幸せのはじまり

CAST星乃あんな

作者：マンナン

2024.11.22

私たちは、両思い。

でも、付き合ってはいない。

早くこの関係、
終わらないかな。

でも、崩れるくらいなら
このままで・・・

私、星乃アンナ。

私には、
好きな人がいる。

久野ナツ。

ナツはよく、こう言う。

「お前の好きな人って誰？」って。

そんなの
言えるわけない。

だって、
あなただから・・・

でも、このままは
嫌だと思ったから、
あなたに想いを伝えたの。

「私の好きな人は、
隣の席によくなる人」

でも、あなたはこう言う。

「それじゃ、わかんねーよ」

だから私は、

「明日、教える」

＊・＊・・・＊・・・＊・＊

私は毎日、あなたに
ヒントを与え続けた。

ようやく、
あなたは気づいた。

私は尋ねた。

「ナツは、誰が好きなの？」

するとあなたは、

「お前って言ったら
どーする？」

って、聞いてきた。

「そんなのうれしいに
決まってんじゃん」

私がそう言うと、
あなたは顔を赤くし、

「じゃ、そういうことで
いいんじゃない」

と、言った。

えっ・・・
それじゃわかんないよ。

両思いってことで
いいんだよね？　

あなたは。

『付き合おう』とは

ひと言も
いってくれなかった。

うれしいような、
悲しいような。

ただの両思いという関係。

でも、付き合ってって言って
関係が壊れるくらいなら、
このままでいい。

あなたと一緒だって
思いたいだけ。

こんな私と、あなたは
付き合ってくれますか？　

帰り道も違う。

グループも違う。

あなたは他の女の子とでも
フツーに話す。

あなたはもう、
私を好きにはなってくれないの？　

私は、泣いた。

あなたに
気づかれないように。

でも、あなたには
お見通しだったみたい。

「最近暗いけど、
なんかあったか？」

言えるわけない。

『付き合おうって
言ってくれないから』

なんて。

でも、もう
耐えられない。

「ナツのせいだよ」

「はぁ？
意味わかんねーし」

「分かってよ」

「やだね」

「もー、知らない」

「待て。教えろよ」

「いや」

「教えろ」

「いや」

「教えろ」

「いや」

「教えろ」

こんなこと
ずっと繰り返してるから、
笑えてきちゃって、

思いっきり笑った。

「久しぶりに
お前が笑うの見た」

って言って
あなたも笑うから。

もっと好きになるじゃん。

「で、さっき泣いてた理由、
教えろよ」

「しつこいな？」

「教えてくれたら、
願い事１個、叶えてやるよ」

「じゃあ、言う。
ずっとナツが好きなの。
たとえナツがもう私のこと
好きじゃなくても、
付き合おうって言ってくれるの
ずっと待ってた。
でも言ってくれそうにもないから、
悲しくなった。それだけ」

言えた。

でも関係は崩れる。

さよなら、ナツ。

さよなら、初恋。

私はあなたから
離れた。

追いかけてよ・・・

そう、心のどっかで
思ってる自分が
バカだと思う。

「待て」

この声が聞こえた瞬間
私はうれしかった。

それだけで、うれしかった。

願い事、叶えてくれたね。

「何？」

「付き合おう」

「えっ？」

「やっと言えた」

いまいち、状況が
理解できない。

「アンナ、答えは？」

「もちろん、
お願いします！」

私はあなたに
飛びついた。

これが私の幸せの
はじまりだ。

happy end＊