晴れ女の秘密

CAST太田 雫太田 雫

作者:りーちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.09.19

校門を出て歩き出す。





夕日が真っ白な雲に
しゅわしゅわと
桃色に溶けていっている。





少し錆びた緑色のフェンス
合間の校庭から彼を見つけた。





汗を光らせて
走っているその姿は、
かっこいいを通り越して
美しい。





やっぱり私は
ルワのことが好きだ。





そう思っていると、
後ろからバンッと
背中を叩かれた。





「よぉー。
一緒に帰ろうぜ」





わー。コウショウだ。
私の幼なじみ。





家が隣で、小さい頃は
よく遊んでた。





こういう関係って、
中3くらいになると
お互い恥ずかしくて
自然と無くなっていくのが
普通なんだけど・・・





コウショウは
そういうことなんか考えずに
ケロッとしているから
私たちの関係は
小学校低学年くらいの時から
進歩していない。





「何よ」





っと少し睨んで振り向くと、





「何怖い顔してんだよ」





と、また背中を叩かれた。





ごちゃごちゃしていると、
急に、雨が降ってきた。





ぽつぽつ降っているけど、
そのうち本降りになりそうだ。





フェンスの方へ顔を向けると、
ルワが慌てて
道具を片付けていた。





彼の練習が
終わりになるのが
なんか悲しくて





「あー、私
晴れ女なんだけどなぁ」





とつぶやくと、





「俺の心も雨降ってる」





とコウショウが
ぼそっと言った。





えっ?





と私が振り向くと、





コウショウは私から
パッと顔をそらして





「自分が好きな人が、
違う男ばっかり見つめてたら、
心に雨降るし。
ていうか土砂降り
なんですけど。
俺の心の雨止めてよ。
晴れ女なんだろ」





と耳をリンゴのように
赤くしながら、
ぶっきらぼうに
言い放った。





そして、私の前を
すたすた歩き出した。





それを最後まで聞く前に
私の心臓が
勝手に鳴り出した。





コウショウの
言葉なんかで。





今の告白?!





私のこと好きって
意味だよね?





頭がフル回転で
今の言葉を
解釈しようとしている。





腐れ縁だと思って、
そういう風に
コウショウを見たことが
なかったし。





なんだかおかしくも
なってきた。





でも、私が好きなのは
ルワだし。





だけど、コウショウの
背中を見ると
なんだか寂しそうに見えて、
そっと近づいて、後ろから





「好きだよ」





と言ってみた。





「本当か?」





コウショウが
今度はゆでだこみたいに
赤い顔で振り向いた。





「幼なじみとしてね」





「なんだよ」





とコウショウが
落胆の声と共に
私の頭をポンと叩いた。





くらりと
私の体が揺れる。





その時、
好きという気持ちが
一緒にくらりと
コウショウの方へ傾いたことは
私だけの秘密。





この気持ちが
届きますようにって
思ったこともね。







*end*

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