私の初恋をキミに捧ぐ
作者:すこぶるちゃん
私には時間がない。
余命はあと1年と
宣告されてる。
私は小林かなみ。
そして隣にいる人は、
わからない。
いつも同じ道を
通ってるけど、
名前も年もわからない。
今日は話しかけてみようと、
頑張って話しかけてみた。
「あのー! いつも同じ道
通ってますよね?
私、カナミ!
年は高2なんだよねー!
キミのお名前は? 年は?
先輩? 後輩? 何高校?
あっ制服うちの学校だー!
あははっ! あっごめんなさい。
1人で盛り上がっちゃって」
といきなり恥ずかしい
思いをしてしまった。
すると、その男の子が
「ワハハハハ!」
と笑ってきた。
「なによ!」
と言い返すと、
「君おもしろいね。
いいよ。教えてあげる。
オレの名前はタカト。
年は高3。君の1個上かな。
そうだ、今日から一緒に
学校行こうよ」
「いいの!? やったー!
私、一緒に学校行く人
いなかったから、嬉しいー!
そうか、タカト、、、くん? は
先輩だったんだー!
じゃなくて、でしたよね?」
「なれないならいいよ。
タメ口で。
名前も呼び捨てでいいよ。
でも学校では絶対にダメ。
いいか?」
「はーい。
でもなんで
学校はダメなの?」
と聞くと、
「な・い・し・ょ」
と返してきた。
疑問に思いながらも
学校に着いた。
すると女子達が、
「キャー!
タカトくん!
ずーっと待ってましたよん」
アム「私はタカト応援団No.6」
コハル「私はタカト応援団No.4」
「私はタカト応援団、
応援団長! マナよ~。
タカトきゅーん!
これは私たちからのプレゼント」
と言って、変なダンスを
し始めた。
私はだから絶対に
タメ口はダメなんだと思った。
こんな感じで毎日一緒に
帰るようになった。
ある日、タカトが。
「ていうかカナミってさ、
どの部活に入ってんの?」
と聞いてきた。
私は本当のことを
言うことにした。
「私は病気なの。
寿命も宣告されてる。
部活なんて入れないんだ。
だからね、いつも学校が終わると、
病院に行ってるの」
「そうなんだ。
なんかごめんね」
「いいのいいの。
しょうがないよね。
知らなかったんだもん」
と話していると、
「えっ!
か、かなみ!?」
誰かと思って
振り返ってみると、
親友のマホがいた。
するとマホが、
「マジ!?
タカト先輩!?」
と言い、
ずっとついてきた。
タカトと別れると
マホが、
「カナミ、タカト先輩と
付き合ってる系!?」
「そんな訳ないでしょ。
タカトはただのお友達。
なんで?」
「芸能人みたいなこと
言わないで!
カナミさぁ、
タカト先輩のすごさ、
わかった方がいいよ。
いい? よく聞きなさい」
と、なんかタカトの
スゴさの話を始めた。
「タカトさまはね、
学校の王子様ってやつなの。
カナミはチョー鈍感だから
分からないかもだけどね、
ホントにすごい人なの。
わかった?」
「いやーそんなオーラ
もってるなかな?」
「カナミ、こんな感じで
いつも一緒に帰ってたら、
確実にタカト応援団に見つかって、
おしまいだからね。
私はカナミに助かってほしいの。
病気のことも心配だし、、、ね?
だからこれからはタカトくんに
関わらない方がいいわよ」
頭のいいマホに言われたから、
どうすればいいのか
分からなくなってしまった。
その日、マホと一緒に
学校から帰ろうとしていたら、
タカトに会った。
話しかけられたけど、
マホがタカトを
突き放してしまったから、
今日は話すことはできなかった。
このまま病院へ行った。
病院で先生に、
りな「あなたは短いんですよ。
今のうちに恋愛しなさい。
青春を味わいなさい。
これが、先生がだす薬です」
「はい」
はいとは言ったものの、
よく分からない。
どうすればいいんだろうとも思って
次の日に学校に行くと、
タカト応援団の団長、マナ先輩が、
「あんた、
何様のつもり?」
と言ってきた。
「どういうことですか?」
と言うと
弟子のような人達が
続々来た。
その中に親友の
マホもいた。
「マホ!?
