春の日に夢と恋を叶えてね。

CAST若林 真帆若林 真帆

作者:かき氷のシロップ。

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2018.12.22

私は夢を叶えるために
受験する。





だから、恋を叶えることを
諦めた。







・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





私、若林マホ。
中学3年の受験生です。





夢はモデルさんに
なること。





小さい頃から
変わらない。





この夢を叶えるために、
東京の高校を
受験することを決めた。





名門校だから、
勉強大変なんだけど・・・ね。





リン「マーホっ!
学力テストの順位みたよ!
また1位だったねー!」





この子はリン!
すごく可愛くて
いい子なの!





マホ「ありがとう!
でも、まだまだだよ~。
もっと頑張らなくちゃ・・・」





私が次の授業の
準備をしていると、
後ろから、





ユウヤ「お前、ぶっ倒れるぞ」





マホ「うるさいなぁ!」





ユウヤ「あと、」





ユウヤは袋から
何か取り出した。





そして、私のほっぺに
押しつけた。





マホ「うわっ!」





ホットココア・・・!?





ユウヤ「風邪引く前に
それ飲んどけよ!」





マホ「あ・・・」





行っちゃった・・・





ユウヤとは
小学校4年から今まで、
ずっと同じクラスだった。





だから、1日1回は
こうやって絡んでる。





私のこと、
気遣ってくれたのに、
お礼、言えなかったな・・・





ユウヤの前だと
素直になれない。





ユウヤがくれたココア・・・
あったかい・・・











・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





放課後。





リン「マホちゃーん!
帰る?」





マホ「私ちょっと
勉強して帰るから、
ごめんね!」





リン「うん!
頑張ってね!」





マホ「ありがとう!」





リンが廊下を
走っていく。





マホ「もう少しで受験か・・・」





リンとも学校
離れちゃうし・・・





それに・・・ユウヤも、
近くのニコラ高校だし・・・





あそこの高校、
女の子のレベル高いって
聞いたし。





ユウヤにも彼女、
出来るのかな・・・





ズキッ。





マホ「やだな・・・」





変な気持ち。





私は机におでこをつけて
うつ伏せていた。





ガラガラッ。





ユウヤ「マホ?
いたのかよ」





マホ「・・・ユウヤ?」





ユウヤは私の隣の席に
座った。





ユウヤ「まーた、
勉強か?」





マホ「これでも足りないの」





私が再びシャーペンを
走らせると、ユウヤは
ゆううつそうに言った。





ユウヤ「お前東京の高校行って
モデルなんかすんだろ?」





マホ「バカにするんでしょ!
ユウヤのすることだもん」





あーあ・・・もっと
『そうだよ!
応援してくれる?』
とか、言えるようになりたいな。





ユウヤ「バカになんかしねぇよ」





え・・・?





ユウヤ「俺と違って夢があるだけ
すげーと思うし、
マホならいけるんじゃね?」





それで少しだけ
微笑むんだ。





やめてよ。





ユウヤのささやかな気遣いが
私を困らせる。





マホ「あ、あの」





言わなきゃ、
『ありがとう』って・・・





ユウヤがそばにいなくても、
できるよって・・・





マホ「ゆ、ユウヤ!」





ユウヤ「何?」





マホ「わ、私!
そろそろ帰るね!
バイバイ!」





ユウヤ「・・・は?」





私はユウヤの顔を見ずに、
私は荷物をまとめて
教室を飛び出した。





今頃遅いよ・・・
もうすぐ受験なのに・・・





行きたい高校
決めたのに・・・





夢より恋を叶えたいって
思うなんて。





ダメなのに・・・





後ろから二の腕を
掴まれた。





そこには息を荒げた
ユウヤがいた。





ユウヤ「待てよ、」





マホ「ユウ・・・ヤ?」





ユウヤ「何? 言えよ。
隠してんだろ」





マホ「・・・」





ユウヤがため息をついて
言った。





ユウヤ「小4からの仲だろ?
ずっとお前のこと見て来たから
わかるんだよ」





マホ「それって、
どう言うこと・・・?」





ユウヤ「お前、小4の時
本気でモデル目指して勉強し始めて、
途中でぶっ倒れて保健室に行ったり、
でもお前は、それでも勉強、勉強で・・・
お前自体が壊れそうだったから・・・」





