幽霊少女と夏の恋物語

CAST藤野有紗

作者：こはる

2022.05.19

私は、中１の夏に
交通事故で
幽霊になった。

今、自分の
本当の姿を隠して
人間界で過ごしている、。

中学２年生として
この学校に
転校してきた。

そして
中３になった今でも
毎日、すごく人間界を
満喫している。

自分が本当は
生きてないって
分かってるからこそ、

毎日新鮮な気持ちで
幸せで溢れる日々を
過ごせているのかもしれない。

幽霊になる前の自分では
絶対に思えない感情が
芽生える。

私はこの学校に
転校してきて、

自分にとって初めて
好きな人ができた。

絶対人間だった頃の
自分だったら
諦めていたはず、、

でも

幽霊になった
私は違う。

失ってしまった分の人生を
充実したものにしたいから。

そして今年の夏、彼と私を
含んだイツメン６人で
花火大会に行く約束をした。

私はその時に
気持ちを伝える。

きっと私にとって
最初で最後の
告白となるだろう。

・＊。・　花火大会当日　・。＊・

浴衣姿でみんなで
色んな屋台をまわって

写真を撮って、
全力で楽しんだ。

そして彼と
ふたりきりになった時、

「好きです」

その言葉だけを
彼の耳元で囁いた。

その瞬間、私達を
包み込んでくれるかのような
大きな大きな花火が
打ち上がった。

　　　　＊

　　　　＊

　　　　＊

次の日、私という存在は
人間界から消え去った。

これが幽霊になった私の、
花火のように弾ける、
儚い恋物語。

＊ｅｎｄ＊