切ない三角関係
作者:***
〈リョウSide〉
「おはよう!」と
君にあいさつをすれば、
「おはよう!」
と、元気な返事がかえってくる。
─────
「クルミ、おはよう」
ん?
この声はまさか・・・
「あ、ダイジおはよう」
やっぱり。
こいつは、俺のライバル。
2人でクルミを
奪いあってるってわけ。
休み時間、
君が1人でいるから、
話しかけようとした。
でも
ダイジが
じゃまするかのように
クルミに話しかける。
だから、俺のことなんて
そっちのけ。
ほんといい迷惑だ。
「クルミ! ダイジとばっか
話してないで、俺と話そうよ」
「えっ、あっ、うん!」
ダイジの視線が痛え。
「クルミはさ、
ダイジみたいのが
タイプなの?」
「んー。
そういうわけじゃないけど、
ダイジかっこいいよね」
・・・ちっ
ガタッ
「じゃあさ、俺は?
俺のこと、どう思う?」
机から立ちあがり、
君の手首をつかんで
聞いてみる。
「・・・突然どうしたの?
んー。リョウのことは、
さわやかで、
やさしいと思ってる」
それって、ほめ言葉?
まあ、
そう受けとっておくよ。
「じゃあ、直接対決する?」(ニヤ)
またダイジが
じゃましてくる。
「だって俺ら、クルミのこと
好きなんだよ」
「ちょっ!
なに勝手にいってんだよ!」
「ちがうの?」
ダイジとクルミが見てるなか、
俺だけはあせってる。
「・・・ちがう」
「え?」
「ちがうよ」
そう言いのこして、
教室をあとにした。
〈ダイジSide〉
なんだよ、
リョウのやつ。
せっかくチャンスを
作ってやったのに。
「ねえ、2人とも
どうしちゃったの?」
・・・君の言葉で、
はっと我にかえる。
「ねえ。俺は、
クルミのことが好きだよ。
・・・クルミは俺のこと、好き?」
――――――・・・
「・・・ごめん。
ダイジのことは好きだよ。
でも、多分ダイジと私の好きは
絶対的にちがう」
「私の好きな人は、ずっと前から
いつだってリョウだった。
リョウでしかなかった」
・・・そうか
最初から俺らは、
ライバルなんかじゃなかった。
最初から、
負けてたんだ。
「・・・わかった。あーもう!
なにそんな湿っぽい顔してるんだよ。
さっさとリョウのとこ行けば!
どうせ両想いだろっ」
「ありがと! ダイジ」
そう言いのこした君は、
しずかにこの場を立ちさった。
あーあ
何あと押ししちゃってんだよ。
いつから、こんなに
恋愛に不器用に
なったんだろう?
〈リョウSide〉
やっぱり、
屋上からみえる景色って
最高だ。
この景色をみると、
いやなことも少しは
忘れられる。
ガチャッ
「リョウ!」
・・・え
「リョウ、話がある」
今さらなんだよ。
ダイジとつきあうことに
なったとか?
「・・・なに」
「私、リョウが好き!
これ本当だよ?
リョウでいいんじゃない。
リョウがいいの!」
そう言いながら、
俺のところへ
歩みよってくる。
「ねえ、つきあって」
「・・・はっ」
「なに笑ってんのー?」
「あまりにもかわいくて。
・・・こちらこそ、
よろしくお願いします」
なんつー
かっこ悪いセリフだよ。
でも。ありがとう、
ダイジ。
〈ダイジSide〉
・・・よかったな、クルミ。
でも、クルミが
つらくなったときは、
いつだって
奪いにいってやるから。
────俺は、だれにも
聞こえないように
泣きじゃくった。
クルミ。
・・・幸せになってね。
*END*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。