これからもずっと
好きだよ」





「え」





自然と
涙が出た。





コウショウが慌てて
机からハンカチを
持ってこようとしたけど





机の角にぶつけて
転んだ。





その瞬間
笑いも込み上げてきて
泣きながら
笑ってしまった。





「このシーンが
撮られたら
めっちゃ恥ずいな」





「いいよ。別に」





「いいの? というか
撮られたらやばいよね」





私は心の底から
笑った。





「別にいいよ。
そうなったら
2人で言おうよ
この好きは本物です。って」







*end*

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