肉と彼氏

CAST中山あやか

作者：じゃが

2022.10.28

私はアヤカ、中３。

とにかく今、
彼氏が欲しいんです！

・・・じゃなくて、
からあげが
食べたいんです!!

みんなは
彼氏とからあげ、
どっちが欲しい？

私は断然
からあげ派。

男には興味なし、

肉には
目がないんだ。

ヨシト「よっしゃ！
今日の給食すきやき～」

アヤカ「まじ!?
絶対おかわりするぅ～」

きたきた肉料理！
今日の夕飯は
ハンバーグって言ってたから、
昼も夜も肉料理だ！
最高すぎる！

アキ「えー、
すきやきとか最悪。
肉とか食べれそうに
ないんだけど」

カホ「ね。
私も肉の気分じゃない。
ごはん以外全部減らそ」

ナツミ「カホ、
白米好きだもんね～」

そんな女子たちの
会話が聞こえて、
ちょっとだけ
恥ずかしくなった。

この女子たち、
ハンバーグとか
プルコギとか、
なんでも
減らすんだよね・・・

米は食べるくせに、
肉料理は食べないなんて
どうかしてる。

アヤカ「米より肉でしょ、
普通」

あっ、しまった！
言っちゃった！

カホ「・・・は？」

アキ「なんか言った？」

ナツミ「何を減らそうが
ウチラの勝手でしょ？
いちいちうるさいんだけど。
給食のおばちゃんみたいｗ」

ナツミがそう言うと、
アキトカホも一緒に笑った。

ナツミ「はいはい、
給食のおばちゃん。
たんぱく質は
プロテインで摂るんで」

うわー、ムカつく！
給食のおばちゃんだって。

アキ「知ってた？
肉好きな女子って、
モテないんだよ～！
太るし。
結局男子はみんな、
サラダ食べてる女子が
好きなの」

別に男子に嫌われようが
構わない。

・・・でもなんでだろう。

どこか
もやもやするのは。

カホ「アヤカ、デート
気を付けた方がいいよ。
肉ばっか食べてたら
引かれるから。
・・・あ、アヤカは
デートなんてしないかｗ」

デートなんてしない・・・

男に興味なんか
ないはずなのに、
胸がチクリと痛む。

アキ「しない、しない。
彼氏なんかできないって。
アヤカに彼氏できんなら、
私は絶対できるわー」

ナツミ「私もカホもできるわ」

アキ「こんなアヤカのこと
好きになってくれる男がいたら、
大事にしなねー。
ま、絶対いないけどｗ」

もうやだ！

いくらなんでも
ひどすぎるよ・・・

肉が好きなだけで、
こんなに言われるなんて。

怒りと恥ずかしさとで、
爆発しそうになった
そのとき・・・

ヨシト「おい、お前ら！
いい加減にしろよ」

ヨシトの大きな声で、
教室が静まり返った。

ヨシト「アキ、カホ、
ナツミ。
お前ら何様だよ」

アキ・カホ・ナツミ「・・・」

ヨシト「俺は肉好きな女子、
好きだ。
女の子らしさを
アピールするために
サラダばっか食ってる女子は
好きじゃない。
好きなものを食べるヤツが、
俺は好きだ」

アキ「てことは何？
ヨシトまさか
アヤカのこと・・・」

ヨシト「ああ、大好きだ」

え？　今なんて？

アキ・カホ・ナツミ「！」

ヨシト「アヤカ、
ずっと前から好きだった。
付き合ってください！」

好きだった？
付き合う？

アキ「残念だけどムリだよ。
だってアヤカ、
男に興味ないんだもん」

カホ「そ、そうだよ。
アヤカよりいい女なんて
いっぱいいるよ」

ナツミ「そうだよ。
私、別にサラダばっか
食べないし・・・
肉好きだよ？」

そうだ。

私は、確かに
男に興味はない。

ヨシト「給食でも堂々と
おかわりして、
おいしそうに食べるアヤカが
好きなんだ！
周りの目を気にしない、
堂々としたアヤカが
好きなんだ!!」

でも、この人といたら、
自分に正直に
生きていける気がした。

ヨシト「ど、どう？」

アヤカ「よろしくお願いします！」

ヨシト「まじか！
まじだーーーーーーー！」

肉と彼氏、
どっちを取る？

私の今の答えは・・・

どっちもだね！

＊ｅｎｄ＊