ヤンキーのやさしい吹奏楽

CAST北野風花

作者：ハッピー

2025.11.04

私、フウカ！
このニコラ中学校の吹奏楽部に憧れて
中学受験して入学した１年なの！

入部届けー
出しに行くー。

・・・えーーーーーー！

そこにいたのは、
いかつい人!?

？「お前も入んの？」

フウカ「入りますけど、なにか？」

？「チッ」

奥の先輩、ふるえてんじゃん!!!

フウカ「あの、やる気がないなら、
やっても意味ないと思います！」

？「あ？　お前ずいぶん強気だな、
俺、イルマ。覚えとけ」

そー言ってヤンキーイルマは
入部届けを机に叩きつけて
音楽室を出ていった。

？「ありがとうね。
さっきは・・・
フウカちゃん？　も
入部してくれるの？」

この方は、ヒナノ先輩。
たくさんの賞をもらっていて、
みんなが憧れる部長さん！

フウカ「ぜひ！」

ヤンキーには巻きこまれたけど、
先輩には気にいってもらって・・・
うれしい。

イルマ「お前どれぐらい
経験あるんだ？」

ないし！
イルマには関係ないでしょ！

フウカ「ないけど」

イルマ「フーん」

ムカつくーーーーー！
何ふーんって。

私は、トランペット担当。

なかなかできないので、
今日は、居残り。

ちなみに、イルマはサボり。

ヤンキーだな。

フウカ「あー！
もうできないよぉ」

できなくて
涙が出そうだった。

イルマ「もっとしっかり
軸を持って、勢いよく！」

イルマはあたしの背後から手を回し、
後から抱きつくようにして
トランペットをにぎった。

ドキッ

イルマ、近くで見ると
イケメンでやさしそう。

目が真剣・・・

イルマ「きいてんの？」

フウカ「きいてるよ」

次の日もイルマは
部活に来なかった。

昨日から、イルマのこと
ずっと考えてた。

真剣な目。
トランペットにくわしい。

吹部に入ったのも
理由あんのかな？

ガラガラ

みんな怖い目をしてる。

振り返ると、イルマがいた。

ヒナノ「み、み、みんなそろったし、
合同練習しよ！
イ、イ、イルマくんは、
だいじょうぶ？」

ヒナノ先輩めっちゃ
怖がってる。

イルマ「早く始めろよ」

フウカ「ったく、きっついことば」

イルマ「あ？
なんかいったか？」

フウカ「なんでもないよ」

ヒナノ先輩・・・後で、
ガツンとイルマを成敗します！

なんで合同練習始めたのか、
もうそろそろコンクールがあって・・・
部員数の関係で
１年も出ることになって・・・

練習あるのみ。
がんばらなきゃ！

出だしは、順調。

トランペットのソロパート
――キレイな音色が響く。

イルマがなれた手つきで
トランペットを吹く。

先輩たち、
めっちゃ驚いてた。

演奏が終わった。
先輩、イルマに拍手してる。

イルマは、私にニコッと笑って
ピースをした。

かわいいとこあんじゃん。

フウカ「ね、イルマ」

イルマ「あ？」

いかつい・・・

フウカ「なんであんな上手いの？」

イルマ「ずっと吹奏楽やってたんだ。
だけど、コンクールで失敗して
賞を逃したんだ。
それから心がみだれて、
ヤンキーになって、自分を強くした。
でも、俺には吹奏楽しかないって気づいて
やり直そうと思ったんだ」

フウカ「だから、
あんな真剣だったんだね」

イルマ「おう」

イルマのやさしい声が
聞こえた気がした。

＊・＊・・・＊・・・＊・＊

いよいよ、コンクール。

イルマに後悔させないためにも
がんばらなきゃ。

出だしは、順調。
トランペットのソロパートだ。

イルマとのソロパートは
上手くいき、会場中に
やさしい音色を響かせた。

ヤッターーーーーーー
成功!!!!!!!!!

ライバル中も
すごい演奏をしたあと、
結果発表。

・・・怖い。

「優秀賞は・・・ニコラ中！」

ヤッターーーーーーー
うれしい!!

そしてヒナノ先輩の元へ
マイクが。

ヒナノ先輩は泣きながら、

「私は、なにもしてません！
がんばったイルマくんと
フウカちゃんにわたします！」

イルマはマイクを受け取り、

「コンクールで優秀賞をいただくことができて、
本当にうれしいです。
僕は、悪でした。いわゆるヤンキーです。
でも、それを強気で返し、受けとめてくれた人のおかげで
ここまでこれたと思います。
その人は、努力家で人思い・・・先輩思いです。
そして、僕は、その人が好きです」

イルマの好きな人？

私は突然、胸が苦しくなった。

その時気づいたの。
イルマが好きだって。

でも、もう遅い。

涙が、頬を、つたう。

イルマ「僕は、フ、フウカが好きです！」

えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?

イルマからの突然の
公開告白！

夢みたい！

涙がボロボロながれる。

私に渡されたマイク。

震えた手でにぎりながら、
私は答えた。

フウカ「あ、私も、
イルマのこと好きです！
ヨロシクお願いしまぁぁぁす!!」

一見ヤンキーに見えるイルマは、
大好きな吹奏楽部の
やさしい私の彼氏です！

＊ＥＮＤ＊