叶わぬ恋でもあきらめないで
作者:まるぱん
僕は、ユアン。
突然だけど、
僕には気になる人がいる。
その子の名前は、リリカ。
さらっさらのストレートな髪の毛、
パッチリした目、桜色の唇、
そして、リリカは
性格がめちゃくちゃ良くて、
ものすごくやさしい!
もう、全てが愛おしい!
と、リリカ愛は
一旦ここまでにして、
僕がリリカを好きになった理由を
言おうかな。
僕はみんなから
「西」って呼ばれている。
呼ぶ側は特になんとも
思っていないんだろうけど、
苗字の呼び捨てをされると
地味に傷つく。
こう思っているのは
僕だけなのかな?
そんなとき、リリカだけは
僕のことを「ユアン」って
呼んでくれた。
そんなとっても些細なこと
だったんだけど、
僕にとっては
すごくうれしかった。
それが、僕がリリカを
好きになったきっかけ。
しかし、僕は長い間
想いを伝えられずにいる。
苗字の呼び捨てされて
傷ついているような人が
好きな女子に告白できるなんて思う?
そんな感じで考えこみながら
歩いていたら、
僕は、衝撃的な場面を
目撃してしまった。
リリカ「好きです!
つきあってください!」
それは、僕が1番
見たくないことだった。
リリカが、僕の幼なじみであり、
大親友のナツに告白していた・・・
廊下の角から見ていた僕は、
膝から崩れ落ちた。
薄々、叶わぬ恋かもしれない
とは思っていた。
でも、こんな形で
終わってしまうなんて、
思ってもいなかった。
そうだ、
ナツは、どう返事するんだろう・・・?
ナツ「ごめん。
僕、好きな人がいるんだ。
だから、リリカとはつきあえない」
リリカには悪いけど、
リリカに彼氏ができなかったことに
喜んでいる自分がいる。
本当にリリカのことが好きなら、
リリカにはリリカの望むことをしてほしい、
と願うのが正解なはずなのに・・・
リリカ「そっか・・・
部活前なのに
時間とっちゃってごめんね。
ナツの恋、応援してるね!」
リリカは、泣き笑いで
そう、答えていた。
僕なら、リリカを笑顔にできる
自信があるのに。
絶対にリリカを
泣かせたりなんてしないのに。
そのとき、踵を返して、
リリカがこっちへ歩いてきた。
やばい、告白現場を
盗み見していたことがバレる!
どうしよう!
だけど、隠れられる場所が
どこにもない!
走っても間に合わない!
仕方なく、存在感を消して
廊下の隅にしゃがみこんでいた。
リリカ「ユアン・・・?」
やっぱり、バレたー!
背中に冷や汗が流れる。
リリカ「どうしてここにいるの?」
しゃべろうとしても、
声を発することができない。
ただ、口がパクパクと
動いているだけ。
リリカ「まさか、告白現場なんて
見てないよね?」
僕の視線が下にさがる。
リリカ「見たんだね?」
僕はさらに縮こまる。
リリカ「こ、このことは、
誰にも言わないでほしいの!
お願い!」
ユアン「・・・」
リリカ「・・・?(焦)」
ユアン「リリカ!」
リリカ「ひゃい!」
あはは、
まともに「はい」って言えてない
リリカもかわいい!
ユアン「好きだ!」
リリカ「!?」
ユアン「僕は絶対にリリカを
泣かせたりなんてしない!
ずっと笑顔でいられるようにする!
だから、僕とつきあってください!」
我ながら、好きな子が
振られた直後に告白するなんて、
卑怯だと思う。
ああ、多分、
振られるだろうな・・・
そう考えていたけど、
リリカ「・・・本当に?」
予想に反して、リリカは、
少し潤んだ瞳で僕を見ていた。
リリカ「・・・よろしくお願いしますっ!」
叶わぬ恋だと思っていたけど、
僕の恋は実りました!
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。