相棒、として。

CAST広瀬 まのか広瀬 まのか

作者:僕

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.08.15

「あ、いましたよ。
向かいのビルの角に1人」





「ん~?
・・・あ、ホントだ。
お手柄だねカノン!
じゃ、さっさと
片付けさせてもろて」





「そうですね。
どうせ裏道に入るでしょうし、
私らは先回りして
おきましょうか」





「了解です!」





カノンとマノカの2人は、
久々の相棒との任務に
胸が鳴っていた。





近頃、敵組織の動向が
激しくなったせいで
お互い仕事は増え、
なかなか2人で動く時間が
なかったのである。





遊びではないので
仕方ないとお互いに
割り切っていたが、





やはり久しぶりの
相棒との行動は
不思議とやる気が
湧いてくる。





組織の中では
かなり優秀な構成員として
扱われて来た2人は
ある時からツーマンセルで
動くようになり、





いつしかまのかのんと
呼ばれるほど───
つまり通り名が付くほど、
裏社会からも一目置かれる
存在になったのである。





もちろん2人も
それが満更でもない程
お互いを信頼しきっているし、





少なくとも自分の隣は
この子だと言い切れる程には
行動を共にするのを
好んでいたに違いない。





今回の任務は、
ある1人の情報屋の
処分だった。





元々は2人の属している組織が
抱えていた情報屋らしいが、
どういう訳かこちらの情報を
他組織に横流ししているらしい
ということだったので、
処分という判断になったそうだ。





たかが1人とは言え
失敗できない仕事だった為に、
現場慣れしている2人が
選ばれたわけである。





「久しぶりのカノンとの作戦、
やっぱ緊張すんなぁ」





「・・・可愛いこと言ったって、
場所は交代しませんからね」





「そんなこと言わずにさぁ~~~!
あたしもう洋服汚れるのとか
嫌なんだけど!」





「嫌なのはまのかだけじゃ
ないですからね!
それに汚れた服洗うのは
私なんですから、
まのかもちょっとくらい
働いてください」





「いやあたしも
働いてるし!」





口ではぶつくさ言う
彼女だったが、
仮にもまのかのんの2人である。





武闘派でもなんでもない
一介の情報屋などに
引けをとるはずもなかった。





カノンは組織屈指の
頭脳プレイヤーであり、
相棒のまのかは
そんな彼女の作戦を
誰よりも理解し
遂行するのが得意だ。





今日の作戦もただ1人の
人間を処分するだけ、
2人にとっては
造作もないことである。













◆~◇◇~◆~◆~◇◇~◆





「お兄さん、
ちょっと失礼します。
私と話しませんか?」





にこやかな顔で
カノンは言った。





あまりにも屈託のない笑顔を
浮かべられている意味が
分からずに、
ターゲットの男は
反応が遅れる。





目線を下へ降ろすと
彼女の腰に下げられている
刀に気づき、
さっと後ろへ下がって
距離をとった。





「・・・誰だお前」





「そう怖い顔しないで下さい。
人間、最後の感情が
死に顔になるって、
結構有名な話じゃないですか」





―――――眉間にシワが
寄った死に顔なんて、
貴方も嫌でしょう。





いきなり自分の前に現れた少女に
堂々と死を予知され、
男は戸惑った。





会ったこともないこの少女が、
まさかかつて自分が
裏切った組織の
構成員だとは思うまい。





ましてこんな、
青空のように爽やかな笑顔を
見せる子が───





この子が、
自分を殺しに来ているとは
微塵も思わないだろう。





ただし実際、
そんなことを考えている暇すら
男には与えられていなかったのだが。





ブシュ、
と肉の裂ける音と共に、
影は1つ人の形を保てずに
小さい塊へと変化した。





カノンは頬に飛んだ血を
手でぐいと拭い、
男だった物の後ろに
降り立ったまのかに向かって
目線をやった。





「お疲れ様です、
相変わらずですね」





「相変わらず?」





「こっちに血飛ばすなって
言ってんの!
洗うの私だって
言いましたよね!?」





「でもさ、血が目立たないように
黒いスーツ来てるんだよ?
それにその距離で
それだけしか付いてないなら
上出来だと思うけどねぇ」





「まったく・・・」





首の取れた死体は
後から来た処理班に任せ、
2人はさっさと
その場を後にした。





人を殺めた後とは言え
それもただの仕事。





今更それに後味を悪くされる程
弱いメンタルは、とうの昔に
鉄壁の精神へと
塗り替えられたのである。













◆~◇◇~◆~◆~◇◇~◆





組織の所持する寮の一室。





任務を終えた旨を
上司に連絡し、
2人はやっと一息つけるねと
言いながら
リビングのソファに
体を沈めた。





適当にチャンネルを回せば
最近話題のドラマに辿り着く。





流れる映像を軽く見たあと、
カノンはそのまま
チャンネルを置いた。





「カノン
こういうの好きなんだ」





「いや・・・別に好きって
わけではないんですけど、
学校とかでも
話題には上がるので
見ておいた方がいいかなって」





「なるほどねぇ・・・」





「まのかもこういうの
あんまり見ませんよね、
恋愛系とか」





「ん? あー・・・
だってこういうの、
最後は必ず報われるからさ、
あんまり見てても
あたしじゃ感情移入できない
っていうか」





珍しく深いことを言う彼女に
思わずふぅん? と
気の抜けた返事を返すが、
その言葉の意味を理解したカノンは
すごい勢いで
まのかに掴みかかった。





「うおっ!?」





「まのか好きな人
いるんですか!?」





「え~、いやまぁ、一応?」





「なんで疑問形なのよ」





「あたしも本当に
その人が好きかって聞かれたら、
何かこう・・・困るんだねぇ、
そうとも言い切れないっていうか」





「へえ・・・まのかも
そんなこと考えるんですね、
もっと
『好きだ! 求婚する!
わっしょい!』
みたいな感じかと
思ってました」





「言わねー!
てか流石に
バカにし過ぎじゃない!?」





「まぁ私の中のまのかって、
割とそんな感じですけどね」





「それはちょっと
信頼無さすぎなんだねぇ・・・」





「ふふ、大丈夫ですよ。
“相棒”ですから、
信頼だけは誰にも負けません」





えへへと可愛く笑うカノンは
体ごとまのかに寄りかかった。





まのかは肩に
手を回そうとするが、
一瞬思い留まったのち、
ゆっくりと手を降ろす。





「そっか、
相棒だもんね~」





「そーですよ、やっぱりね、
私だけがまのかの
相棒なので・・・
絶対、・・・んー? ・・・」





「お、おネムだな?
おやすみ、カノン」





残り少しの体重を全て
まのかに預け、
カノンはすうすうと
寝息をたて始めた。





先程の行き場を失った手が
相棒の形のいい頭を
するりと撫でると、
カノンは小さくみじろぎする。





「カノンのこと、
ちゃんと好きって言えたら
良かったんだけどね・・・
まだあたしには分かんないから」





相棒に抱く感情が恋なのか、
それともただの
“信頼”なのか。





煮詰まりすぎて
濃くなった感情は、
もう原型がなんだったのかも
区別はつかない。





「カノン・・・ごめん」





そう呟いたまのかは、
そっとカノンの額に
唇を落とした。







*end*

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