深い傷を負った君へ
作者:リリ
俺、レン。
新潮高校1年A組
学級委員だ。
女子の学級委員は
カイラ。
幼稚園からの幼なじみだ。
最近、ちょっと
気になってるんだ。
あいつがやけに
話さなくなったこと。
コミュ力ヤバかった
カイラが、だ。
俺より10000倍
人付き合いがうまかった。
今は「うん」「わかった」
くらいしか言わない。
おかしい。
何かが多分
問題になってるんだ。
クラス全員、・・・
気づいてると思う。
第一、中学の時は
毎年クラスの全員に
手作りチョコプレゼントしてたのに、
今年は何もなかった。
でも、急な変化すぎて
みんな声を掛けられないんだ。
掛けても
返ってくるのは
さえない返事だけ。
ユズ「カイラちゃん!
えっと、ルミちゃん部活
家の用事で出れないって!」
カイラ「はい、わかった」
親友のユズにもこうだ。
いつもの
100分の1くらいしか
喋ってない。
俺は今日、塾ないから
ついて行こうと思う。
・*。・ 帰り道 ・。*・
テクテク
何もいつもと変わらない
感じだけど・・・
カイラが猫背に
なってるくらいだな。
あの白い家が
カイラの家だったはず・・・
あ、入った。
帰り道は問題なしっ・・・
バシン
な、・・・なんだっ・・・
叩かれた音・・・
??「お前なんかな!
いらねーんだよ!
ばーか!」
お母さんの声か・・・?
俺はこの状況で、
金縛りにあったみたいに
身動きできなくなった。
あの優しそうな
カイラのお母さんが・・・?
俺は一晩中、
カイラの家のことを
考えていた。
あのお母さんに、
家族に
何が起こったんだろう。
カイラに直接
聞くことなんてできない。
でも、直接聞く以外に
カイラを助けるカギはない。
どうすりゃいいんだぁ・・・?
・*。・ 翌日 ・。*・
リュウノスケ先生「おし、授業始めるぞ~」
ユズ「あの~、
カイラちゃん
きてないんですけど・・・」
カイラは、今日
学校を休んだ。
リュウノスケ先生「お?
何も連絡は聞いてないな。
家に電話してみるから、
この課題やっとけ」
俺は、先生の電話の音に
耳をすませた。
リュウノスケ先生「もしもし~
新潮高校です・・・
あ、はい。
・・・髙橋さんなんですけど・・・
あ、そうですか。
・・・はい。
・・・分かりました」
ユズ「なんて?」
リュウノスケ先生「お腹が痛いから
休む、だそうだ」
レン「絶対違います!」
あ、声に出ちゃった。
ユズ「レ・・・レン君」
リュウノスケ先生「・・・レン、
先生も同じ考えだ。
髙橋さんは前、
お腹が痛いと言いながら
登校していた」
ユズ「私も、そう思います。
何か違う事情が
あるんじゃないでしょうか・・・」
レン「俺、聞いたんです。
昨日、最近喋らないから、
心配になって、
帰り道ついて行ったんです」
ユズ「何を聞いたの?」
レン「た・・・
叩かれる音だ」
ユズ「・・・えっ・・・」
リュウノスケ先生「本当に?
空耳じゃないんだな?」
レン「はい。
はっきりと聞こえました。
あと・・・
お母さんの声が聞こえて・・・」
ハアト「ぼくんちから
聞こえます」
いつも喋らない
ハアトが喋り始めた。
そうか、ハアトと
カイラは隣同士だ。
ハアト「時々・・・
女の人の叫び声が
聞こえるんです。
それがお母さんかは
分かんないけど、
『バカ』とか『いらねー』とか」
ルミ「私も・・・
彼女を追いかけて
一言耳にしたことはあります」
「私も」
「僕も」
クラス中で
カイラのことが
話し合われた。
リュウノスケ先生「みんな、
ありがとう」
「児童相談所に連絡します」
「レン、君が違うと
言ってくれたから
みんな言うことができたね。
ナイスだよ」
レン「いえ、
そんなことない」
放って置けない。
そんなの。
俺が思ってるより
深い事情を抱えてるみたいだ、
カイラは。
・*。・ 1週間後 ・。*・
カイラ「お、おはようございます!」
レン「か・・・カイラ!」
ユズ「カイラちゃん!」
ハアト「大丈夫!?」
カイラ「うん!
みんなありがとう!
私、おばあちゃんちに
預けてもらうことになって。
迷惑かけてごめんねぇ。
私・・・また頑張る」
「チョコ、
ホワイトデーに渡す」
レン「良かった」
ユズ「無理しないでね!
私たちはカイラの味方よ」
カイラ「・・・みんなありがとう
(*≧∀≦*)」
・*。・ 放課後 ・。*・
カイラ「レン!
今日、時間ある?」
レン「あ?」
今日は塾だ。でも、
大事な話かもしれないから、
塾ないことにする。
レン「あるよ」
カイラ「一緒に帰ろ!
話したいことあるの。
というか、
・・・聞いてほしい」
レン「え・・・いいけど」
何の話かな。
やっぱり、お母さんの
お話だろうか。
カイラ「あのね、お母さん、
・・・すっごい
酒に溺れちゃって」
「そんな人じゃ
なかったんだけどな。
おじいちゃんが死んで、
会社が潰れちゃって」
そうだ。
カイラのお母さんは
おじいちゃんを
継いだんだ。
カイラ「それで・・・
シングルマザーだから、
お金なくなっちゃって・・・
私に働けって言ったの」
「でも私は勉強して、
小児科医になりたかった」
カイラは小学生の頃から
小児科医になりたいと
言ってた。
それほど
強い夢なんだな。
カイラ「でも・・・」
こう言うと、カイラは
しゃくり泣き出した。
カイラ「前の定期テストで
ちょっと点悪くって、
・・・ニコラ大学もB判定で・・・」
「どんどん成績落ちてって、
お母さんが見かねて・・・
バイトしろって言われて・・・
隠れてやってたの」
新潮高校はバイト禁止だ。
カイラ「ダメなことだって
分かってたし、
バイトしたらもっと・・・
勉強時間少なくなっちゃうって
いうのもわかってた。
・・・でも
・・・逆らえなかったの」
そう言って、カイラは
涙を拭った。
俺は何も言えなかった。
カイラ「レンが最初に
私のこと
言ってくれたんでしょ?」
レン「え、あ、・・・うん」
カイラ「ホントに嬉しかったの。
私・・・あんなになっちゃったけど
お母さんのこと大好きだったから、
ずっとそうやって無理してた」
「それ、止めてくれたよね」
レン「・・・」
言葉が出せない。
どういう言葉を
返せばいいか分からない。
カイラは、思っているより
もっとずっと深い
心の傷を負っていた。
カイラ「ありがとう。
レン、あなたが
全部変えてくれた」
「私、人生
ぶっ潰れるとこだった!」
急にカイラは走り出した。
カイラ「私、今日ピアノなの!
じゃあね!
聞いてくれてありがとう!」
レン「また明日な~!」
カイラ「うん!」
気づいた。今。
俺はカイラのことが好きだ。
まだ伝えられないけど、
素直な心が好きだ。
これからも、
彼女の心の傷を
癒したい。
これが、俺の
強い夢なのかもしれない。
*END*
内田 蓮

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