これは、記憶をなくした少女の甘酸っぱい恋物語・・・
作者://er
「ねえ、」
「なに?」
「俺たちおとなになったら、
けっこんしようよ」
「けっこん・・・てなあに?」
「ずっっと一緒にいるってこと。
一緒に暮らせるんだよ!」
「へぇ、すごーい!
けっこんしたーい!」
「約束だよ?」
「うんっっ!
やくそくー!」
───────────────
─────────
─────
「・・・っ! ・・・なっ!
るな!!」
ルナ「ふわぁっ! 何?!」
タイヨウ「何じゃないよ、
そこ、俺の席なんだけど」
ルナ「あ、ごめんっ!!
席替えしたの忘れてたw」
タイヨウ「はぁ、もう気をつけろよ。
って、なんか生温かいんですけど・・・」
ルナ「しっ、しかたないじゃん!
自分の机かと思って
へばりついちゃったんだから!」
タイヨウ「・・・わーかったから
早く席つけよ、遅刻になるぞ?」
ルナ「あっ! うん」
私、白尾ルナ。中2。
彼氏いない歴・・・14年。
悲しいです。
あぁ、私の初恋って
いつだったんだろ?
そんなのも
覚えてないよ・・・
あ、私ね、小さい時に
事故にあって・・・
小学1年生より前の
記憶がないの。
記憶があったら
どんな人生だったかな・・・
なんてね。
あ、さっきしゃべってたのは
タイヨウね。
気づいたらずっと
一緒だったていうか・・・
腐れ縁みたいな?
いつから
一緒だったんだろ・・・
わかんないや。
でも私は決めたから!
今をしっかり
生きるって。
お母さんと
お父さんの分まで・・・
──────────────
─────────
────
ルナ「ただいまぁ、
お父さん、お母さん」
チーン
ルナ「ねえ、お父さん、お母さん。
最近ね、変な夢見るの。
ちょっと恥ずかしいんだけど・・・
結婚の約束の夢///
私、中学生なのに
もう結婚したいのかな?
おかしいよね。
でもね、聞いたことある声なの。
タイヨウなのかな?
お父さん、お母さん。知ってる?
じゃあまたね、おやすみ」
rrrrrr
ルナ「ん? あ、タイヨウだ。
もしもし?」
タイヨウ「もしもしルナ?
ちょっといい?」
ルナ「うん! へーきだよ?
どうしたの?」
タイヨウ「あのさ・・・
あの、その・・・」
ルナ「なあに?
どうしたの?」
タイヨウ「今週の日曜日。
一緒に映画行かない?!」
ルナ「いいね いくいくー!
あ、クルミとか、ダイジとか誘おっか!
それとー」
タイヨウ「ルナ」
ルナ「・・・ん?
どーしたの?」
タイヨウ「2人で行く。からな。。。
ルナと、俺だけだからな」
ルナ「・・・え?」
タイヨウ「そ、それじゃまた明日。
じゃあな」
・・・・・・
えーーーー?!?!?!
ふっ、ふっ、
2人きりーー?!
は、初めてなんだけどー?!
ど、ど、ど、どーしよ?!
助けてー。
──────────────
───────
────
う、う・・・
服、変じゃないかな・・・
クルミはこれが私らしい、
って言ったけど・・・
タイヨウの前でこんな格好
したことないし・・・
ガーリー過ぎないかな・・・?
タイヨウ「るーな」
ルナ「タ、タイヨウっ///」
タイヨウ「今日の格好可愛いね。
似合ってるよ。そーゆーの」
ルナ「っ///」
きっと、私は
タイヨウを好きになるんだ。
今も、好きなのかな?
タイヨウ「何ぼーっとしてんの?
映画始まっちゃうよ?」
ルナ「う、うん! ごめん」
───────────
─────
──
やばいです。
白尾ルナ。
最大のピンチです。
・・・トイレに
行きたいのですっっっっ
どどどどうしよぉ・・・
こんな上映間近に行ったら
いろんな意味で注目浴びちゃうっ・・・
ガシャンッ
え?
もしかしてだけど・・・
もしかしてだけど・・・
私と同じお方が
いらっしゃるっっ?!
よしっ!
