変化

CAST中山 あやか中山 あやか

作者:コロン

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.11.24

今日、
懐かしの公園に
立ち寄った。





小さな子たちが遊ぶには
遅い時間で、
空気も冷え込んだ公園には
誰もいない。





学校帰りの私は、
ひとりブランコに
腰かける。





キーコ、キーコ、
キーコ・・・





体を前後に揺らす。
冷ややかな風が
頬をなでる。





こどものころを
思い出した。





隣に座っていたエイトと、
どちらが高くこげるか。





日が暮れるまで
勝負したことを。





エイトも私も
静かなほうだって
言われ続けていたけど、
ブランコ勝負だけは
いっつもあつかった。





でも今日のブランコは、
足がつくくらいの高さを
行ったり来たり。





振り切れず、
行ったり来たり。





幼いころには、
戻れないんだなって。





やっぱり痛感する。





ずっと一緒にいたのに、
いつの間にか離れていった
エイトのことが、
私はずっとずっと好きだった。





今日、その思いを伝えた。





10年あたためた、
この想いを。





「ごめん、
考えられない」





ぶっきらぼうに一言、
そう告げられた。





苦しさに、
耐えられなくて、
顔も見られなくて、
無我夢中で走って、
ここにきた・・・





キーコ、キーコ、
キーコ・・・





隣のブランコが揺れた。





アヤカ「・・・え?」





目も合わせずに、
エイトが、ブランコを
こいでいる。





その高さは、
ぐんぐん上がっていく。





風を切る音がする。





自然と、私の足は、
力強く地面を蹴っていた。





どんどん、エイトに
近づいていく。





やがて並ぶ。





ああ、思い出した。
幸せだったあの時を。





何にも考えず、
ただエイトのそばに
いられたころのことを。





エイト「・・・勝ったな」





お互い地面に足がつき、
しばらく黙りこくった後、
エイトは言った。





勝った・・・?





ああ、ブランコの
高さのことか。





全然しゃべらないのは
いつものことだけど、
急に何言いだすかと思ったら。





アヤカ「・・・何しに来た?」





目が合わせられないまま、
言う。





アヤカ「もう戻れないんだって、
わかったから」





エイト「俺も、戻る気はない」





エイトの言葉が
胸に突き刺さる。





こらえていた涙が
あふれだした。





エイト『進みたいんだ』





アヤカ「・・・え?」





意味がよくわからず、
エイトのほうを見る。





エイトはまっすぐ
こちらを見ていた。





エイト『付き合ってほしい、
アヤカ』





アヤカ「・・・どういうこと?
さっき考えられないって・・・」





エイト「ずっと考えられなかった。
アヤカはそばにいることが
当たり前な存在で、
当然のように大切なやつで。
・・・アヤカに気持ちを言われて、
そういう風に考えたことがなくて」





『考えられない』





それって
そういうことだったの?





エイト「口下手ですまない。
逃げてすまない。
でも俺は決めた。
アヤカが好きだ。
付き合ってほしい」





涙が、あたたかい。





アヤカ「・・・はい。
・・・よろしく!」





私たちは、成長していく。
変わっていく。





でも。





“エイトが大切だ”っていう
気持ちは





“アヤカが大切だ”っていう
気持ちは









『『ずっと、変わらない』』











*end*

Like

この物語に投票する

中山 あやかが主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

おススメ!おススメ!

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!