ユウヤ「からかう感じで
話しかけて、
無理させないようにしてただけ」





そういえば、
そうだった・・・













・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





小4の時。





女子「マホちゃん、
モデルになるために
これから遊ばないんだってー」





女子「でもさ、普通に
隣のクラスのマナちゃんの方が
可愛くない?」





女子「マホちゃんは
無理でしょ!」





私は、友達にモデルになると言ったら、
どんどん離れていって、
1人になった。





だけど、
それでも、いいんだ。





私は、愛読しているnicolaを
ぎゅっと握った。





大丈夫。
私ならできる。





そう言い聞かせていたけど、
やっぱり、1人は
寂しかった。





だけど、その時、突然、
喋ったことのなかった石田君に、
声をかけられた。





ユウヤ「若林!
一緒に遊ぼーぜ!
ドッジボール!」





マホ「私、勉強・・・
しないと」





すると、石田君は
くるっと私の方を見て
ニヤッと笑った。





ユウヤ「ずっと勉強してたら
壊れるぜ!
たまには息抜きしよーや!」





その言葉に、
心を包み込まれた感じに、
暖かくなった。





それから、石田君と
話すようになって、





ユウヤ「マーホ!」





ユウヤは、私の頭を
プリントで叩いた。





マホ「ユウヤ何すんの!」





気づいたら下の名前で
呼び合うくらい仲良くて、
結構楽しかった。













・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





ユウヤのお陰で、
あれから、体を壊すことは
なかったっけ。





私は、昔の記憶が次々と
思い出されていくなか、
やっと、素直な気持ちを言えた。





マホ「ほんとは、嫌だ・・・
ユウヤと別々の学校に
行きたくない・・・」





ここで本音を言っても
仕方ないのに・・・





マホ「私、ユウヤと・・・
離れたくない・・・」





やっぱ、私、ダメだな。





ユウヤは、驚いて
じっとこっちを
見つめていた。





マホ「ユウヤが側で
見守ってくれていたから、
今まで勉強を続けて
これたんだと思う」





マホ「夢は、東京の高校に
行かなくても叶えられるけど、
ユウヤとは、離れたら・・・」





もう、会えない気がして・・・





マホ「私、ユウヤと一緒の・・・」





ユウヤ「でも、さ、
東京の高校の方が
モデルになるのに有利だろ?」





マホ「それは・・・」





ユウヤはフッと笑って
私の頭に手を置いて、
髪の毛をぐちゃっと乱した。





ユウヤ「お前が夢を諦めることは
ねーんだよ」





マホ「え・・・?」





ユウヤは、何も言わずに
ただ窓の外のどこか遠くを
見つめていた。





その覚悟を決めたような
真剣な表情は、
初めて見る顔だった。





ユウヤ「ほんとはこれを
渡しに来たの忘れてた」





そう言って、
私にカイロをくれた。





ユウヤ「俺、急用
思い出したから帰るわ。
風邪、引くなよな」





マホ「ありがと・・・」





ユウヤ「じゃーな」





そう言って、
心が苦しくなるほど柔らかく、
優しい笑顔に、
私は目をそらせなかった。





私はカイロをぎゅっと
握りしめて
ユウヤの後ろ姿を
見つめていた。





何も言葉を出せずに・・・











・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





この日を最後に、
しばらくの間、
ユウヤは学校に
来なかった。





クラスの男子「ユウヤの成績なら、
ニコラ学園
楽勝じゃなかったっけ?」





クラスの男子「だよな。
じゃあサボりか?」





クラスの男子「ユウヤに
限ってそれはねぇよ?」





ユウヤ・・・





今、どこで、
何してるの・・・?





