マンガじゃなくて・・・

CAST村田結

作者：ゆっきん

2025.11.10

やっほー！
私、村田ゆう！

今わたしは、
ある恋愛マンガに
はまってます！

いとうゆま先生の
『恋はすぐそこに・・・』
って言うんだ。

ざっくりいうと、
主人公は近くに恋なんか
ないと思ってるの。

でもある人に、
どんどん惚れていくって話！

ゆう「私もこんな恋
してみたいなー」

？「お前、また
言ってるのかよ。笑」

こいつは、今井ハルト。
私の幼なじみ。

昔から絵が上手なの。

ゆう「別にいいでしょー！」

ハルト「マンガみたいな恋なんて
お前には一生訪れねーよ」

ゆう「そんなの
わかんないでしょ！」

朝からムカつく！

・＊。・　教室　・。＊・

？「おっはよー！」

ゆう「おはよ！　ここり！」

この子は、髙野ここり！
私の心友なんだ。

ここり「今日もそのマンガ
読んできたの？」

ゆう「うん！」

ここり「ほんと好きだね」

ゆう「まぁねー！」

ハルト「・・・・・」

・＊。・　放課後　・。＊・

ゆう「きゃー！　いいな～。
私もこんなことされたいな」

ハルト「お前さぁ、
いい加減、現実見ろよ」

ゆう「朝からなんなの？
ほんとハルトって、わかってないね。
もう知らない！」

ハルト「・・・・・」

・＊。・　家　・。＊・

ゆう母「ゆうー。
ハルトくん家に
これ届けてきてー！」

ゆう「なんで私が？」

ゆう母「お願いね」

ゆう「はーい」

気が重い・・・

ピンポーン。

だれも出てこない。

あれ？
鍵があいてる。

入っちゃお。

ゆう「おじゃましまーす」

そうだ！

ハルトの部屋に隠れて
ビックリさせちゃお！

確か２階の
はじっこのへや！

ガチャ！

あれ？
マンガ家の部屋みたいに
なってる。

しかも、『恋はすぐそこに・・・』
の原稿？

なんでハルトの
部屋にあるの・・・？

ガチャン！
はっ！

後ろを見ると、ハルトが
ペットボトルを落として
目をまんまるくして私を見ていた。

ハルト「なんで、ゆうがいるの・・・？」

ゆう「お母さんに
これ届けてって言われて・・・」

ハルト「そーなんだ」

ゆう「ここ、ハルトの部屋だよね？」

ハルト「・・・・・」

なんで答えないの？

ゆう「じゃあ、帰るね」

・＊。・　ゆうの部屋　・。＊・

なんで？　なんで？
なんで？

あれはハルトの部屋
じゃないの？

・＊。・　次の日　・。＊・

ハルト「おはよ」

ゆう「おはよー」

ハルト「今日の放課後、俺ん家きて」

ゆう「わかった」

・＊。・　教室　・。＊・

ここり「ゆう？
今日、ハルトと何かあった？」

ゆう「えっ？　特にないよ？」

ここり「ふーん」

ゆう「てか、ここり
いいことあったでしょ？」

ここり「よくわかったね。
実は・・・」

ゆう「ん？」

ここり「昨日、ナツくんに
告白されたの！」

ゆう「ナツくんって
あのナツくん!?」

ここり「うん！」

ナツくんとは
久野ナツくんのこと。

私にとって
マンガに出てきそうな
理想なひとだった。

ゆう「返事は？」

ここり「もちろん
おっけーしたよ！」

ゆう「おめでと！」

ここり「ありがと！」

なんか軽く
失恋した気分。

・＊。・　放課後　・。＊・

ハルト「じゃあ、
家で待ってるから」

ゆう「はーい」

ハルトん家行くの、憂鬱・・・

はぁ・・・

ピンポーン。

ゆう「おじゃましまーす」

ハルト「よっ」

そういうとハルトは
私を昨日のあの部屋まで
つれてった。

ハルト「あのさ、
この部屋のことなんだけど」

ゆう「うん」

ハルト「いとうゆまの部屋なんだ」

な。

ゆう「なんでハルトん家にあるの？」

ハルト「それは・・・
いとうゆまが、俺だから」

ゆう「冗談はやめて！」

ハルト「冗談じゃねーよ」

ゆう「は？」

ハルト「いとうゆまの
『い』は今井はるとの『い』、
『と』は今井はるとの『と』、
『う』は村田ゆうの『う』、
『ゆ』は村田ゆうの『ゆ』、
『ま』は今井はると『ま』」

ゆう「なに・・・いってんの？」

ハルト「俺は、ゆうが好きだ。
でもマンガっていう形でしか
好きって伝えられなかった。
黙っててごめんな」

ゆう「なによ。それ」

ハルト「ごめん」

ゆう「ちょー
ロマンチックじゃん！」

ハルト「え？」

ゆう「ハルト、
なかなかやるね！」

ハルト「は？」

ゆう「私も好き。
なんだかマンガみたい。
こんなに近くに恋って
あったんだね」

ハルト「うん」

ゆう「つきあお？」

ハルト「あぁ！」

私たちはマンガのおかげで
マンガのような恋ができました！

ハルト「これからは
マンガみたいな恋に
恋をするんじゃなくて、
俺にずっと恋してろ！」

ゆう「うん！」

＊ｅｎｄ＊