私もこれに乗り込もう。
ルナ「ごめんタイヨウ。
私ちょっとトイレ行ってくるっ」
タイヨウ「え? 始まるけど・・・」
ルナ「ごめん!」
ガシャンッ。
────────────────
───────────
─────
あぁー間に合ったぁ。
さっきの人に
感謝しなくちゃ笑
ドンっ。
ルナ「きゃっ、」
?「うわっ」
ルナ「いたたたたた・・・」
?「ごっ、ごめんなさい!」
ルナ「いえっ、大丈夫です」
?「あぁ、擦りむいてる。
ごめんなさい!!!
あの・・・絆創膏どうぞっ。
貼りますからっっ」
ルナ「あっ、ありがとうございます」
?「よしっ。これで、っ?!?!」
ルナ「ありがとうございました。
・・・?」
?「ル・・・ナ・・・?」
ルナ「え?」
?「ル・・・ナ・・・?
だ・・・よね・・・?
ルナだよね!! 久しぶり!
覚えてる? 俺だよ!」
ルナ「えっ、えっとぉ・・・
確かに私ルナですけど、
ルナ違いでは?」
?「え? 覚えてないの?
ルナ。俺だよ?」
ルナ「えっとぉ・・・
わかんないです」
?「え? 違ったのかな・・・
白尾ルナ・・・だよね?」
ルナ「っ?!
え、なんで私の名前を?
はい。そうですけど・・・えぇっ?!」
?「やっぱりっ?!?! ルナだよね!!!
うわぁっっ、会えて嬉しい!!!
ルナのこと、ずっっっっと
探してたんだよ!!!!!
久しぶりだな!! 何年ぶりだ?」
ルナ「ごめんなさい。
私、あなたのことわからないです」
?「え? 忘れちゃったの?
俺だよ」
ルナ「あの・・・名前は?」
?「今井ハルト。
え? 本当に忘れたの?」
ルナ「いまい・・・はると?」
ハルト「そう! 思い出した?
ほら昔も映画行ったときいつも、
俺とルナ、上映間近にトイレ行ってさー。
だからさ、俺ら毎回・・・ルナ?」
ルナ「うっ・・・」
ハルト「ルナ? ルナ?!
どーしたの? ルナ! ルナ!」
タイヨウ「ルナ!」
ハルト「?!」
タイヨウ「ルナ?
大丈夫か? おい!」
ルナ「・・・・・」
ハルト「あの・・・」
タイヨウ「っ・・・! ルナ?
大丈夫だからな。俺がついてる。
救急車呼んだから。
もう少し待ってて・・・」
ハルト「あの・・・」
タイヨウ「ルナと
何してたんですか?」
ハルト「・・・え?」
タイヨウ「だから
何してたんですか?」
ハルト「え? あの、、、
何年ぶりかの再会だったので、
話してました・・・
なんかすみません・・・」
タイヨウ「再・・・会・・・?」
ハルト「はい。あの、俺とルナ
幼馴染だったんです。
あっ、でもルナは俺のこと
覚えてなくて・・・」
タイヨウ「もう、ルナに
会わないで下さい」
ハルト「・・・え?」
タイヨウ「あなたがいても、
ルナが苦しむだけです。
だから会わないでください」
ハルト「え・・・なんでっ」
タイヨウ「いいから帰れっっ!!!」
ピーポーピーポー
タイヨウ「ルナ来たよ。救急車。
心配しないで。」
ハルト「・・・・・・」
────────────────
──────────
─────
うっ・・・
頭が痛い・・・
ズキズキする・・・
ルナ「んっ・・・ここは・・・」
タイヨウ「ルナっ?!」
ルナ「タイヨウ? どうしたの?」
タイヨウ「どうしたのって・・・
心配したんだからな!
急に倒れて、なかなか目が覚めないし・・・」
ルナ「ごめん・・・」
タイヨウ「でも無事でよかった。
じゃあ俺帰るから。お大事に」
ルナ「ありがとう」
バタン
ルナ「うっ、うっ、うわぁぁぁああー
会いたかったよぉー
会いたかったよぉー
ハルトぉぉぉーーーー」
─────────────
──────
───
ルナが記憶がないのは
知っていた。
幼馴染がいることも
知っていた。
ずっと知らないふりを
していた。
それが1番いいと
思ったから・・・
・。・:・°・。・:・°・。・:・°・。・:・
俺とルナは、
小学1年からずっと
同じクラスだった。
それで、俺とルナは
仲がよかった。
俺とルナは・・・
友達。。。
のはずだった。
だけど俺の中では
何かが違ったのかもしれない。
いつからか
好きになっていた。
本当にいつからかは
わからない。
だけど、いつも
君を見ていたことには
変わりない。
君を1番知っている
つもりだった。
そして・・・
君の1番に
なりたかった・・・・・・
・。・:・°・。・:・°・。・:・°・。・:・
ああ・・・
私は何をしてたんだろ・・・
記憶をなくしてたんだ・・・・・・
もし、もしも、
記憶があったら・・・
ハルトと・・・
一緒にいられたのかな・・・?
