片想いのように、花火は止まらない。

CAST小林 花南小林 花南

作者:菜乃花

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.08.03

バーン、バーンッ!





止まることなく続く
花火の音。





火薬の匂い。





そして、好きな人と
一緒にいるドキドキを。





私は、花火の中・・・
感じてた。







・。・。・。・。・。・。・。・。





「翔先輩、かっこいーっ」





ザシュッ・・・





ゴールに差し込まれる
サッカーボール。





そして、鳴る
試合終了の笛。





その瞬間、
1番校庭に響くのは
女子の歓声。





これに敵う物は
何1つとしてない。





・・・私達は、それを
眺めてるだけなんだけど。





私は、小林花南。
中学3年生!





「花南さぁ・・・
本当翔先輩好きだよね・・・
何がそんなに好きなの?」





真帆が隣で
呆れたように言う。





そう、私は高3の
雨宮翔先輩が好きなのだ。





「だって、かっこいいじゃん!
恵里那だって思うでしょ!?」





「そりゃ、思うけどさ。
でも、私じゃ乃乃先輩には
敵わないよ」





乃乃先輩―――こと、青井乃乃は
この学園のマドンナ的存在だ。





男子人気は
ぶっちぎりで高い。





「それにさぁ、
うちらは中等校舎だけど・・・
翔先輩は高等校舎だよ?
休み時間のたびに来てるけど、
絶対気づかれてないよ」





隣に居た、かとぅが
ため息をつきながら言う。





・・・耳が痛い。





まぁ、仕方ないことでも
あるよね。





年の差なんて
変えられる物じゃ
ないんだから。





でも、そろそろ
どうにかしなきゃ
まずいのは分かってる。





だって翔先輩は
卒業が近づいてるんだから。





「あ、それでさ!
明日から夏休みでしょ?
それで、花南、
夏休みの間に、
夏祭あるじゃん?
それ、翔先輩と行って来たら?」





「え!? もう
約束してるかもしんな・・・」





「やってみないと分かんないよ!
もしかしたら空いてるかも!」





恵里那の押しに耐え切れず、
私は翔先輩を
夏祭に誘ってみた。





まさかの返事は・・・
OKだった! やった!!





「花南、翔先輩から聞いた。
夏祭のOKもらったの?
良かったじゃん!
頑張りなよっ」





「うん!」





「・・・・・・夏祭、
OKもらったって・・・
どーゆうこと?」





後ろから、鋭い視線と
明らかに低い声。





噂の、乃乃先輩だ。





「花南ちゃん・・・
OK、取り消して来てよ!」





「な、なんでですかっ?
嫌です!」





「良いから!
私、翔先輩と
夏祭行きたいのっ・・・」





乃乃先輩が、私を無理やり
翔先輩の居る方へ
引っ張って行ったその時、
次の授業のチャイムが鳴った。





「・・・チッ! 覚えてなよ。
後悔させてやるから」





美人の舌打ちは、
恐ろしく迫力があった。





「何今の・・・
花南、大丈夫?」





「うん・・・」





翔先輩から夏祭のOKを
もらった喜びから一転、
乃乃先輩に何をされるか・・・
の不安に変わってしまった。













・。・。・。・。・。・。・。・。





そんな私の心配をよそに、
夏祭が始まった。





賑やかな屋台、
迷いそうなぐらいの人混み。





私は、夏祭の
金魚すくいの屋台の近くで
翔先輩を待って居た。





「・・・ごめん! 待った?」





「あ、いえ・・・
大丈夫ですよ」





「・・・」





翔先輩が固まった。





「どうしました?」





「浴衣・・・
似合ってるね」





「あ、ありがとうございますっ」





気合い入れて来て
良かった!





お母さんに浴衣、
1時間かけて
着せてもらったんだもん。





「んじゃ、行こっか」





「はい!」





私達はその後、
金魚すくいから始まり、
りんご飴、綿あめ、
たこ焼きを食べた。
↑食べるのしかやってないねw





「次、どこ行きます?」





「うーん・・・かき氷?」





「私も食べたいです!
行きませんか?」





「だね!」





私と翔先輩は、
かき氷の屋台まで
歩いて行った。





・・・うわ、やっぱり
イケメンだなぁ・・・





二重がぱっちりしてるし、
顔が整ってるし。





そこらへんの男子とは
比べ物にならない。





その時。





パシャンッ・・・





肌に広がる
冷たい感覚。





白を基調とした浴衣が、
赤く染まる。





浴衣に当たったのは、
いちご味のかき氷だ。





「あ、ごめんなさーいw」





クスクス笑いながら、
帽子を被った女性・・・
いや乃乃先輩が
通り過ぎて行く。





自分の顔がだんだん
熱くなってくる。





「・・・青井さん、だよね?」





「へ?」





乃乃先輩が固まった。





「やめなよ、こーゆうの。
小学生みたいだよ?w
んじゃ、行こう。
花南ちゃん」





乃乃先輩が情けなく、
逃げるように
小走りして行った。





・・・てか、私のこと・・・
な、名前呼び・・・





「大丈夫? 浴衣、
シミになっちゃったけど」





「大丈夫です!
それより花火行きましょっ」





私は、泣きたいのを
笑いでごまかした。





「・・・」







ドーン・・・





花火会場に行くと、
既に花火は始まっていた。





「きれーい・・・」





私は思わず見惚れた。





赤、緑、黄色・・・
様々な色が
打ち上げられて行く。





「・・・あの、花南ちゃん」





「はい?」





翔先輩が小声で
話しかけて来た。





「俺、花南ちゃんが好きなんだ。
いつも俺のこと・・・
見てたでしょ?
あの時から、話したいって
思ってたんだ」





その瞬間、
嬉しさのあまり・・・
ここが現実なのか
分からなくなった。





「・・・私も、
翔先輩が好きです」





そっと私は、
翔先輩の手に
指を絡ます。





その時、ハート型の花火が
そらを飛んだ。







―――終わり―――

Like

この物語に投票する

小林 花南が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

おススメ!おススメ!

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!