なんでいるの!?」
するとマホが、
「あんたなんか大っ嫌い!
信じた私がバカだった。
私見たよ。
カナミとタカトさまが
一緒に登校してるところ」
「マホ、裏切るの!?
目を覚ましてよ!」
私は驚きすぎて
心臓が止まるかと思った。
するとアムが
「なんでマホが
目を覚まさなきゃ
いけないのよ。
かわいそうでしょ」
コハルも
「言っておくけど、
マホはタカト応援団
No.13なんだから、
あんたには1人も
仲間がいないの!」
マナは
「まぁまぁ言いすぎると
ダメよ? ダメダメ。
まっ一応言っておくけど、
全部計画通りなんだから。
おーほっほっほっ」
そしてマホが
「だからこれからは
タカトくんに
手を出さないでね?
あっ待って、マナ団長」
それからというもの、
私はずっと
ひとりぼっちだった。
もちろん、タカトとも
挨拶さえしなくなった。
悲しい毎日が続く日々、
やっと私に転機が来た。
それは3年生の卒業式で
雨の日、タカトが
私を屋上に呼んだ。
おびえながら行ったら、
雨でビショ濡れのタカトが
1人でポツンと立っていた。
「タカト?」
「やっと来たー。
待ったじゃん!
てかさ、最近話しかけても
無視されるし、
なんかあったのかって
心配になったよー!」
「ご、ごめん。
でもなんでここに?
先輩達、
記念写真撮ってるよ」
「言いたいことがあって」
「え? なに?」
ドキドキしながら
聞いた。
「オレはカナミがす」
とタカトが
何かを言おうとしたが、
その前に私が
倒れてしまった。
* ――― * ――― *
「おーい!
だいじょぶか?」
誰かの声が聞こえた気がし、
目を開けた。
すると病院にタカトがいた。
するとタカトが
「起きた!
よかった~。
どう? 調子は」
「大丈夫。ありがとう。
もう元気だよ。
で、あのさ、聞きたいことが
あるんだけど、
さっき言いかけてたことの
続き、教えて」
「あー。わかった。
『オレはお前が好きだ。
付き合ってくれないか』だよ」
今回は優しく
暖かく言った。
するとタカトが、
「今は大変だろうから、
答えは今度でいいよ」
「ううん。もう決めた。
『私はあなたが好きです。
こちらこそよろしくお願いします』だよ」
「よかった」
「でもひとつだけ
お願いがあるの。
結婚して!」
「え?
何言ってるの?」
「言ったでしょ、
私には寿命があるって。
だから死ぬ前に結婚したい。
相手はタカトじゃないとダメなの。
お願い」
「もちろんいいよ!
オレは最初から
分かってたんだ。
お前の夫に
なるってことくらい」
と言って、
すごく笑いあった。
そして1ヶ月後、
結婚式をした。
結婚式に
タカト応援団も来た。
マナは、
「おめでとう。
やっぱりあなた達は
お似合いだわ」
マホは、
「カナミ、ごめんね。
ホントは大好きなの。
取り返しがつかないこと
したことくらいわかってる」
「マホ、そんなことないよ。
これからも私たちは
サイコーの親友だよ??」
「カナミ(泣)」
その他のタカト応援団も
泣きながら
「ごめんね」
と言っていたから
スカッとした。
毎日が楽しくなった。
だけどもう
タイムリミットは来た。
カナミは死ぬ前に
こんなことを言った。
「タカトだいすき。
みんなありがとう」と。
おそらくカナミは
悔いのない人生を
歩めたのだろう。
*おしまい*
小林 花南
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