久野くんの普通な日々

CAST久野 渚夏

作者：Feel your breeze

2025.04.13

俺の名前は、久野ナツ。
自分で言うのは恥ずかしいが、
俺は自称、世界一運がない。





あるとき。





「ふぅ～間に合った～」





ギリギリのタイミングで
電車に乗れたと思ったら・・・





なんと行き先を間違えて、
反対方向の電車に
乗ってしまった！





またあるとき。





ドラマの最終回、
クライマックスまであと少し・・・
このＣＭが明けたら
感動のフィナーレ・・・





「ナツ～お風呂わいたよ～」





タイミング悪く、
母の声がして、
しぶしぶあきらめることに・・・





またまたあるとき。





「ヤバい！　遅刻する！」





寝坊して遅刻したと思い、
学校まで猛ダッシュで
行ったら・・・





門が閉まってた！





実は、この日は日曜日で
学校休みだった・・・





俺のツイてないエピソードを
話したら、
ざっとこんな感じかな。





今日は、
転校生が来るらしい。





「よぉ～ナツ！
転校生、どんな子だろうね？」





いま話しかけてきたのは、
俺の親友のハルトだ。





「さぁ～？
あんま興味ないんだけど」





というのは
軽いジョークで、
本音はめちゃめちゃ
気になるんだよね。





「おーい。みんな
席に着けよー」





先生が全員を
着席させたところで





「転校生を紹介するぞ」





先生にうながされ、
１人の生徒が入ってきた。





「はじめまして。国本ヒマリです。
今日からよろしくお願いします！」





自己紹介が終わると、
クラス中がざわついた。





「めっちゃかわいいじゃん！」





「脚長すぎ」





「スタイル良すぎじゃない!?」





クラスの男子は、
分かりやすいように
テンションが上がっていた。





「ナツ！　見たか!?」





昼休み、ハルトが
ニヤニヤしながら
話しかけてきた。





「ヒマリちゃん、
めっちゃかわいいじゃん！」





確かにかわいいし、
スタイルも良い。





校内を歩けば、
誰もが振り向くほどの
美人だと思う。





「お前には
もったいないかもな（笑）」





「うるせぇ（笑）
大きなお世話だよ（笑）」













・＊。・　その日の放課後　・。＊・





今日は特に予定がないので、
ハルトと２人で
カラオケに行くことに。





「ナツとカラオケなんて
久しぶりだよな～」





「確かに。
さてと、なに歌おうかな～？」





「あれ歌って！
ほら、最近流行りの、
僕星の新曲」





「ああ～、あれね～」





僕星とは、
“僕が見たかった星空”
というグループの略。





最近音楽番組やバラエティーに
引っ張りだこのグループである。





「よし。
この曲歌おうっと」





予約リストを
入れたそのとき。





（ガチャ）





「えっ!?
あっ・・・すみません・・・
部屋間違えました！」





誰かが部屋を間違えて
ドアを開けてしまった。





「あれ・・・？」





よく見ると、その子は、
今日の転校生だった。





「あれ～!?
ヒマリちゃんじゃん！」





俺の横で、わかりやすく
テンションが上がるハルト。





「何してんの～？」





「あっ・・・えっと・・・
友達とカラオケ来てたんです」





「マジで～!?
だったらさ～、
俺たちも混ぜてくれない!?」





「おい、ハルト！
無茶言うなって・・・」





そうは言ったが、
ヒマリがオッケーしてくれたので、
俺たちはヒマリの友達たちと
みんなで一緒の部屋で
カラオケを楽しむことに。





驚いたのは、ヒマリも
僕星のファンだったとのこと。





他のメンバーが
歌っている合間に、
推しのメンバーとか
好きな曲の話で盛りあがった。













・＊。・　数日後　・。＊・





あのカラオケ以降、
俺たちは意気投合して、
連絡先を交換しあった。





「おーい！　ナツー！」





放課後、鼻歌まじりに
ハルトが話しかけてきた。





「俺さ～、彼女できたんだよね～」





「マジで!?」





聞くところによると、





あの日カラオケに来ていた
ヒマリの友達で、
同じクラスの松田ミユウと
ハルトが意気投合して、
いつのまにか
カレカノになったとのこと。





「お前は、どうなんだよ」





「何が？」





「だーかーらー！
ヒマリちゃんといま
どんな感じなんだって!?」





「そりゃあ、あのとき
共通の話題で盛りあがって、
連絡先も交換して、
何回か電話して・・・」





「ったく・・・
お前ホント鈍いよな～」





「どういう意味？」





「そこまで来てるなら、
もう告白しろって！」





そうなのか・・・？





俺は、知らず知らずのうちに、
ヒマリのことを
好きになってたのか・・・













・＊。・　放課後　・。＊・





「ヒマリ、
今日一緒に帰れる？」





「うん。いいよ」





そう言って俺は、
ヒマリと一緒に
校門を出た。





女子と一緒に帰るなんて、
初めてで
なんか緊張する・・・





「あのさ」





気づくと俺は、
無意識に声を出していた。





「この間は、ありがとう」





好きって言いたかったのに、
一言目で言えなかった・・・





「こちらこそ。楽しかったよ」





「俺さ、あれからずっと
思ってたんだけど・・・」





そういうと、
俺は１つ深呼吸をした。





「俺、ヒマリのことが
好きだ！」





「えっ・・・？」





「正直、転校してきたときは、
こんなに仲よくなれるなんて
思わなかった。
でもあのとき、
あの偶然の出会いがあって、
気づいたときには・・・
その・・・」





「ナツくん！」





「ヒマリ？」





「私もナツくんのことが好き！」





「ホント？」





「私たち、恋人にならない？」





「もちろん！」





いままで最悪だと思ってた
俺の人生。





あのとき、君と出会ったからこそ、
俺の最悪な日々は
普通な日々に・・・





いや、君といると
最高な日々になった！











～終わり～

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

久野 渚夏

• 2025.04.13久野くんの普通な日々作者:Feel your breeze
• 2024.05.09ヒーロー失格作者:ひまひまルンルン
• 2023.01.05恋の桜作者:ありちゃん
• 2022.11.21ネックレスと指輪の箱作者:ハニオレ
• 2022.11.02幼馴染が可愛すぎる件について作者:たぴおかみるくてぃー
• 2022.10.13俺の大好きな彼女の話作者:たぴおかみるくてぃー