───────────────
────────────
─────
──────白尾ルナ様病室
タイヨウ「ルナ・・・」
ルナ「・・・・・」
タイヨウ「ルナっ」
ルナ「あっ!
ご、ごめん・・・」
タイヨウ「記憶・・・」
ルナ「知ってたんだよね。
記憶のこと。
私の過去のことも全部」
タイヨウ「うん。ごめん」
ルナ「どうして・・・
どうして教えてくれなかったの???
私のこと知ってるのもう、
タイヨウだけなんだよ!!
なのに・・・なのに・・・
どーして教えてくれな」
タイヨウ「ルナが
好きだからだよ!!」
ルナ「え・・・?」
タイヨウ「ルナが、好きだから。
大好きだから。。。
苦しむかと思った。
それに・・・
ハルトってやつにルナを
取られたくなかったからだよ!!」
ルナ「タイヨウ・・・」
タイヨウ「俺は、ルナをずっと見てた。
ルナのこと1番知ってる。
ルナを守れる。
ルナの居場所を作れる!!
だから・・・俺と・・・
俺と付き合ってよ・・・!! ルナ・・・」
ルナ「・・・・・」
タイヨウ「返事は今じゃなくても
いいから。じゃ」
扉を閉める音さえ
聞こえなかった。
タイヨウが・・・
私のことを好きだったの・・・?
でも・・・私も・・・
ついこの前までは、
タイヨウのこと・・・・・・
でも、私はハルトが・・・
だけど・・・
ずっとそばにいてくれたのは・・・
どうすればいいの・・・
私はハルトのことも
タイヨウのことも大好き。
だけど、、
だけど、、、
─────────────
──────
───
いろいろ考えていたら
もう1週間が過ぎていた。
私はもうとっくに
退院をしていた。
でも学校には行ってない。
あ、カウンセリングがあるから。
不登校とかじゃないよ。
そして今日、
私は・・・
カウンセリングが
終わったんだ!
だから、私は真っ先に
受話器を取って電話をした。
相手は・・・・・・
ルナ「もしもし、あの・・・
白尾です」
ハルト「あ・・・ルナ?」
ルナ「う、うん・・・
そう。だよ?」
ハルト「久しぶりだね。
お見舞い以来かな?」
ルナ「う、、うん。そうだね」
ハルト「で、何か話があるの?」
ルナ「うん・・・あのね・・・
私・・・ハルっ・・・」
ハルト「ん? どうしたの?」
ルナ「あ、なんでもない!
あの、ハッ・・・ハル!
春のことで相談したいことがあるの」
ハルト「嘘でしょ?
わかってるよ」
ルナ「え・・・?」
ハルト「あいつのことでしょ?
何、どうしたの?」
ルナ「やっ、やっぱなんでもない!
切るね、ばいばい」
ハルト「ルナっ」
プチッ
ああ・・・
どうしてわかるの?
だから、、、
だから、、、
言いたいことも
言えなくなっちゃったじゃん・・・
ピンポーン
ん?
ルナ「はぁーい」
ハルト「はあ、はあ、はあ、
ルナっ・・・
話っ・・・あるんだろ?」
ルナ「えっ・・・」
ハルト「俺にお人好しなんていらねーよ!
なんでも話せって!
俺ら幼馴染だろ?
ちょっと離れてたけどw」
ルナ「ハルト・・・」
ハルト「そんな顔するなよー。
・・・ほらハンカチ」
ルナ「ありがとっ・・・」
ハルト「ん?! うまそうな匂い!
おじゃましまーすっ!」
ルナ「ちょ! ちょっと!