ユウヤと会えるの
後少しなのに・・・





寒さが少しずつ
和らいでいくのは
サヨナラを
意味していること。





それは、ユウヤとの別れ。





桜が咲く頃には、
もう会えない。





それを知っているのに、
ユウヤは来ない・・・













・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





私の受験する高校の
受験日の前日。





クラスの男子「ユウヤが来たぜ!」





クラスの男子「おい、
お前何してたんだよ?!」





ユウヤ「わり、わり。
受験勉強してた」





そういうと、
クラスの男子は、
顔を見合わせて、
しばらくの間無言だった。





クラスの男子「ニコラ学園なら、
ガチで勉強しなくても、
お前の頭なら行けっだろ?」





ユウヤ「俺、進路変えたから」





え・・・?





クラスの男子「はぁ? 今頃かよっ!?」





ユウヤ「東京のあの名門校」





私が、行くとこ・・・ろ。





私は、色々我慢できなくなって、
クラスの男子が言う前に
私が口を開いた。





マホ「どうしてっ!?
なんでっ!」





ユウヤは、
ゆっくり振り向く。





ユウヤ「あぁ、マホ。
話したいこと、あるんだ。
今、いいか?」













・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





マホ「どうして、
進路変えたの?」





ユウヤ「それは、」





マホ「私があんなこと
言ったから?
そんなこと・・・」





ユウヤ「俺ね、昔から
夢なかったんだ」





ユウヤの夢・・・





ユウヤ「だけど・・・
マホを見てたら、
俺もやって見たくなったんだ、
モデル」





ユウヤ「生き生きしてて、
目指すものがあるのって、
いいんだなって」





マホ「ユウヤは、
私と同じ、夢・・・なの?」





ユウヤ「決めたんだ」





それは、あの時と同じ、
覚悟を決めたような、
真剣な表情をしていた。





マホ「無理、してない?」





ユウヤ「うん」





マホ「本当に?」





ユウヤ「あぁ」





私は、嬉しさが
こみ上げて来た。





マホ「受かったら・・・
また、同じ学校・・・だね」





ユウヤ「・・・だな」





マホ「ユウヤ、嫌なの?」





ユウヤ「はぁ?」





マホ「私は嫌だなぁ、
こんなうるさいのと、
また3年間一緒なの」





ユウヤ「あぁ?
もっかいいってみろ!」





マホ「ユウヤと一緒は
嫌ですー!」





ユウヤ「なんだよ!
俺と離れたくないって
言ったくせに。
矛盾してんぞ!」





マホ「離れたくないって
いうのは・・・」





素直になれ!
私!





マホ「ユウヤのこと、
大好きだから!」





ユウヤ「つ・・・!?!」





ユウヤは、
わかりやすく照れた。





やっと、言えた・・・





ユウヤ「俺も、
すんげー嫌だぜ。
お前と一緒なの。
だけど、俺もお前が好きだから、
一緒の学校受けてやる」





マホ「!?」





ユウヤ「赤くなってやんの」





マホ「ちょっとっ!
からかわないでよ!」





ユウヤ「はよ、帰ろーぜ!
明日、受験だぞ」





マホ「コンビニ寄って
肉まん買おーよ!」





ユウヤ「お、いいじゃん」





私とユウヤは、
口喧嘩をしながら、
だけど、仲良く
手を繋いでいた。













・゜°・。・:・~:・。・・・・。・:・゜°・





高校2年生の春。





マホ「ユウヤ!
急いで!
始業式始まるよ!」





ユウヤ「待てよっ!
疲れた」





マホ「ユウヤ、
事務所入ったんでしょ?
時間守れないとダメじゃん!」





ユウヤ「マホもだろ!」





マホ「そ、そうだけど?!」





あれから1年経った。





私たちは、同じ、
第一志望の高校に受かった。





少し背が伸びた私と
少し背が高くなったユウヤ。





変わったこともあるけど、
私の隣にユウヤがいることは
変わらない。





夢と恋・・・





叶えたいことは
ひとつじゃなくてもいいよって、
きっと、ユウヤが
教えてくれたんだ。





桜が満開の中、
私達の顔にも
笑顔が満開だった!











・゜°・。・:・~*:・END

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