傘の下に起きた小さな奇跡

CAST梨里花

作者：ひなりんご

2025.04.30

ミク「最悪ー」

リリカ「雨だねー（苦笑い）」

こんにちは・・・
私は、中学３年のリリカ！

そんで、隣にいるのは、
１年後輩のミク。

いま、学校に登校中・・・
月曜日の朝から雨って
ついてない・・・

リリカ「この１週間
嫌なこと起きそー」

その通り！
さっそく最悪なことが。

ミク「うぁ、風が強い！　キャー！」

リリカ「うそでしょ！　傘、折れたーー」

ミク「ドンマイです。先輩！」

朝は、とりあえず
ミクの傘に入れてもらい
なんとか学校に着くことができた。

ミク「リリカ先輩、すみません！
私、今日一緒に帰れません！
用事があって・・・」

リリカ「いいよー！
イケメン彼氏でしょ？」

ミク「そうなんです！
久しぶりに彼から誘ってくれて・・・
すみません！」

そう！　ミクには、
ちょーぜつイケメンの彼氏がいるの！

うらやましいくらいにラブラブで・・・

って、場合じゃない！
帰るときまで雨が続いたら・・・

まぁ、やむでしょ！

それからのこと、
やっぱりついてなくて・・・

今日提出だった課題を忘れるし。
何もない廊下でつまずいてこけるし。
もう、ついてないの連発・・・

ただひとつ、ついてたのが
学校で１番人気のイルマと
話せたこと！

幼なじみなのに、中学になって
１度も話したことがない！

小学校のときは、仲が良くて大好きで、
中学になったら
つきあいたいなぁーって思ってたけど、
無理だね・・・話しかけれない！

周りの女子の目がこわい。

そんなとき、
私がつまずいてこけて・・・

リリカ「痛っ！」

みんな「あはは！
ウケるんだけど！」

イルマ「だいじょうぶか？」

リリカ「イ、イルマ！」

リョウスケ「イルマ、行くぞ！」

イルマ「お、おう！
すぐ行くから先行っとけ！」

リョウスケ「わかった！」

リリカ「ありがとー、
なんか久しぶりだねー！」

イルマ「まぁーな、小６以来か・・・
リリカも大きくなったな！」

イルマは、そう言って
私の頭をなでて行ってしまった！

それだけだったけど、うれしかった！

いままでのことを忘れるくらい
うれしかった！

・・・っていうのも、このときだけ。

この後も、ついてないの連発でした。

帰り際、イルマのことを好きな女子が、

ヒナノ「ちょっと！　リリカ！
イルマくんが話しかけてくれただけで
ウキウキしてんじゃないよ！
ウケるんだけど。
教えてあげよっか？
イルマくんは、リリカのこと
なんとも思ってないから」

私は、確かにと思って
涙が出てきた。

しかも、雨は、やんでいなかった！

もう仕方ない、
濡れながら帰ろうと思って
走りかけたそのとき、

リリカ「きゃっ！」

誰かが私の腕を引っぱって、
抱きついた！

リリカ「えっ？」

イルマ「もー泣くな！」

リリカ「イルマ？」

イルマ「傘ねーんだろう？」

リリカ「う、うん・・・」

イルマ「一緒に帰ろ！
入れてやるから！」

リリカ「うそ・・・（涙）」

イルマ「何泣いてんだよ！　バーカ」

リリカ「うれしすぎて、
中学になってから話しかけづらくて・・・
今日転んだとき、声かけてくれて、
うれしくて浮かれて・・・
ヒナノにイルマは、私のこと
なんとも思ってないよって言われて
確かになって思わされて・・・
ついてないなって」

イルマ「なんとも思ってないわけねーだろ？」

リリカ「え？」

イルマ「俺だって中学になって
話したいって思ってたけど・・・
女子が何するかわかんねーだろ？
リリカを傷つけるんじゃねーかなって思って
話しかけれなかった！　ごめん！」

リリカ「ううん！
イルマがそんな風に思ってくれてたなんて
思ってもなかった！　ありがとー」

イルマ「でも、まぁーリリカがなんかされたら
俺は、そいつを許さねーし、リリカを守る！
だから俺と・・・つきあってください！」

リリカ「もちろん！」

私とイルマは、１つの傘の下で
手をつないで帰った！

雨が降り続いたからこそ、
何もない廊下でつまずいたからこそ、
起きた奇跡だと思う。

もちろんあれから私たちは
つきあうことになって、
毎日話すことができてます。

＊ｅｎｄ＊