勝手に入らないでよ!! もお!!」
ハルト「だって俺ら幼馴染だろ?w」
ルナ「w 昔と変わらないなあ」
ハルト「お前もなww」
私は話したかったことなんか
ぜーんぶ忘れて、
誰にも言えない、
今まで溜まってた思い、
話したかったこと、
ぜーんぶハルトに話した。
いっぱい笑って、
いっぱい泣いて、
そのたび笑って・・・
ほんの数時間
だったのに、
私の空っぽだった時間を
ぜーんぶ埋めてくれた・・・・・・
全部。
埋めてくれたんだ。
ハルト「で?w
電話で話しかけたことって?」
ルナ「あっ・・・それは・・・」
ハルト「まさか、ここまで来て
話さないわけがないよな・・・?」
そうだよね。
言わなきゃ・・・
だめだよ・・・ね・・・
ルナ「・・・私ね、その・・・
タイヨウに・・・告られた・・・の」
ハルト「・・・・・・
わかってたよ・・・」
ルナ「え?」
ハルト「タイヨウってやつが
ルナに惚れてたこと。
だって、あの映画のときだって、
あれデートだろ?」
ルナ「ちっ、違うよ!」
ハルト「で、ルナもあいつに
惚れてたんだろ?
よかったじゃん。両思いで」
ルナ「だからっ・・・
私はハルトのことがっ・・・」
ハルト「そこに、俺が来たわけだ。
ごめんな。俺が来なかったら、
2人は何事もなく幸せになれたし、
ルナも辛い思いしなくてよかったし・・・」
ルナ「そんなことない!!
私はハルトに会えて嬉しかったっ・・・
昔みたいに戻れて嬉しかった・・・
辛い思いなんてしてない!! だからっ」
ハルト「俺さ、来週
福岡に引っ越しするだよ」
ルナ「え・・・・・・
福・・・岡・・・?」
ハルト「うん。
それで、福岡に行く前に
どうしてもしたいことがあるから、
どうしても会いたい人がいるから、
噂とか、その人が来そうなところとか
転々としてたんだよ」
ハルト「俺、自分のことしか
考えてなかったよな、
自己満足のためだけに、、、
ごめんな。
でも、会えて嬉しかった。
本当に、嬉しかった」
ルナ「・・・ハル・・・トッ・・・
いかないでっ・・・
私も・・・会いたかったっ・・・
嬉しかったっ・・・
探してくれて、ありがとうっ・・・・・・」
ハルト「ルナ、」
ルナ「なあに・・・? グスッ」
ハルト「好きだよ。大好き。
幸せにな」
ルナ「ハルトっっっ」
ハルトの笑顔が
あまりにもまぶしすぎて、
追いかけることすらできなかった。
ただただ、
そこにへばりつくことしか
できなかった・・・
rrrrrrrrr
誰だろ・・・・・・
【kurumi】
クルミだ・・・
どうしたんだろ?
ルナ「もしもし?」
クルミ「あ、ルナー? お久っ」
ルナ「だね、お久っ」
クルミ「ねえ、ルナ」
ルナ「ん?」
クルミ「最近元気なくない?」
ルナ「えっ・・・・・・」
クルミ「ごめん、なんかそう見えて。
何があったか知らないけど、
悩んでるときは、
自分に正直になってみたら?」
ルナ「クルミ・・・」
クルミ「それだけだから!
ルナが元気ないと、
私まで元気失うからねーw
明後日は元気に学校に来なよー。
んじゃっ」
お父さん、お母さん、
私ね、最高の親友がいるよ。
自分に正直になるよ。
結果がどうなろうと。
自分に正直になるよ。
だから・・・・・・
力をちょうだいっ・・・
───────────────
───────
───
ルナ「もしもし? タイヨウ?
私、ルナ。
話があるから、
1:00にニコカフェに来て」
タイヨウ「お、おう・・・」
─────ニコカフェ
タイヨウ「ルナ・・・久しぶり」
ルナ「うん。久しぶり」
タイヨウ「で。話って何?」
ルナ「あのね、タイヨウ」
───────────────
───────
───
ピンポーン
?「はーい」
ルナ「ハルト・・・」
ハルト「ルッ、ルナ?!
どうして」
ルナ「私を・・・
本当の私を見つけてくれてありがとう。
おかげで、私、自分の気持ちに気づいた」
ハルト「・・・・・」
ルナ「私も好きだよ。
大好き」
ハルト「ルナっ・・・」
ハルト「なあ、ルナ。
昔、俺が言ったこと覚えてる?」
ルナ「え?」
ハルト「結婚のこと」
ルナ「っ///」
ハルト「俺。福岡でもっと
立派なやつになってくるから、
絶対に結婚しような。ルナ」
ルナ「うんっ! 約束」
ハルト「約束」
ルナ「あっ、雪だっ」
もしかしたら
サンタさんからのプレゼント
なのかもしれない・・・
END//
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白尾 留菜
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